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[北京への道(12)]FW岡崎慎司(清水)

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[7・9 練習試合 U-23日本代表候補 4-0 千葉]

 所属する清水エスパルスでのキャッチフレーズは『気迫の サムライストライカー』。一時は負傷で五輪代表入りが絶望視されていた侍が、北京五輪代表発表(14日)前最後のチャンスで鮮やかな復活を遂げた。
 U-23日本代表FW岡崎慎司は、同代表候補の千葉合宿最終日に行われた千葉との練習試合(45分2本)の2本目に右MFとして出場。本来のFWではないポジションだったが、15分に相手DFをかわしてからの好パスで先制点の基点となると、18分には右サイドから強引にドリブルで切れ込み右足でゴールを破る。さらに32分にはMF梅崎司(浦和)の左CKをファーサイドのMF谷口博之(川崎F)が折り返したところを頭でゴールへ突き刺し2点目。そして34分にはFW森本貴幸(カターニャ)のゴールをアシストし、チームの全得点に絡む大活躍で45分間を終えた。

 岡崎は5月22日に行われたトゥーロン国際大会のフランス戦で右足首、右膝を負傷。五輪メンバー発表まで2ヵ月を切っている段階で、全治4週間と診断された。昨年の北京五輪アジア最終予選での先発は2試合だけで無得点。五輪代表での実績はほとんどない。それだけに代表入りへ痛すぎる負傷だった。加えて負傷の影響で先月12日に行われたU-23カメルーン代表戦も招集されず、今季リーグ戦10試合2得点のクラブでも最近2試合はベンチ外。もはや五輪出場は絶望的と見られていた。
 それでも今回代表に再招集された男はチャンスを逃さなかった。「思い切りやりたいと思っていた。悔いを残したくなかった」の言葉通り、試合では誰よりもゴールへ向かう姿勢を披露した。ボールを持てばぐいぐいと力強く歩を進め、五輪代表の推進力となった。「(最近クラブで)試合をやっていなかったので新鮮な気持ちでサッカーできた。周りもよく見えていた。ゴールは久しぶり。結果が出て良かった」と岡崎。2得点を挙げた勝利の立役者は試合後、ほおを緩め素直に喜んでいた。

 身を削ってでもチームに貢献しようとする献身的な守備や泥臭くゴールを狙う姿勢は岡崎の持ち味。反町康治監督がメンバー入りへの条件のひとつに掲げる「日の丸をつけるという誇りは絶対必要になる。ハートの部分も(代表メンバーには)大事」との点は誰よりも兼ね備えている。そして、“最後のアピール”には成功した。「選ばれなかったら、自分の能力のなさだと思う」と言い切った岡崎。全てを出し尽くした侍は14日、五輪代表入りの吉報だけを待つ。

(取材・文 吉田太郎)

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