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[北京への道(17)]DF長友佑都(F東京)

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[7.16 J1第17節 F東京1-1G大阪 国立]

 性も根も尽き果てた。約2カ月ぶりのフル出場を果たしたFC東京のU-23日本代表DF長友佑都(21)は試合終了直後、思わずピッチの上に倒れ込んだ。「試合でこんなにきついって思ったのは初めて」。そう苦笑いした長友は「あー、疲れたぁ」と大きく息を吐いた。
 この日はいつもの左ではなく、右サイドバックでの先発だった。「(監督は)安田と勝負し合わせたかったんだと思う」。対面にはG大阪の同じくU-23日本代表DF安田理大がいた。互いに攻撃参加が持ち味の2人のマッチアップは火花を散らした。
 「前半はクロスを上げられた場面もあったけど、後半は僕の方が上げたと思う」と長友。運動量が落ちて後半36分にベンチへ下がった安田理に対し、5月17日の磐田戦以来となる先発出場だった長友は最後までピッチを縦横無尽に駆けた。「(安田理が)交代したのも知らなかった。オレも疲れてたから。“あれ、おらん”って。せこいなー」と笑った。
 6月2日のW杯アジア3次予選・オマーン戦で右足首を負傷した長友は当初、軽傷の診断だったため、そのまま日本代表のオマーン、タイ戦に帯同。ところが、回復が思わしくなく、帰国後にチームで精密検査を受けた結果、右足関節三角骨障害で全治約4週間と診断された。
 北京五輪メンバー入りを懸けた大事な時期の戦線離脱に焦りは募った。A代表では5月下旬のキリン杯から、負傷したオマーン戦まで3試合連続で先発するなど定位置を奪う勢いもあったが、A代表に拘束されることで、逆にU-23日本代表の活動に合流する時間は減っていった。危機感を強める中、13日の鹿島戦に後半から出場し、ついに実戦復帰。14日の北京五輪メンバー発表前日というギリギリのタイミングだった。
 試合後「まだまだ(前に)出れる。前ならもっと(前に)出れてた」と不満顔で話したように、コンディションは回復途上にある。だが、北京五輪開幕まではあと3週間ある。21日の京都戦がチームでは最後の試合になるが、代表合流後も24日にオーストラリア戦、29日にアルゼンチン戦と実戦が控えている。「今日はきついゲームだったから、だいぶ(コンディションも)戻ってくると思う。疲れたけど、これで心肺(機能)が上がってくる。(北京五輪に)合わせていけると思う」。長友の頭には、北京までの青写真がしっかりと描かれている。

(取材・文 西山紘平)

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