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[北京への道19]GK山本海人(清水)

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[7.17 J1第17節 川崎F2-1清水 等々力]

 「“Never give up!”、諦めませんよ」―この日もベンチウォームに甘んじる事となったU-23日本代表GK山本海人(23)は、この言葉を胸にスタジアムを後にした。
 思えば、ずっとエリートコースを歩んできた。試合に出られる事が当たり前だった。山本は清水ユース時代から全日本ユース選手権優勝(U-15・U-18)を経験し、その後もU-18から各年代の日本代表GKとして国際舞台を経験するなど大きな成長を遂げてきた。しかし、05年清水に入団すると不動の守護神・西部洋平という高い壁が立ちはだかり、山本は出場機会に恵まれない不遇の日々を過ごすこととなった。05年は出場なし、06年は3試合、07年は4試合、08年は3試合と出場回数は僅かだが、それでも山本は前向きに手応えを感じていた。北京五輪アジア最終予選ではカタール戦、サウジアラビア戦など4試合に出場し2失点に抑える活躍も見せた。「今年は昨年よりも出場機会が少ない厳しい環境の中でも、失点を抑えて結果を残せた。反町監督や川俣コーチが気にかけてくれているので、北京では是非期待に応えたい」と意気込む。
 実戦から遠ざかっている事への不安について尋ねても至って前向き、マイペース。「(試合に出られないからと言って)腐らずに日々前向きに練習を積み、いつでもベストの状態で臨めるように準備している。出られない時は、自分の持ち味でもある声出しなどでチーム全体を鼓舞し盛り上げるように努めている。今の気持ちを大切にし、自分もチームも良い気持ちで、このまま本番に臨みます」。
 山本はチャンスを掴み自分らしいプレーを100%出しきる事と同様に、チーム全体での飛躍を誰よりも強く願っているように感じる。日本代表として国際経験が豊かな分、与えられた自分の役割を喜んで全うしようとする気概・能力に長けているのだ。山本としては、クラブで試合に出られない悔しさ・もどかしさををバネに、北京での活躍を見せつけたいところ。「やるべきことをしっかりと」、そう話す自称・マイペースな正直者がチームの守護神として活躍するのを期待せずにはいられない。

(取材・文 山口雄人)

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