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[選手権]“守備の人”・小林が見せた攻撃力(境vs藤枝東)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[1.2 第87回全国高校サッカー選手権2回戦 境 0-4 藤枝東 等々力]

 「迷わず思い切り蹴ったら入った」。怒濤のゴールラッシュを締めくくった右足ミドルを決めた藤枝東MF小林勇輝主将(3年)はそう言葉を弾ませた。
 チームは県大会2次リーグ以降の6試合で得点はわずか8。最高は2得点だったが、全国の舞台でいきなりの4発。「4点も取れるとは予想もしていなかったですよ」と目を丸くした大石和孝監督をはじめ、誰もがこのゴールショーを驚いていた。
 ただ、チームは県大会準々決勝、準決勝で2試合連続ゴールのFW村松一樹に188cmの大型FW新井成明(ともに3年)ら決して攻撃力は低くない。この日もミスのないパス回しで境を追い詰めていった。その中で中盤中央から相手DFの裏のスペースへ的確にボールを落としていたのがMF藤田息吹(3年)と小林の2人。そしてこの日は、県大会2次リーグ以降は守備に重きを置いて無得点だった小林の“飛び道具”もあることをライバルたちに印象づけた。ボールの芯を打ち抜いた一撃はDFに当たりながらも1バウンドしてゴールへと吸い込まれた。

 「僕は守備的なポジションなので」と話す小林だが、その攻撃力は隠れた武器だ。06年の兵庫国体1回戦。小林は静岡県選抜(当時のメンバーには現甲府DF吉田豊ら)の一因として、全員が浦和の下部組織だった埼玉県選抜(メンバーに来季浦和トップチーム昇格の山田直輝、高橋峻希ら)と対戦。延長後半終了間際にドリブルで埼玉県選抜DF陣を1人で切り裂いて決勝点をアシストしている。
 まずはチームの勝利のために守備に徹する小林(藤田、そして本来FWのCB岡崎も)だが、藤枝東には牙を剥くと恐い存在のアタッカー達が後方にもいる。

(取材・文 吉田太郎)

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