beacon

Jを目指せ! by 木次成夫

このエントリーをはてなブックマークに追加

第127回「町田ゼルビア新体制発表会」
by 木次成夫

 2月8日(日)、FC町田ゼルビアの新体制発表会に行って来ました。会場は町田駅近くのホテル「ラポール千寿閣」内、宴会場。ファンにも公開だったこともあり、超満員(ファン数=約180人)。ちなみに、今季のキャッチフレーズは、

41万人がプレーヤー 魅せるぞ 町田の力! Road To「J」最終章

言うまでもなく、41万人とは、東京都町田市の人口です。

「目標はJFL4位以内に入って、Jリーグに参入することですが、地域に根ざしたチーム、子供に夢を与えるチームというスタンスは変わりせん」(守屋実代表)

 JFL昇格1年目、1月中旬にはJリーグ準加盟申請という経緯から、大補強も予想していたのですが、発表内容は、意外なほど地味でした。といっても、“期待はずれ”では、ありません。JFL4位以内の可能性だけでなく、長期的視野、いわば「100年構想」が感じられた点で、“期待以上”です。

 以下、今季のゼルビア(8日の発表会現在)――。

[プロ契約選手2人]
一昨季までは全員がアマチュアで、昨季開幕時はプロ3人(山口貴之=08年シーズン終了後に退団、蒲原達也、ジョズエ=鳥栖からレンタル)。今季は、MF蒲原に加えて、MF奨・津季加入2年目=前・桐蔭横浜大学)がプロ契約。

[練習は昨季同様、夜間と昼間の交互制]
一昨季までの「平日=夜間」から、昨季「平日=夜間2日、午前2日」に移行し、今季も同様。基本的には月=オフ、火=夜、水=午前、木=夜、金=午前。

[背番号9は今季、欠番]
東京都リーグ所属時代から昨季まで選手兼コーチとして活躍してきたFW竹中穣(元・横浜FCなど)に「敬意を表して、欠番にしました」(守屋代表)。“ミスター・ゼルビア”的存在とはいえ、粋な配慮。“さすが、ゼルビア”という感じです。ちなみに竹中は、同じく昨季までトップに所属していた加賀山慎と共に、「2軍」チームの“ツヴァイテ”に登録変更しました。竹中はトップチーム・コーチ、加賀山はクラブ・フロントとしての仕事もあるので、自分のプレーどころではないほど多忙になるかもしれませんが、「2軍」がある点も、ゼルビアの魅力だと、改めて、痛感しました。

[戸塚監督、S級ライセンス取得へ]
チームを指揮しつつ、S級ライセンス取得を目指すと、戸塚監督自ら発表しました。「(自分のライセンス取得を含めて)すべてがうまくいけば、来年はJリーグでゼルビアを率いているかもしれませせん」(戸塚監督)。

[新加入選手12人]
一見して、JFL=全34試合の長丁場を考慮した補強です。ターンオーバー制すら可能だと思うほど好選手が揃いました。かつて戸塚監督が指揮をとったMIOびわこ草津(08年JFL14位)から3人、FC岐阜から1人加入するなど、戸塚監督ならではの“見る目”にも、期待してしまいます。

MF金 東秀(25歳、MIO←大阪商業大学)
12人中、最も注目している選手です。戸塚監督が07年後半にMIOを率いてJFL昇格に導いた当時の主力で、大の“お気に入り”。昨季は主将。前線への攻撃参加力もあるボランチながら、MFとDFすべてのポジションをこなした実績があります。抜群のスタミナも武器。

FW・MF大江勇詞(22歳、MIO←V神戸)
07年に神戸からMIOにレンタル移籍。神戸の戦力外になった08年に完全移籍。スピードを生かしたドルブルでサイドを切り裂くタイプ。

DF李 成浩(25歳、MIO←FC岐阜)
08年に岐阜からMIOに移籍。攻守両面でバランスがとれた右SB。金、大江を含めて、MIOの今季を悲観してしまうほど――。

DF深津康太(24歳、FC岐阜。元・名古屋、水戸、柏。流通経済大学柏高校出身)
戸塚監督が率いていた07年からFC岐阜の主力ながら、昨季後、戦力外になったCB。昨年12月、Jリーグ合同トライアウト参加。Jリーグ通産でJ1=4試合、J2=66試合に出場。年齢も考慮すると、ゼルビアでアマチュアとしてサッカーを続けることを選んだことが不思議なほどの逸材。

MF飯塚 亮(21歳、新潟経営大学←帝京高校)
昨季は新潟経営大学の背番号「10」。天皇杯出場。

MF半田武嗣(23歳、国士舘大学)
昨年度、天皇杯で鹿島に善戦するなど大健闘した国士舘の主力。切れ味鋭いサイドアタックが魅力のテクニシャン。

FW久利研人(18歳、東京Vユース)

MF大前博行(27歳、佐川急便中国=08年、中国リーグ2位)
セレクションにCBとして参加。

DF斉藤貴之(22歳、国士舘大学←湘南ユース)

DF疋田大和(22歳、日本大学)
セレクションに右SBとして参加。

GK修行智仁(24歳、ガイナーレ鳥取=08年JFL5位)
セレクション参加。ガイナーレでは「第2」GK。

GK三栗寛士(23歳、松本山雅=08年北信越1部4位)
セレクション参加。昨季は山雅の「第2」GK

 昨年12月のセレクションを振り返ると、三栗の加入が印象的です。セレクション前夜は松本市内で松本山雅「ファン感謝デー」(パーティ)が開催されましたし、その時点で三栗の退団は発表されてなかったので、“翌日、町田にいる”こと自体、驚きでした。ファン感に欠席した選手が複数いたにも関わらず、夜9時すぎまで、いわば、体調管理を犠牲にして、ファンの応対をしていたわけです。結果的に山雅に残留した坂本史生も、セレクションに参加していました。「ファン感の後、車で東京に移動しました」(坂本)。

“なんて律儀な選手たち”だと思いきや、その後、三栗は1月中旬に、同じく退団した吉田匡良、矢畑智裕と共に、横断幕作りのために集まったファンのもとへ、自主的に挨拶に行きました。「(僕は)ファン感で、ちゃんとした挨拶ができなかったので――」(三栗)。

 ちなみに三栗は昨年、勤務先(山雅のスポンサー)の“先輩”女性と職場結婚したばかり。「とりあえず今年は単身赴任で、1シーズン、しっかりやってから、来年以降のことを考えようと思っています」(三栗)

 松本に比較的近い地域のクラブに移籍できたことは幸いだったということでしょうか、発表会では、笑顔が目立ちました。

「ところで、山雅、どうっすか? 11日の練習試合を見にいこうかと思っているんですけど……」(三栗)

※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

▼関連Photoニュース
新体制発表会-1
新体制発表会-2

▼関連リンク
紹介クラブリスト09
紹介クラブリスト08年以前

TOP