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Jを目指せ! by 木次成夫

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第147回「JFL前期総括 SAGAWA SHIGA首位で後期へ」
by 木次成夫

 6月28日、JFLは前期17節を行いました。つまり、前期終了。順位は以下の通りです。

1位=SAGAWA SHIGA(勝ち点36)
2位=ガイナーレ鳥取=J準加盟(同30)
3位=横河武蔵野(同30)
4位=ジェフリザーブズ(同30)
5位=ニューウェーブ北九州=J準加盟(同28)
6位=アルテ高崎(同28)
7位=Honda FC(同27)
8位=佐川印刷(同26)
9位=MIOびわこ草津(同25)
10位=ソニー仙台(同25)
11位=ホンダロック(同24)
12位=V・ファーレン長崎=J準加盟(同22)
13位=町田ゼルビア=J準加盟(同20)
14位=流通経済大学(同18)
15位=TDK SC(同18)
16位=FC琉球(同17)
17位=FC刈谷(同11)
18位=三菱水島FC(同7)

[SAGAWA SHIGA FCとは?]
 06年2位の佐川急便東京SCと、同3位の佐川急便大阪SCが合併して、本拠を滋賀県守山市に移転。07年から佐川急便SCとしてリスタートし、昨季、チーム名をSAGAWA SHIGA FCに変更しました。

07年=1位(勝ち点83)
*2位=ロアッソ熊本(69)、3位=FC岐阜(60)

08年=12位
*嶋田正吾(現・FC岐阜)、御給 匠(現・横浜FC)ら、複数の主力が移籍した影響もあってか、低迷。

 佐川急便SC時代から、「Jリーグを目指すクラブに転換するか、否か」が業界関係者の話題になっていましたが、現状としては、地域密着型の“企業クラブ”を目指しているようです。

 ジュニアユースや子供向けスクールなど下部組織整備を進めている一方で、「選手は全員が社員」(SAGAWA SHIGAのJFL実行委員、入佐英之氏)。チームには、元Jリーガーも複数いますが、「滋賀に移転して以降は、新卒学生の定期採用しか、していません」(入佐氏)。

6月28日
町田ゼルビア 0-2 SAGAWA SHIGA

[得点経過]
87分 0-1(SAGAWA、大杉誠人)
*FK→ヘディング。

89分=ロスタイム 0-2(SAWAGA、田谷高浩=後半交代出場)
*右サイドでパスを受けて、ドリブル・シュート。

 ゼルビアは終盤まで善戦したものの、フリーでヘディングされる“まさかの”失点。それまで、危機的シーンは皆無の一方で、流れの中で崩した末にポストを叩くシュートなど、決定的チャンスは複数回あったのですが……。

[企業サッカー部vsクラブ・チーム]
 選手の入れ替えが相対的に少ない企業サッカー部は一般的にチーム完成度が高く、安定感が、あります。SAGAWAも同様。堅守速攻のサッカーは、確固たる形がありました。

 ゼルビア戦のスタメン中、チーム合併後に加入した選手は、新人のMF宇佐美潤(23歳、前・流通経済大、ヴェルディ・ユース出身)だけ。例えば――、

CB、大杉誠人(26歳、05年・佐川急便大阪加入←阪南大)
ボランチ、岡村政幸(32歳、02年・佐川急便大阪加入←モンテディオ山形←第一経済大)
ボランチ、山根伸泉(30歳=主将、03年・佐川急便東京加入←浦和レッズ←国士舘大←市立船橋高)
MF、大沢朋也(24歳、06年・佐川急便東京加入←大宮アルディージャ←帝京高)
MF、田谷高浩(23歳=加入2年目、前・駒澤大)

 相対的に選手の待遇が良いことも、強さの要因。“仕事は午前中だけ”で、例えば、同じ滋賀県のMIOびわこ草津はバスで東京まで移動しているのに対して、SAGAWAは新幹線利用。些細なことですが、試合後、佐川急便で荷物を送る様を見て、“これも武器”であり、セールス・ドライバーも“やり甲斐”があるのでは? と思いました。

 今季加入選手は4人ながら、「約300人もの応募があり、驚きました」(入佐氏)とか。加入1~3年間でJクラブを解雇される選手も多い昨今、ハイリスク・ローリターンになる可能性も考慮して、現実的な選択をする選手が多いということでしょう。

[ゼルビアの前期総括]
 前期を終えて、5勝5分7敗。主体的にボールを“つなぐ”スタイルは、SAGAWA戦でも十分に通用しました。2節のニューウェーブ戦から4連敗した当事、守備面で、選手のスピードや技術などJFLに“慣れていない”(つまり、限界ではない)と感じましたが、実際、徐々に改善。選手の潜在能力に驚きつつ、“元Jリーガー”などの肩書きは、過去の実績でしかないということも実感しました。例えば――、

MF、柳崎祥兵(24歳=加入3年目、前・駒澤大←鹿児島実業)
*チーム唯一、全17試合フル出場。大学4年次、駒澤は巻佑樹(現・名古屋)、原一樹(現・清水)らスターを擁して、インカレ制覇を達成しましたが、柳崎はベンチ外の補欠でした。
 ゼルビア加入後は、朝日新聞の販売店(会社)勤務。「朝刊配達以外は、やっています」(柳崎)。コンディション維持の秘訣は? と問うと「とりあえず、定食を食べるようにしています」とか――。

CB、中川勇人(25歳=加入4年目、前・神奈川大=当事は関東2部←堀越高)
*昨季途中にレギュラー奪取。CBとしては176cmと小柄。今季、例えば、ニューウェーブ戦では、“裏を狙われて”失点の要因になったものの、SAGAWA戦では、巧みな“間合い”と“寄せ”で魅せました。

 戸塚監督が開幕前に掲げた「負けてもおもしろいサッカー」が、今後、どこまで進化するか楽しみです。7敗中5試合を見ましたが、チームの限界を感じた試合は、ありません。

[Jリーグ参入争い]
 Jリーグ参入条件は4位以内。前期終了時点で、4位との勝ち点差は、ニューウェーブ=2、V・ファーレン=8、ゼルビア=10。参考に昨季を振り返ると――、

[08年、前期終了時点の順位]
1位=栃木SC(勝ち点41)、2位=Honda(36)、3位=ファジアーノ岡山(33)、4位=横河武蔵野(30)、5位=ガイナーレ鳥取(27)、6位=カターレ富山(27)、7位=ニューウェーブ北九州(27)……

[08年、最終順位]
1位=Honda(74=前期36+後期38)、2位=栃木(63=前期41+後期22)、3位=カターレ(62=前期27+後期35)、4位=ファジ(60=前期33+後期27)、5位=ガイナーレ(57=前期27+後期30)、6位=流通経済大学(57=前期22+後期35)、7位=横河(54=前期30+後期24)、8位=刈谷(51=前期25+後期26)、9位=ソニー仙台(49=前期25+後期24)、10位=ニューウェーブ(49=前期27+後期21)……

ちなみに、後期の勝ち点で順位化すると、
1位=Honda(38)、2位=カターレ、流通経済大学(35)、4位=佐川印刷(32)
5位=ガイナーレ(30)、6位=ファジ(27)…、11位=栃木(22)…

<写真>ゼルビアCB中川

●Jリーグを目指すクラブの動向

・東北リーグ1部
9節(6月28日)
グルージャ盛岡(昨季優勝)2-1 FCプリメーロ
福島ユナイテッド(今季昇格)3-0 仙台中田SC
秋田カンビアーレ 1-2 NECトーキンFC 
*首位=福島U(勝ち点25 、8勝1分)、2位=グルージャ(同23、7勝2分)、3位=トーキン(同22、7勝1分1敗)。

・北信越1部
10節
(27日)
サウルコス福井 0-2 ツエーゲン金沢
(28日)
ヴァリエンテ富山 0-7長野パルセイロ
グランセナ新潟 0-2ジャパン・サッカーカレッジ
松本山雅 3-1 上田ジェンシャン

*10節終了時点の順位
首位=ジャパン・サッカーカレッジ(勝ち点26)8勝2分
2位=松本山雅(同25)8勝1敗1分
3位=長野パルセイロ(同24)7勝3分
4位=ツエーゲン(同22)7勝1敗2分


・関西1部
11節(28日)
バンディオセンセ加古川(昨季優勝)1-3ASラランジャ京都 
*首位=バンディ(勝ち点21、7勝3敗)、2位=ラランジャ(同19)、3位=三洋電機洲本(同19)、4位=アイン食品(同18)

・四国
8節(28日)
南クラブ 1-3 カマタマーレ讃岐(昨季優勝)
南国高知FC 3-2 三洋電機徳島
*首位=徳島ヴォルティス・2nd(勝ち点22、7勝1分)、2位=讃岐(同21、7勝1敗)。南国高知は5位(同8)

※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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