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Jを目指せ! by 木次成夫

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第150回「JFL後期3節“Jリーグ参入圏争い”大混戦中」
by 木次成夫

 冒頭の写真は、ガイナーレ鳥取のユニフォームです。スポンサー名が入るべき位置には、“ガンバロウ鳥取”というフレーズが……。「背中のスポンサーに県民自身がなることを企画しました」(ガイナーレの公式HPより抜粋)。わかりやすくいえば、“ファン(支援者)の募金で背中スポンサー料を賄おう”という策です。

 ガイナーレは昨季5位。4位のファジアーノ岡山(今季J2参入)との勝ち点差=3。つまり、今季開幕時点では、“最もJリーグに近い”チームでした。そして、前期15節終了時点までは1位。ところが……、

[後期3節終了時点の順位]
 ※()内は勝ち点
1位=SAGAWA SHIGA(43)
2位=横河武蔵野(37)
3位=ニューウェーブ北九州(35)
4位=ガイナーレ鳥取(33)
5位=Honda(32)
6位=ジェフリザーブズ(32)
7位=MIOびわこ草津(31)
8位=アルテ高崎(31)
9位=佐川印刷(29)
10位=町田ゼルビア(29)
11位=V・ファーレン長崎(28)
……。

 気が早いですが、最終節(後期17節、11月29日)は、
ガイナーレ対V・ファーレン
ニューウェーブ対ゼルビア

 今後の展開しだいでは、最後の直接対決でJリーグ参入条件の「4位以内」が決まる事態も、ありえます。

●7月19日
JFL後期3節
町田ゼルビア 1-0 ガイナーレ鳥取

[後期2節終了時点の順位]
ゼルビア=11位(勝ち点26)
ガイナーレ=3位(33)

[観衆3861人]
ゼルビア史上最多。「7.19倍増計画」と銘打った作戦の成果が出ました。これまでの最多は、10節のV・ファーレン戦=2514人。最少は西が丘で夜間開催した8節のHonda戦=1067人。昼間開催の最少は、後期1節の佐川印刷戦=1201人。Jリーグ参入条件の「平均3000人」には、程遠い状況でした。

“倍増”要因のひとつは、この日から始めた、最寄りの鶴川駅(小田急)から競技場までの無料シャトルバス・サービス。町ぐるみの地域活性化案が評価され、補助金支給が決まった“おかげ”で実現できた策の“ひとつ”です。バスを利用すれば、例えば、ビールなどアルコール類も楽しめますし、今後、スタジアム・グルメを“さらに”充実させれば、バス利用時間帯をバラつかせる効果もあるのでは? と思いました。例えば、試合後限定、“町に戻るまで待てない!”祝杯割引(苦杯は、さらに割り引き)とか……。

[得点経過]
11分 1-0(ゼルビア)
※左CK=石堂和人(27歳、前・松本山雅)→右SB=森川宏雄(25歳=加入2年目、前YKK AP)のヘディング。森川にとっては今季初ゴールながら、左利きの石堂が蹴る“ゴールから遠ざかりながら、落ちるカーブ”に森川が合わせるのは、ゼルビアの定番。今まで何度か“惜しい”シーンは、ありました。石堂の「キックの精度」、森川の「点で合わせるセンス」。それだけ見ると、“なぜ2人とも元Jリーガーではないのか”と、不思議に感じるほど際立っています。

[試合総括]
 ガイナーレは後半、優勢に試合を進めたものの、同点に至らず。シュート本数はゼルビア9本(前半7本、後半2本)、ガイナーレ7本(前半2本、後半5本)。ゼルビアはGK修行智仁(25歳=今季加入、前ガイナーレ)の好守にも救われました。言い方を変えると、1-1の引き分けに終わっても、不思議ではない内容でした。

 とはいえ、開幕当初と比べると、ゼルビア選手にJFLへの“慣れ”を感じます。その一方で、ほとんどの選手が“仕事とサッカーの両立”ゆえ、蓄積疲労も明らかですが……。ただ、そんな中で、今季加入のMF大前博行(28歳、前・佐川急便中国)が3試合連続スタメンで好プレーを披露したのは、幸い。昨季の中国リーグ2位チームに“いた”選手とは思えないほどです。

 対するガイナーレ――、今季のキャッチフレーズは「強小元年」。鳥取県に象徴される“小”の良さを生かした、“強い”チーム作りを目指すということだと思います。現実的には、公的援助を受けつつも、累積赤字に陥ったゆえの軌道修正という面もあるのでしょうが……。

 昨季の主力をベースにしたチームゆえの完成度の高さ→開幕ダッシュ→際立った新戦力不在ゆえに、各チームが試合をこなして、リーグに慣れて来た頃から苦戦(前期15節から4連敗。流経大、ホンダロック、Honda、MIO)→今後は……、元Jリーガーを含めて、成長段階の若手も多いので、復調して“しかるべき”なのですが……

 ゼルビア戦、ガイナーレのメンバーは以下の通り。
(スタメン)
GK、シュナイダー潤之介(32歳=今季加入。前・仙台)
DF、森 英次郎(23歳=今季加入。前・順天堂大)
DF、加藤秀典(28歳=2年目。前・鳥栖)
DF、水本勝成(19歳=2年目。前・ルーテル学院高)
DF、尾崎瑛一郎(24歳=2年目。前・アルビレックス新潟シンガポール←新潟)
MF、鈴木健児(22歳=2年目。前FC東京、昨季途中からレンタルで今季、完全移籍)
MF、奥山泰裕(23歳=後期2節後に加入。前・ジェフリザーブズ←ジェフ千葉)
MF、鶴見聡貴(22歳=3年目=湘南からレンタル。湘南ユース出身)
MF、林 慧(21歳=今季加入=湘南からレンタル。湘南ユース出身)
FW、ハメド(22歳=2年目、前・チョンブリFC=タイ。昨季はレンタルで今季、完全移籍、コートジボワール生まれ)

FW、阿部祐大朗(24歳=今季加入、前・徳島←フェルヴォローザ石川・白山←山形←横浜FM←桐蔭学園高)、

(交代出場)
MF、実信憲明(29歳=7年目、前・東京農業大学)
FW、釜田佳吾(25歳=3年目、前・阪南大学)
FW、小澤竜己(21歳=2年目、前・FC東京、昨季はレンタルで今季、完全移籍)

ちなみに、チームの主軸、ボランチ吉野智行(29歳=2年目、前・横浜FC←湘南←浦和)は累積警告で出場停止。


●7月18日
ジェフリザーブズ 1-1 Honda FC

[後期2節終了時点の順位]
ジェフリザーブズ=8位(勝ち点31)
Honda=5位(31)

[試合総括]
 ジェフはFW金沢亮をトップチーム(ジェフ千葉)に登録変更したのに続いて、奥山が移籍。当座の戦力低下は否めないと思いきや……、両チームとも大卒新人が得点を決めたことを含め、JFLの混戦模様を象徴するような内容でした。

[得点経過]
37分 0-1(Honda)
得点=伊賀貴一(22歳=今季加入、前・静岡産業大)
71分 1-1(ジェフ)
得点=宮内 亨(23歳=今季加入、前・国士舘大)

[今後のJFL展望]
 目先の気候、つまり、暑さが気になります。平日夜間練習の横河、MIO、ジェフリザーブズなど、そして、週に2日は夜間練習のゼルビアにとって、夏バテ(するか否か)は大問題ですから。複数のベテランが主軸のニューウェーブも、しかり。見方を変えると、もし、「暑い夏→残暑」となれば、“昼間練習のプロ集団”ガイナーレはチャンスです。

[トップはアウェー、2軍(リザーブズ)はホーム]
 Honda戦前、スタンド裏で金沢らトップ4選手のサイン会が開催されました。ジェフ“ならでは”のファン・サービス。来季以降は、是非、全節「トップのアウェー=リザーブズのホーム」に調整してほしいものです。

[2010年は千葉国体]
 市原臨海競技場にも、国体の告知ポスター(ボード)が複数、ありました。ただ、五輪招致活動にも言えることですが、税金を使ってPRするということは、人々の興味が薄いことを自ら認めているようなものでは? ましてや、千葉県は財政危機……。

 ちなみに、今年の国体は新潟開催です。本気になれば優勝候補になりえる滋賀県チームには、SAGAWA SHIGAもMIOも選手を派遣しません。つまり、両チームともJFLに集中できるということです。

●Jリーグを目指すクラブの動向

・関西1部
14節(7月19日)
アイン食品 0-3 バンディオンセ加古川(昨季優勝)   
*残り、1試合(順延された8節を10月4日に開催)。バンディの3位以下が確定。首位=三洋電機洲本(勝ち点28)、2位=ラランジャ京都(26)、3位=アイン(24)、4位=バンディ(21)……。


※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

▼関連リンク
Photoニュース
7/18ジェフリザーブズ
7/19町田ゼルビア雑感
7/19町田対鳥取-1
7/19町田対鳥取-2

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