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ベンゼマ&カンテらのACL第2戦がキックオフ直前に中止…敵地イランで“胸像”巡ってトラブルか

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 アジアサッカー連盟(AFC)は2日、イラン・イスファハーンで行われる予定だったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループリーグ第2節のセパハン(イラン)対アルイテハド(サウジアラビア)戦を中止した。AFCはキックオフ直前での中止決定の理由について「予期せぬ不測の事態」とのみ説明している。

 今季からFWカリム・ベンゼマ、MFエンゴロ・カンテ、MFファビーニョらスター選手が加入したアルイテハドは今月19日の初戦に3-0で勝利。連勝をかけて臨むはずだったが、試合は延期されることになった。AFCは「選手、試合関係者、観客、ステークホルダー全ての安全確保に向けた取り組みを改めて表明する」としているが、代替日程は発表していない。

 中東メディア『ザ・ナショナル』によると、この日のスタジアムにはイスラム革命防衛隊の司令官を務めた故カセム・ソレイマニ氏の胸像がメインスタンド前に設置されており、これに抗議したアルイテハド側が試合前に撤去を求めたが、応じられなかったため、試合開催を拒否したという。

 ソレイマニ氏は1980年代のイラン・イラク戦争以降、イスラム革命防衛隊の対外部門を担った軍人。特殊作戦を担うコッズ部隊の司令官を務め、シリア内戦、対ISIL戦争にも関わりが深かったとされている。2020年1月にアメリカ人の無人攻撃機で暗殺された後もイラン国内で英雄視されている。

 イランとサウジアラビアは長年にわたって緊張関係にあり、2016年から断絶していた国交が今年春に回復したばかり。近年、両国のクラブ同士の対戦は中立地で行われていたが、両国サッカー連盟の間で合意に至り、今大会からようやくホームアンドアウェー開催ができるようになっていた。

 9月中旬の今大会初戦では、FWクリスティアーノ・ロナウド擁するアルナスル(サウジアラビア)がペルセポリス(イラン)とのアウェーゲームが開催され、テヘランのサポーターからも大きな歓迎。大きなトラブルは起きておらず、AFCから「歴史的な動きだ」というメッセージが発された矢先の出来事だった。

 一方、セパハン側は「アルイテハドの要請はスポーツの慣習を逸脱し、一般的な原則に反するものだ」と徹底抗戦の構え。クラブGMは「同じような環境で何十試合もの国際試合を開催してきた」とした上で、「昨日の公開練習では同じ状況でトレーニングを行っており、セパハンにも感謝の意を伝えていたではないか」と真っ向から対立している。

●ACL2023-24特設ページ
 
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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