beacon

MF吉田湊ハット!“街クラブ”のFC多摩JYが鹿島JYに4-3で撃ち勝ち、初の決勝進出!

このエントリーをはてなブックマークに追加

FC多摩ジュニアユースが初の決勝へ

[8.23 日本クラブユース選手権(U-15)準決勝 FC多摩JY 4-3 鹿島JY 帯広の森陸上競技場]

 23日、第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会準決勝が帯広の森陸上競技場で開催され、FC多摩ジュニアユース(関東2)と鹿島アントラーズジュニアユース(関東4)が対戦。激しい乱打戦となる中で、得点ランク首位を走るFW吉田湊海(3年)がハットトリックを達成した多摩が4-3と競り勝ち、初めての決勝へ駒を進めた。

 準決勝にふさわしい、双方の勝利への意欲が激しくぶつかり合う好ゲームとなった。

 前半、鹿島は篠原義貴監督が「自分たちが準備してきたところをしっかり出せて、ゴール前でも狙い通りにチャンスを作れた」と言うように、効果的なランニングプレーも交えてゴールに迫る。

 MF小枝源馬(3年)ら中盤のゲームメイクから、2年生ながら10番を背負うMF小笠原央(2年)、トップチームの鈴木優磨を彷彿とさせるアグレッシブなプレーが魅力のFW高木瑛人(2年)らが多摩の守備陣に脅威を与えるも、「決めることができなかった」と指揮官が振り返るように、ゴールネットを揺らすには至らず。

 対する多摩は後方からの丁寧なビルドアップとシンプルで鋭い速攻を使い分けてゴールを目指す。そして迎えた36分、スローインの流れから相手守備陣の隙を突いたDF土岐桂音(3年)がサイドから果敢なドリブル突破。この崩しからパスを受けたMF松本瑛太(3年)の鋭いシュートをGK瀬出井柚希(3年)が止めたリバウンドを、「押し込むだけだった」と言うエース吉田湊が抜け目ないワンタッチシュートで沈め、先制点を奪い取る。

 ただ、前半の内容面に不満もあったと言う多摩の平林清志監督は「もっとしっかりボールを動かしたかった。今日は暑い中での試合だったので、余計にボールを動かさないといけない。自分たちのやってきたサッカーをやろう」と、あらためて練習してきたプレーを徹底。その上で、見事な崩しからの2点目が後半7分に生まれた。

 相手のクリアボールを高い位置でMF高橋悠(3年)が奪った流れから、FW坂綾高(3年)から吉田湊が繋いだボールを最後は松本が左足で鮮やかに蹴り込んで、2-1と勝ち越しに成功。その直後、CKから鹿島FW高木にヘディングシュートを決められて1点差に迫られたものの、後半クーリングタイム間際の20分、再び「ウチらしい」(平林監督)高い位置でのボール奪取からだった。インターセプトに成功した松本が冷静に吉田湊にラストパスを通すと、これを決め切って3-1とリードを広げる。吉田湊は後半33分にも強烈な右足シュートを突き刺し、リードは3点に拡がった。

 だが、平林監督の「相手は鹿島さん。絶対にこのまま終わらせてもらえないと思っていた」という「嫌な予感」も的中する。3点差、残り7分という状況ながら、「1点返せば、流れは来るよ!」という篠原監督の声を受けた鹿島イレブンは諦めずに猛反撃を開始。アディショナルタイムに突入した40+3分に交代出場のFW大川寛翔(3年)が、40+6分にはMF平島大悟(3年)がそれぞれゴールを奪って、奇跡を起こしかけるも、あと一歩及ばず。4-3で鹿島に競り勝った多摩が、決勝進出となった。

 勝った多摩の平林監督は「関東で準優勝に終わったときから、ずっと選手たちはトレーニングで『全国で勝つにはこれじゃダメだ』と、やってきてくれた」と練習の成果が出たことを喜んだ。

 そしてJリーグ開幕以降では初めてとなる“街クラブ決勝”となったソレッソ熊本U-15(九州3)との決勝に向けては「ソレッソさんは本当に上手くて良いチーム」とした上で、こう語った。

「相手のことを考え過ぎると、ウチの子たちの良さは消えてしまう。選手たちには『自分たちの距離感で、自分たちのサッカーをやろう』と伝えたい」

 中学年代のクラブチーム日本一を懸けての“街クラブ決勝”は24日11時から、帯広の森陸上競技場にて開催される。

(取材・文 川端暁彦)
第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会特集
川端暁彦
Text by 川端暁彦

TOP