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敗戦にも胸を張るDF岩政「鹿島たるゆえんを見せられた」

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[12.29 天皇杯準決勝 G大阪 1-0 鹿島 エコパ]

 開口一番に「しょうがないですね」と、敗戦を振り返ったDF岩政大樹の表情は、晴れやかですらあった。結果はついてこなかったが、シュート数では19対9と今季のリーグ戦で最多ゴールを挙げたガンバ大阪を圧倒した。特に後半は文字通りG大阪を敵陣に張り付けにしている。

「(失点の場面は)良いボールが入ったので、あれはどうしようもないです。前半は0-0でも、0-1でも問題ないと話していましたし、後半にレナトが入って前にブラジル人が並んでやり方を変えてからは、うまく狙い通り試合を運べていたと思います」と、岩政は振り返る。実際に、ジュニーニョ、レナト、ドゥトラが2列目に並んだ後半、鹿島はG大阪の4倍にあたる8本のシュートを放っている。

 しかし、肝心のシュートは体を張ったG大阪の守備に阻まれたり、枠を捉えてもGK武田洋平の正面を突き、最後までゴールを挙げることはできなかった。「90分を戦って、向こうは1点を取り、うちはゼロ点で終わった。それだけのことです」と、岩政は言う。

 この試合に敗れたことで、鹿島の2012シーズンは終了した。すでにジョルジーニョ監督の退任が決まっているが、チームを離れる選手も出てくる。「毎年のことですが、入れ替わりが激しい世界。出会いがあり、別れがあります。今年は個人的にも寂しい人が何人かいます。それでも、ナビスコ杯を取ったあとに、天皇杯でもここまで勝ち進めた。鹿島の意地、鹿島が鹿島たるゆえんは、少しは見せられたと思います」。

 納得のいく結果は出せなかった。それでも、現在のメンバーで戦える最後の試合で、鹿島らしいサッカーができた。だからこそ、岩政は胸を張って、敗戦を受け止めた。

(取材・文 河合拓)

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