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ロスタイム劇的弾の東京V DF石神「勝たなきゃいけないゲーム」

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[7.27 J2第26節 東京V 3-3 G大阪 味スタ]

 後半ロスタイムに同点ゴールを決めた、この試合のヒーローに笑顔はなかった。東京ヴェルディのDF石神直哉は、「2点先制した状況から、2-3にひっくり返されちゃったので。DFとしても責任を感じていますし、勝たなければいけない試合だったし、勝てる試合だったので、もったいない試合だったと思います」と、ロスタイムで得た勝ち点1に、満足しなかった。

 前半4分にDF刀根亮輔のゴールで先制した東京Vは、G大阪の猛攻に耐えていた。後半8分には速攻からMF西紀寛が見事な追加点を挙げて、グッと勝利を引き寄せたかに思われた。しかし、圧力を掛けてきたG大阪の攻撃に守備が耐え切れなくなった。

 押し込まれた要因については「リードしたからなのか、普通にそういう展開になってしまったのかは分かりません」と話すが、展開としては予想をしていたものだったという。

「たしかに、押し込まれる時間帯が長かった。選手も頭の中で押し込まれる展開になるというのは頭に入っていたのですが、2-0に行って1点を入れられてから向こうが乗って来たし、こっちもスペースが軽く空くところがあって、そこをドリブルされることが増えてきてしまったなと思います。僕たちは『3点目を狙いながら、失点をせずに行こう』というサッカーだったので、2-1でそのまま行くっていう考えは持っていませんでした」

 前線からの守備がはまらなくなり、3失点を許して逆転された。このまま万事休すかと思われた残り10分、雷雨によって試合は55分間、中断した。この時間で東京Vの選手たちは、やるべきことを明確にできたと石神は言う。「2-3で負けているゲームは一度終わったつもりで、ロスタイム入れて残り15分のゲームを今から新しくやるつもりで挑もう。点を取りに行こうと、気持ちを切り替えて試合に入りました」。

 試合が再開されると、ピッチ上はまさに『別の試合』になっていた。水が浮き、ボールが止まってしまう。そんな中で、東京Vの選手たちはより正確に前線にボールを蹴り込んで行き、チャンスを広げていった。そして、後半ロスタイム、PA内で相手の守備がクリアーに手間取ったところを、石神が同点ゴールを決めた。

「僕も守っていても仕方がなかったのでね。ピッチが悪かったので、ロングボールを入れて行こうとみんなで話していました。ああいう風なクリアーミスも起こると思っていたので、前に上がっていきました」

 この試合で東京Vは4戦無敗(2勝2分)となった。前節では終了間際に、幸運な判定もありPKを得て勝ち点2を上積みし、この日も雷雨という不確定要素を味方につけて、勝ち点1を手にした。「中断もあって、追い付けたのは良かったですけど、勝たなきゃいけないゲームでした」。石神はそう繰り返したが、苦境で積み重ねた、この勝ち点3は、今後の順位争いで必ず大きな意味を持つはずだ。

(取材・文 河合拓)

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