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[選手権予選]コンバート策で覚醒の新潟明訓が4発快勝、堂々の決勝進出:新潟

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[11.3 全国高校選手権新潟県予選準決勝 新潟明訓高 4-0 北越高 新潟市陸上競技場]

 止まらない。止まる気配がない。圧倒的な破壊力を見せるc新潟明訓高が夏冬連続の全国大会出場に王手をかけた。第94回全国高校サッカー選手権の新潟県予選は3日に新潟市陸上競技場で準決勝を行い、夏の高校総体予選王者の新潟明訓は、4-0で北越高を下した。

 ハイレベルな技巧派集団として定評のある新潟明訓だが、今予選の決勝進出は11年ぶり。勝負強さを欠く面があり、今夏の全国高校総体でも初戦で敗退したが、その後にフィジカル能力に優れた左DF田辺大智をFWにコンバートするなど、配置を変更したことが好転のきっかけとなった。前線の破壊力が増し、今予選は新潟工高、新潟西高にいずれも5-0で勝利。北越戦も田辺の先制点をきっかけに4ゴールと圧倒的な攻撃力を見せつけた。

 3試合連続で同じプリンスリーグ北信越に所属する相手に大勝。新潟明訓の田中健二監督は「ポジションは5人ぐらい変えた。なかなか正しいピースをはめられずにいたが、夏の遠征で良い形になった。それに、12月に(プリンスリーグ北信越を優勝したことで出場権を得た)プレミアリーグ参入戦が残っているので、負けたらこのチームでの活動は最後という考え方をせず、刺激せずに進めている。あとは、相手が真っ向勝負をして来ることで、こちらの良さが引き出されている」とコンバート策だけでなく、大舞台にありがちな緊張感に負けることなく自然体で戦えていることも好調の要因に挙げた。

 勝敗は、前半だけで決した。主将の加藤潤が「前半で決めようと話していた。その点では前半は100%(の出来)だった」と話したとおり、新潟明訓は序盤から怒とうの攻撃を見せた。5分に右サイドからMF高橋怜大がシュート、6分に中村亮太朗がヘディングシュートと出だしから圧倒。10分、高橋が右サイドを深くえぐると、ラストパスをゴール前で受けた田辺が反転して、左足のシュートをゴールへ突き刺した。

 先制後も勢いは止まらず、21分にボランチの加藤が右から逆サイドへ大きく揺さぶり、中村がヘディングシュートを決めて2点目。前半終了間際には、右のコーナーフラッグ付近で得たFKを加藤が直接たたき込んで3点目。隙のない強さを見せつけた。北越は、長身FW安藤崇裕のポストプレーから右MF菅井皇太や左MF舛谷凛太郎がサイドアタックを仕掛けたが、2本のシュートを打つのが精一杯だった。

 新潟明訓は後半も攻め手を休めず、10分に右DF白井克秀のスルーパスに合わせて左へ抜け出た2年生アタッカーの関口正大が相手と競りながらもワンタッチゴールで3点目を奪い、反撃に燃える相手の勢いを削いだ。北越は後半に右から左へポジションを移したSB渡辺啓太が精力的なオーバーラップを繰り返して一矢を報いようとしたが、新潟明訓の勢いは止まらなかった。最前線では、ゴリゴリと音が聞こえそうなドリブルで田辺が相手守備網を突破。22分にCB木村風輝のフィードで中村が抜け出て、中央へのラストパスに関口が飛び込むなど流れるようなパスワークでも次々に決定機を演出した。

 31分には右CKから中村がフリーでヘディングシュート。33分には中村、高橋、田辺とショートパスをつないで、田辺がシュート。アディショナルタイムにも右からのクロスに途中出場の渋木理が飛び込むなど、前半に比べればシュートに持ち込む過程がやや粗くなったために5点目を奪うことはできなかったが、一度も相手に試合のペースを渡すことなく押し切った勝ち方は見事だった。15日にデンカビッグスワンスタジアムで行われる決勝戦では、帝京長岡高と対戦する。3試合連続得点の田辺は「明訓は、ここ何年も選手権に縁がない。夏から自分たちが成長して来たことを示すためには全国大会で戦うしかないと思うので、楽しみながら、一つの壁をしっかり乗り越えたい」と勢いを失うことなく、全国切符をつかみ取る決意を語った。決勝の大舞台でも驚異の破壊力を見せられるか、注目だ。

[写真]ヘディングで2点目を決めて喜ぶ新潟明訓・中村

(取材・文 平野貴也)
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