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[選手権予選]選手たち驚かせた分析力、存在感・・・復帰の星稜・河崎監督「全体で戦えるチームに」して全国へ

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[11.1 全国高校選手権石川県予選決勝 星稜高 3-0 鵬学園高 石川県西部緑地陸上競技場]

「試合をしながら、正直驚いてばかりでしたよ」。

 優勝を決めた石川県予選決勝の試合後、円になってクールダウンをしていた星稜高の選手達が、異口同音でこう発していた。

 筆者が「どういうこと?」と聞くと、「昨日、全体ミーティングで鵬学園との戦い方を確認したのですが、監督が僕らに言ったことが恐ろしいほど当たっていたんです。正直、指示を出す姿がかっこ良かったですもん」という言葉が返ってきた。

 選手達の言う通り、この試合で星稜が見せた試合運びの上手さは際立っていた。相手のストロングポイントを消し、逆に自分たちのストロングポイントを出して3-0の勝利。「僕の10番(弥村信幸)のマンマークや、相手の両サイドバックのオーバーラップのタイミングや性質とか。本当に的確で、凄いなと思った」(MF川渕陸)。

 この裏側には、名将の存在が大きかったのだ。河崎護監督が復帰したのは、9月のことだった。それまでは昨年度の全国高校選手権同様に、試合は木原力斗コーチが監督代行としてチームを見ていた。全国高校総体出場、プリンスリーグ北信越でも上位につけるなど、チームとしての成長は見せていたが、試合運びに関してはホームの試合を見つめる河崎監督も、「まだまだ足りない部分が多い」と指摘をしていた。そして、名将が復帰して最初に敢行したのが、守備の立て直しだった。

「ベースとなるのは守備。良い守備から、全員でサイドを活かしながら攻める。全員攻撃、全員守備をしっかりと出来るチームにしないといけない」。

 昨年の選手権直前に直面した事故から、体調も良好に向かい、バイタリティー溢れる名将の姿がグラウンドで見られるようになった。それだけでもチームの士気は高まるし、その名将が明確な方向性を示して、グラウンドで存在感を発揮することは、選手達にとって頼もしさ以外何物でもなかった。

「存在の大きさを改めて感じました。心強かったし、何より自分たちがもっと頑張って、監督の理想に近づかないといけないと強く思うようになりました」(MF大橋滉平)。

 情熱が情熱を生み、周りを牽引する。河崎監督が復帰してからのチームの成長は、非常に目を見張るものがあった。そして、プリンスリーグ北信越こそ、9月22日の最終戦で新潟明訓高に敗れ、2位から3位に転落し、プレミアリーグ参入戦進出は逃した。しかし、全員が選手権に向けて集中出来るようになったことで、より濃密な時間を過ごすことが出来た。

 結果、選手権予選では遊学館高、鵬学園という2つの難敵に対しても、危なげない戦いを見せて見事に17連覇を達成した。これでまだ名将との濃密な時間を過ごすことが出来る。

「もっと堅い守備と厚みのある攻撃を構築して、チーム全体で戦えるチームにしていきたい。それが出来るチームだと思っている」(河崎監督)。

 次なるターゲットは、2か月後の選手権全国大会。2連覇に向けて、どこまでチームを成長させることが出来るか。名将の情熱はさらに燃え上がろうとしている。

(取材・文 安藤隆人)
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