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[NB×東福岡]1年後、必ず笑顔で!新生・東福岡は厳しい指摘、辛抱も全て力に変えて日本一へ

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東福岡高イレブン

 高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグWESTで2位に入った13年、全国高校総体で17年ぶりとなる優勝を果たし、2選手をJ1クラブへ送り出した14年、全国高校総体と全国高校選手権で2冠を達成した15年、そして昨年は3人ものJ1選手を輩出した。“赤い彗星”こと九州の名門、東福岡高は近年、選手育成も含めて際立った結果を残している。

 福岡県内だけでなく、九州、全国のライバル達が打倒・東福岡を掲げて立ち向かって来る中、彼らはそれを跳ね除け、乗り越えながら進化してきた。特に昨年は森重潤也監督が「簡単なゲームはほとんどなかったと思う」という戦いの連続。目標とする日本一には手が届かなかったものの、それでも東福岡は激戦区・福岡3冠、九州新人大会優勝、プレミアリーグWEST4位、選手権全国8強という堂々の成績を残した。そして1月の全国高校選手権後にスタートした新チームも、周囲からの変わらぬ注目の中、高い野心を持って歩み始めている。

 今年、U-18日本代表、日本高校選抜に選出されたCB阿部海大(新3年)をはじめ、1年時からプレミアリーグや全国舞台を経験してきた新10番のMF福田湧矢(新3年)、技術レベル高いMF青木真生都(新3年)、抜群の運動量を誇る右SB中村駿(新3年)、MF木橋朋輝(新3年)、CB斉藤諒(新3年)と言った実力者達を擁し、GKは15年国体優勝守護神の緒方翔平(新3年)と16年U-16日本代表候補GK松田亮(新2年)らがハイレベルな争いを見せている。また長身FW大森真吾(新2年)や新1年生のU-16日本代表MF荒木遼太郎ら下級生にも素材感十分の選手達がおり、今年のヒガシも楽しみな部分が多い。

 だが、現状、選手、コーチ陣からは厳しい声ばかりが聞こえてくる。技術面、体力面、メンタル面の課題。特に意識の部分においては選手達の口にする意気込みがまだまだ行動で表現されていない状況だ。福岡県新人戦では5連覇を果たしたが、九州新人戦は4位。東福岡らしいスピード感溢れるパスワーク、サイド攻撃を見せる時間帯もあったが、接戦で相手を跳ね除け、乗り越えるような力を発揮することはできなかった。連覇を逃した選手達は悔しい思いを持って日々を送っているものの、全国2冠を達成した一昨年のような空気感にはまだまだ達していないという。悔しさを持ち続けてとにかく地道に、我慢強く成長を目指していかなければならない。

 森重監督は「(現時点では)各ポジション、全体的なレベルがあまり高くないということを感じている。辛抱で終わるのか、笑って終われるチームになるのか、チーム全体でやっていかないといけない」と指摘し、青木は「(九州4位は)結果として、自分らの実力が出ていると思うので、それについては何も言い訳することはないし、しっかり受け止めてやらないとこのままじゃ九州でも勝てないので、もっと練習から意識変えて、(4月開幕の)プレミアまでもう少し時間があるので、やっていかないと厳しい結果になると思います」と引き締めていた。

 3月、東福岡はAチームが戦うプレミアリーグをはじめ、セカンドチームが出場する福岡県1部リーグ、福岡県2部リーグ、福岡県3部リーグの各カテゴリーで“東福岡らしく戦うため”のベースである走力強化に取り組んだ。木橋は「(技術だけでなく)意識も低いと言われているので、自分から変えないと周りも変わらないと思うので自分から変えていきたい」。意識を徐々に変えている集団は走力強化の最中に行われたサニックス杯国際ユース大会で16年度全国2冠の青森山田高やプレミアリーグのライバル・福岡U-18を撃破して4位。悔しい敗戦と自信となる勝利を経験したチームはさらにレベルアップに励み、それを今後の結果に結びつけようとしている。

 東福岡で日本一に、という選手達が集まり、「1年の時はスタンドだったんですけど、日本一めっちゃ格好良かった」(斉藤)という先輩達の姿を追って、全国のトップを目指してきた。その目標とする位置が高いからこそある現状の危機感。森重監督は「春先当初から力が無いのであれば、夏まで、もしく冬までになるのかもしれないし、本当に一日一日を無駄にしないようにしていきたい。辛抱だけでは済ませたくはないし、最後結果として残せるチームにしたい」と語った。そして、福田は「監督やコーチに言われていることだけやっていても勝てないと思う。その中で自分達がどれだけ言われていることを越えられるかが大事になってくると思っている」。勝ったチームの良さ、課題も知るコーチ陣の下で日本一を勝ち取るための要素を磨いていくこと。例年以上に厳しい指摘を受けながらスタートした東福岡が来冬、笑顔で1年を終える。

(取材・文 吉田太郎)

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