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「“ガンバ”と言えば“イチマル”」となれるように…G大阪MF市丸瑞希、20歳の司令塔が目指すべき場所

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ガンバ大阪MF市丸瑞希

「DAZN×ゲキサカ」Road to TOKYO~Jリーグで戦うU-20戦士~Vol.5

 下部組織からガンバ大阪で育ったMF市丸瑞希は、トップチーム昇格2年目を迎えた。クラブではなかなか出場機会を得られないものの、5月に行われたU-20W杯では日本代表のユニフォームを身にまとって攻撃のタクトを振り、チームの決勝トーナメント進出に貢献した。世界大会で確かな手応えを得た20歳のコンダクターは今、どのような未来を思い描いているのだろうか――。

ウルグアイ戦は
人生で一番緊張した試合


――5月に行われたU-20W杯では3試合に先発出場しましたが、ご自身にとってどういう大会になったと思いますか。
「今まで海外遠征を経験してきた中でも一番手応えのあった大会だったし、決勝トーナメント1回戦で敗れてしまいましたが、自分の中では出し切った感はあります。今回のU-20W杯の経験を今後につなげないといけないと感じているし、サッカーをやっていく上で『あの大会を経験したおかげ』と言えるような成長ができたら一番良いと思っています」

――U-20W杯メンバー発表の前には、「入るか、入らないか」という不安もあったようですね。
「不安しかなかったですよ(笑)。ガンバで一切試合に出られていなかったし、ベンチにも入っていなかったので。コンディション的にも試合に出ている選手の方が絶対に良いと思っていたし、自分は練習試合でも出場時間のマックスは60分で、90分間やれていないというのが現実でした。メンバーには入りたかったので自信は持つようにしていましたが、Jリーグで試合に出ていて、試合勘のある選手を連れていくはずだという自分の勝手な思い込みもあったので、発表のときは不安の方が大きかったです」

――AFC U-19選手権(最終予選)の優勝メンバーで、チームへの貢献度も高かったと思いますが、それでも不安はあるのですね。
「実際に(内山篤)監督から『お前が必要だ』というような言葉を掛けられたことがあるわけでもなかったし、ピッチに立ってプレーするときには自信を持っていますが、自分は意外と心配性なので……。最終予選のときも試合に出られるかどうか毎試合分からなかったし、仮にその試合のパフォーマンスが良かったとしても、次の試合で絶対に出られるという確信も持てなかった。最終予選の後のアルゼンチン遠征、ドイツ遠征と海外遠征には呼んでもらえましたが、ずば抜けてパフォーマンスが良かったことはなかったので、やっぱり選ばれるかどうかという心配がありましたね」

――しかし、U-20W杯メンバーにしっかりと選ばれ、グループリーグ第2戦ウルグアイ戦ではスタメンに名を連ねます。初めて世界大会のピッチに立った時の心境はいかがでしたか。
「選ばれて自信もついたし、選ばれなかった選手の気持ちも背負って頑張ろうとしましたが、ウルグアイ戦は緊張感がメチャありました。試合開始の笛が鳴ってからは自分のプレーに集中できましたが、入場のとき、国歌を歌っているときの緊張感は半端じゃなかったです。最終予選で自分が最初に出た(グループリーグ第3節)カタール戦が、それまでの人生の中で一番緊張した試合でしたが、ウルグアイ戦は完全にカタール戦の緊張を超えて、『ヤバい、どうしよう』みたいな感じもあったし、何も考えられない状況でした」

――それだけの緊張がある中、プレーは堂々としていたと思います。
「自分でも不思議なんですけどね(笑)。笛が鳴って走り出し、ボールに触り出したら緊張感が全然なくなった。カタール戦のときもそうでしたが、試合が始まると自分のプレーに集中できました」

――その後の試合はすべて先発出場を果たしました。最終予選では第3戦からスタメンの座を勝ち取りましたが、大会途中から先発に定着する難しさはありましたか。
「逆に最初の試合をベンチから見ていると、チームの修正した方がいい部分が見えたりして、試合に出たときはそこを意識しようとするので、試合に入りやすかったりします。ただ、どんな相手と対戦しても自分のピッチ上での役割は大きく変わらず、やるべきことははっきりしているので、大会の途中から試合に出るようになっても難しさは感じません」

――自分のやるべきことを、改めて言葉にして教えてください。
「まずは最初の入りとしてゲームの組み立て、自分たちの流れを作ることを意識します。もちろん、それだけでは点は取れないから、どこかでアクセントを加え、リズムを変えるパスを出すことをずっと考えながらプレーしているし、試合状況に応じてペースをゆっくりにしたり、速くしたりしながら、ゲームをコントロールすることが求められていると思っています」

自分のスタイルが通用する
そういう感覚はあった


――U-20W杯では落ち着いてゲームをコントロールしていたと思います。
「フリーでボールを受けたら何でもできるというのは見せられたと思うし、仮にボールに触れなくても、自分のところに相手を食い付かせて他の選手を生かすこともできた。特に(グループリーグ第3節)イタリア戦では、右サイドからの攻撃をものすごく相手が嫌がっていたので、特に攻撃面に関しては『自分のプレースタイルが通用する』という感覚はありました」

――イタリア戦では右サイドハーフの堂安律選手、右SBの初瀬亮選手とのG大阪トライアングルが好連係を見せました。
「(内山)監督もそういう部分を考えて、自分をボランチの右で使ってくれているというのが伝わってきました。自分はたくさんボールに触って調子を上げていくタイプなので、特に律がいたからボールに多く触れられたし、律に出してリターンパスを受ける機会もたくさんありました。やっぱり、G大阪のチームメイトが多かったのは、自分にとってすごくプラスだったと思います」

――堂安選手とのコンビは相手の脅威となり、そのラインから得点も生まれました。
「大体、律がボールを要求してきますが、どこで欲しいかは目を見た瞬間に分かるし、そこに完璧なパスを出したら、あいつが好きなようにやればいいと思っています。得点場面では『前を向け』というメッセージを込めてパスを出しましたが、あんな良いゴールが生まれるとは想像していなかったです(笑)。でも、律だけを見てパスを出していても相手に読まれてしまうから、視野にボヤっとあいつを入れながら、岩崎(悠人)や左の三好(康児)くんや遠藤(渓太)の動きをしっかり見ながらプレーできたと思います」

――試合中は常に冷静に状況を判断しているし、視野の広さも感じます。
「いつも『冷静になろう』『冷静になれ』と思いながらやっていますが、視野が広いわけではないと思います。首を振って周りを見ることは無意識にやっていると思うけど、一度確認した後は大体イメージでやっているし、そのイメージが合ったら良い攻撃につながる感覚です。ボールを受ける前に、ある程度はパスコースを考えていますが、それを決めつけたらアカンと思っているし、ずっと頭をフル回転させながらプレーしています」

――対戦相手の守備で、アジアとの違いを感じることはありましたか。
「足が伸びてくるというのは感じましたが、それも最初の15分くらいでどれくらい伸びてくるかは分かるし、試合中に徐々に慣れていきます。だから、相手の守備に慣れてくる前半の終盤から後半にかけては、ボールを取られたらいけないと思っていました」

――自信を得られた部分もある中で、今後伸ばさないといけないと感じたところは?
「守備面に関してはまだまだ足りません。ガンバには今さん(今野泰幸)や(井手口)陽介くんという良い見本がいるので、先輩方のプレーを見て吸収していき、なおかつ自分の良さを最大限出せるようになれば、もっとレベルの高いプレーができるはずだと思っています」

ガンバでスタメンをとれば
五輪メンバーには選ばれると思う


――ともにU-20W杯に出場した高木(彰人)選手、堂安選手、初瀬選手から受ける刺激もあると思います。
「あいつらが試合に出ることで、悔しいという気持ちもありますが、『もっと頑張らなアカン』という良い刺激を受けるし、同期があれだけできているんだから、『自分もできなきゃアカンやろ』と思わせてくれます」

――G大阪では、なかなか試合に絡めないもどかしさもあると思います(インタビューは6月15日に実施。21日の天皇杯2回戦でトップチームデビューを飾った)。
「同じポジションに誰々がおるから、試合に出られなくても仕方ないということは絶対にないし、毎回ベンチに入れない悔しさはもちろんあります。ただ、試合に出ないと絶対にアカンと思うけど、自分の足りていないところや他の選手に負けているところは分かっているし、そこまで焦っていません。足りないところが急に伸びたらいいですけど、いきなり伸びるものでもないから、焦らずコツコツやっていくしかないと思っています」

――昨季はU-23チームの一員としてJ3リーグに出場していました。実戦経験を積んだ方がプラスになるということはありませんか。
「J3に出る出ないというのはチームが決めることなので、自分がどうこう言えることではありません。コンディションを上げていくには、もしかしたら試合に出た方がいいのかも知れませんが、トップチームで、よりレベルの高いところで練習ができているのは自分にとってプラスでしかない。課題の守備面やフィジカル面も、アデ(アデミウソン)や(長沢)駿くんだったり、ガンバのFW陣を相手にしても、負けない強さを練習から身に付けようという思いでやっているし、自分をレベルアップさせることを意識しています。日に日に、ホンマにちょっとずつだと思うしまだまだ甘いけど、球際の部分でも少しずつ強くなってきていると実感しています」

――ただ、U-20W杯で世界を相手に戦ったことで、日々積み重ねてきたものの成果を感じられましたと思います。
「今年に入ってから、試合に出ることを意識しながら練習してきましたが、一切出ることなくU-20W杯を迎えてしまいました。もちろん『もっとできたはずだ』という思いもありますが、練習からレベルの高いところでやって、ちょっとずつでも成長していたからこそ、世界を相手にしても自分の持ち味を出すことができたと思う。その手応えは感じられたし、自分の中でも大きかったですね」

――3年後には東京五輪が行われますが、当然意識は?
「3年後ですよね…、3年って短いとは思うんですけど、今の感覚ではあまり実感がないし、今はホンマにガンバで試合に出続けることしか考えていなくて、東京五輪のことをものすごく意識することはありません。3年後、ガンバでちゃんと試合に出られていたら、五輪メンバーには必然的に選ばれると思っているので、ガンバのボランチのスタメンを取る。今は、それしか考えられないですね」

――現時点で、将来的にこういう選手になりたいというイメージはありますか。
「『ずっとガンバでプレーしたい』、今はそう考えています。海外でプレーできればと思うこともありますが、海外がすべてではないと思う。Jリーグを盛り上げたいし、国内で成長できれば、世界に通用する選手になれると示したいです。ガンバで自分が中心としてやっていきたい気持ちがあるので、今一番良いのは、そうなることかなと思う。『ガンバと言えば市丸』となれるように、『市丸がおらなアカン』と思われるような選手になれるように頑張ります」

(取材・文 折戸岳彦)





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