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アジア王者から鮮烈2発!! JFL出身の大分FW藤本、成り上がりの秘訣は「何とかなる精神」

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ハットトリックを逃したことで、サポーターに悔しそうな表情を見せる大分FW藤本憲明

[2.23 J1第1節 鹿島1-2大分 カシマ]

 4年前までアマチュア選手だった遅咲きストライカーがアジア王者の堅守を打ち破った。6年ぶりにJ1の舞台に挑む大分トリニータは23日、リーグ開幕節で鹿島アントラーズと対戦。この日がJ1デビュー戦となったFW藤本憲明(29)がJ1初ゴールを含む2得点を挙げ、開幕白星スタートを飾った。

 青森山田高、近畿大出身の藤本にとって、社会人キャリアの第一歩は当時JFLの佐川印刷SC。午前中はサッカーの練習、午後は工場勤務という生活を4年間続けながらJリーガーの夢を追っていた。「我慢と結果」に向き合ったという苦しい時代を「あの時が長かった」と素直に振り返る。

 転機となったのは15年末、所属クラブの解散だった。すでに所帯を持つ身ではあったが、「逆にチャンスだと思った」とステップアップ先を模索。同カテゴリのJFLからJ3への参入が決まっていた鹿児島ユナイテッドFCのオファーを受け、晴れてJリーグの舞台に上り詰めた。

 キャリアはそこから上昇気流に乗った。J3初年度に27試合15得点を挙げてリーグ得点王を獲得すると、翌17年には30試合24得点という圧倒的成績で2年連続の栄誉を受賞。翌18年、大分への移籍で初めてJ2リーグに挑み、26試合という出場機会ながらチームトップタイの12得点を記録。チームを悲願のJ1昇格に導いた。

「やっとJ1に来ることができたので、JFLとJ3の選手の目標となれるようしっかり結果を出して、J1に行けるチャンスがあるというところを見せたい」。そうして迎えた今季、29歳にして初めてJ1のピッチに立った。それも昨季アジア王者の鹿島に対し、希望を与えるには十分すぎるほどのパフォーマンスを見せた。

 まずは前半11分、韓国代表DFチョン・スンヒョンとの競り合いを得意のターンでスルリとかわすと、単独突破でGKクォン・スンテと1対1の決定機を迎えた。「うまいこと手に当たった」というビッグセーブに阻まれたものの、「得点のにおいがするなと思った」とシュートミスにも動じず。前向きに次のチャンスを待った。

 すると8分後、ついに歓喜の時が訪れた。磨き上げてきた前線3枚のコンビネーションからPA内に切り込むと、うまくPA左に持ち出して左足を一閃。今度はGKクォン・スンテもまったく動けず、ボールは一直線にゴールへと突き刺さった。「良いシュートだったかな」。自画自賛の一発だった。

 その後、後半立ち上がりに同点とされた大分だが、同24分に再び藤本に見せ場が訪れた。カウンターからFWオナイウ阿道の絶妙なスルーパスに抜け出し、右足ダイレクトで冷静にシュート。14年のJFL、17年のJ3、18年のJ2で開幕戦にゴールを決め続けてきた“開幕男”がトップカテゴリの初陣でも2発を沈めてみせた。

 試合後、藤本は無作為に分担されるドーピング検査の対象となったため、チームバスが出発した後に一人遅れてミックスゾーンへ登場。それでも大勢の報道陣がヒーローを待っていた。主な話題は異色の経歴について。「JFL、J3の経験があったから今がある」と過去を振り返り、自身の選手キャリアを丁寧に説明していた。

 もっとも、持ち前のキャラクターゆえ湿っぽい雰囲気にはならず。青森山田高の後輩MF柴崎岳とのエピソードを問われれば、昨年11月に行われた日本代表の大分合宿で「まず覚えてる?って聞きました」と冗談交じりに返答。JFL時代の苦労を乗り越えた秘訣を「ノリっすね。“何とかなる精神”で上がってきました」とあっけらかんと語るなど、終始なごやかなムードで世間に存在を知らしめた。

 とはいえ、浮かれていただけではない。リードを広げられなかった2度の決定機逸には反省の言葉も口をつき、「J2時代からハットトリックは遠い存在。チャンスを決め切れる選手になれるようにもっと成長しないといけない」ときっぱり。国内最多20冠の名門に一泡吹かせた自信と、J1デビューの舞台で感じた自身の課題。プロ入り4年目、遅咲きストライカーの本領発揮はこれからだ。

(取材・文 竹内達也)
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