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94人全員で進化目指す“公立の雄”大津の1年生、個々の特長と細かさ発揮して4年連続の全国ルーキーへ

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“公立の雄”大津高が4年連続のルーキーリーグ全国大会出場を決めた。選手たちは手で“5連覇”を意味する「5」を表現

[11.29 球蹴男児U-16リーグプレーオフ 日章学園高 2-4 大津高 大津運動公園]

 九州の強豪校が90分間ゲームのリーグ戦を通して1年生選手の育成および指導者のレベルアップを目指す「球蹴男児U-16リーグ」は29日、ルーキーリーグ全国大会(12月、静岡)出場を懸けたプレーオフ2試合を行った。D1リーグBグループ1位の日章学園高(宮崎)と同Aグループ2位・大津高(熊本)との一戦は大津が4-2で勝利。4年連続4回目の全国大会出場を決めた。

 前半は全国中学校大会優勝世代の日章学園がプッシュした。小さな局面を打開するFW松下貴要やPA付近で高い能力を披露するMF石崎祥摩、ゲームメーカーのMF金川羅彌主将、右の俊足SB藏屋明徹がゴール前のシーンを作り出し、シュートやラストパスへ持ち込もうとする。だが、木村優成コーチが「去年よりは細かさは求めてスタートしました」という大津は、ゴール前で隙を見せない。最後まで相手に身体を寄せ、一歩を踏み出し、ことごとくブロック。また、184cmGK西星哉が高さを発揮してゴールを守る。

 大津は「まずキャプテンとしてチームが苦しい時に何ができるか、自分が一番戦わなければいけないと思っています」というMF浅野力愛主将をはじめ各選手がボールを奪うこと、ゴールを守ることへの執念を感じさせる守備。その姿はプレミアリーグ(今年はスーパープリンスリーグ九州)で成長を続けるトップチームのようだった。昨年のルーキーリーグ全国大会決勝で桐光学園高(神奈川)に1-5で敗れていることもあり、例年以上と言えるほど細部にこだわって強化。その細かさが表現されていた。

 前半、主導権を握っていたのは日章学園だったが、福島将太コーチは「少しのところの差は感じましたね。前半が全てでした」と振り返る。先制点が奪えない日章学園に対し、大津はU-16日本代表候補FW小林俊瑛の高さや10番MF田原瑠衣、MF香山太良の突破力を活かして攻め返す。37分にはサイドチェンジから右サイドの田原が左足クロス。これに走り込んだFW山下基成が決定的なヘディングシュートを放った。

 そして39分、大津は浅野が中央をドリブルで駆け上がり、左へ展開。PAへ潜り込んだ香山がそのまま左足を振り抜く。この一撃がファーサイドのゴールネットを揺らし、先制点となった。

 後半も日章学園は松下の仕掛けなどからゴールへ迫る。だが、浅野やCB野田翔升、CB齋藤翔、右SB佐伯航汰を中心に堅い大津は後半も崩れない。それでも、日章学園は後半19分、PAの混戦で石崎が体勢を崩しながらも足を伸ばしてキープ。ボールを離さず、体勢を立て直した石崎は左中間から縦に仕掛けて左足を振り抜く。この一撃がゴール右隅に決まり、1-1となった。

 この後、試合はオープンな展開に。その中で球蹴男児リーグ4連覇中の大津が意地を見せる。後半28分、セカンドボールを繋ぐと、左SB下袴田大悟がダイレクトで出した縦パスで山下がPAへ抜け出し、PKを獲得。小林や浅野とともにトップチームにも絡んでいる山下がこのPKを右足でゴールに沈めて2-1とした。
 
 大津はさらに37分、中央のMF井伊虎太郎からのパスを受けた田原が左足で逆サイドへ展開する。左オープンスペースを突いた香山が一気に縦へ切れ込むと、そのまま左足でニアサイドを破り、3-1とした。リードを広げた大津は各選手が上手さを発揮。奪ったボールを失わずに時間を進める。

 日章学園は43分、金川のサイドチェンジから交代出場の右MF中村詩音が縦へ仕掛け、右足シュートをねじ込んで再び1点差。だが大津はアディショナルタイム4分、左サイドを抜け出した香山のラストパスを小林がニアサイドで合わせて決着をつけた。木村コーチが「今年の1年生は凄く色がありますね」という特長と細かさを大一番で発揮した大津が激闘を制した。

 今年、大津には94人の1年生がいる。“育成の大津”で進化することを目指して阿蘇の麓に集まった選手たちだ。前日にはこの日の決戦と同会場で開催されたU-16フェスティバルに参加。1年生のトップチームを除く選手たちが4チームを編成して対外試合を実施し、無敗で終えたという。1年生トップチームの選手たちは、普段支えてくれている同級生たちの必死の戦いを見て奮起。「自分たちもやるしかない」という気持ちで臨んだ選手たちが身体を張って戦い、全国切符を勝ち取った。

 木村コーチは「(全国大会では)他の地域のチームとしっかりと良い経験をしながら、子どもたちが成長してくれれば良いなと思います」と期待。そして、浅野は全国大会へ向けて「大津高校は全国制覇という目標でやってきていますし、目指しているのは『日本一の集団となって全国制覇』。それにはまだ足りていない部分もあるので、2週間で直して真の日本一の集団となって日本一を目指して頑張っていきたい」と力を込めた。94人の1年生全員で進化を目指す“公立の雄”大津。真の日本一の集団となって全国制覇に挑戦する。
 
(取材・文 吉田太郎)
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