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【スパイクで見る高校サッカー選手権】第99回大会で一番多く履かれたのはあのスパイク!ランキングベスト10発表

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第99回全国高校サッカー選手権での最多着用スパイクは?


 第99回全国高校サッカー選手権に出場した全48校のスタメン11人の合計選手数は計528人。前回大会に引き続き、今大会も選手権の初戦でスタメンとなった11人の着用スパイクを全チーム分すべてスパイクマイスターKoheiが独自リサーチ。全国高校サッカー選手権での最多着用スパイクランキングを算出し、現在のサッカースパイク事情を読み解いていく。

 ちなみに前回の第98回大会では優勝校静岡学園高のスタメン11人のうち8人が着用し、全体では84人もの選手が着用したミズノ『モレリアネオ2』が第1位に輝いた。2020年はEURO2020や東京五輪が予定されていたこともあり、各メーカーが新作スパイクを続々と投入した年でもある。全国大会へと駒を進めた高校生プレーヤーたちの足元にどんな変化があったのだろう。

1位:ミズノ『モレリアネオ3』

 今大会で一番多く履かれたスパイクは計44人が着用したミズノ『モレリアネオ3』だ。前回大会で断トツの1位となった『モレリアネオ2』の進化版スパイクである。

 世代を問わず絶大な人気を誇った『モレリアネオ2』の良い部分は引き継ぎつつ、より柔らかく、より素足感覚の履き心地が体感できるようにアップデートしたのが『モレリアネオ3』の特長。

 前回大会で84人が着用した『モレリアネオ2』と、2020年6月に発売となった新作スパイクである『モレリアネオ3』ではどちらが多く着用されるのか。第99回大会のスパイクランキングにおいての一つの注目ポイントとなっていたが、『モレリアネオ3』に軍配が上がった。

5位:ミズノ『モレリアネオ2』

 ちなみにその『モレリアネオ2』は計30人着用で5位にランクイン。『モレリアネオ2』も引き続き根強い支持を得ているのが窺える結果となった。『モレリアネオ3』は全体的に柔らかさが格段にアップし、足なじみもさらに良くなった一方、『モレリアネオ2』は柔らかなフィット感の中に中足部や履き口周りをしっかりとホールドしてくれる安定性が感じられるのがストロングポイントとなっている。

 今大会では各プレーヤーの好みやプレースタイルに応じて『モレリアネオ2』と『モレリアネオ3』を選び分けて履くことができた大会だったと言えるだろう。ただし『モレリアネオ2』はすでに廃版(生産終了)になっており、今後は新品の入手が難しくなる。次の第100回大会では『モレリアネオ2』の着用数はさらに減少している可能性が高い。

2位:ナイキ『マーキュリアルヴェイパー13』

 第2位には36人着用のナイキ『マーキュリアルヴェイパー13』ミズノ『モレリア2』アシックス『DSライトX-FLY4』が同率ランクイン。

 ナイキ『マーキュリアルヴェイパー13』は前回大会では28人が着用して第2位にランクインしていたが、今大会でも2位の座に君臨。軽く、一体感に優れ、ソールの反発性の高さも兼備しプレーヤーのスピードや加速性をサポートするのが特長のスパイクである。

 そういったスピードに特化した機能性はもちろん、デザイン性の高さや、MFエデン・アザール、MFルカ・モドリッチ、FWアーリング・ハーランドなど世界のトッププレーヤーたちがこぞって着用しているという事実も人気度の高さに影響しているのかもしれない。

2位:ミズノ『モレリア2』

 ミズノ『モレリア2』はサッカーをプレーしている人なら知らない人はいないぐらい”王道”のスパイクである。前回大会では22人着用だったが、今大会では36人着用という結果に。これは2020年1月に実施された『モレリア2』の設計や構造のリニューアルが功を奏した形だと言えるだろう。

 1985年から継続して販売されているロングセラースパイクの『モレリア』は、大きく変わらないからこそ安心して長く愛用できるメリットがある一方で、流行に敏感な高校生プレーヤーから”飽きられる”可能性もある。そういう中で『モレリア2』は2020年1月に基本的なデザインはそのままに、現代のサッカープレーヤーのニーズや足型の傾向に合うように設計や素材・構造などを細かくリニューアル。

 そのリニューアルに加え、普段なかなか新色が出ない『モレリア2』で「白×金」や「青×白」などの限定カラーが発売され、一時的にカラーバリエーションが増えたのも『モレリア2』の着用者数の増加に繋がったと考えられる。

2位:アシックス『DSライトX-FLY4』

 アシックス『DSライトX-FLY4』は第97回大会では17人、第98回大会では24人、今大会では36人が着用。回を重ねるごとに着実に着用者数を伸ばしており、今後もさらなる着用者数増加が期待されるポテンシャルを秘めたスパイクである。軽量で、フィット性に優れ、素足感覚の履き心地が体感できるのが特長だ。

6位:『ティエンポレジェンド8』

 第6位には27人着用のナイキ『ティエンポレジェンド8』がランクイン。上質なカンガルーレザーをふんだんに採用し、柔軟なフィッティングと抜群の足なじみを発揮するスパイクである。

 前回大会では最新モデルの『ティエンポレジェンド8』が11人、旧モデルの『ティエンポレジェンド7』が15人着用で最新モデルよりも旧モデルの方が多く履かれるという事態になっていたが、今大会では『ティエンポレジェンド7』は8人着用という結果に落ち着き、最新モデルの面目躍如となった。

7位:プーマ『キングプラチナム』

 第7位は21人着用のプーマ『キングプラチナム』。2020年9月にブラジル代表FWネイマールがプーマとサプライヤー契約を締結。そしてネイマールがプーマと契約して最初のスパイクに選んだのがこの『キングプラチナム』である。

 ステッチがほぼ無いカンガルーレザーのアッパーに一体型のニット素材を組み合わせたことで、優れた一体感と柔軟なフィット性が得られるのが特長。1回戦で昌平高と激闘を繰り広げた高川学園高はスタメン11人全員がプーマ『キングプラチナム』を着用していたことで話題となった。

8位:ナイキ『ファントムGT』

 第8位にはナイキ『ファントムGT』プーマ『ウルトラ1.1』がそれぞれ18人着用で同率ランクイン。

 『ファントムGT』は2020年8月に発売された新作スパイクで、ボールコントロールをサポートしプレーヤーのスキルを最大限引き出すことをコンセプトにしたスパイク。青森山田高のエースで10番MF松木玖生(2年)らが『ファントムGT』を着用。

8位:プーマ『ウルトラ1.1』

 プーマ『ウルトラ1.1』は片足重量160g(27cm)という超軽量性が持ち味のスパイク。耐久性やヘタリにくさも併せ持ち、ただ単に軽いだけでなくフィッティングも良くて履きこなしやすいのもポイント。『ウルトラ1.1』も2020年8月に発売された新作スパイクである。

10位:ナイキ『ファントムヴェノム』

 第10位は15人着用のナイキ『ファントムヴェノム』がランクイン。前回大会では26人が着用し3位だったが、最新モデルである『ファントムGT』に人気が流れたことで今大会は10位となった。

 上記が今大会のランキングベスト10である。スタメン全528人の着用スパイクをメーカーごとに集計した結果は、ナイキ152人、ミズノ135人、アディダス79人、プーマ72人、アシックス56人、ニューバランス21人、アスレタ5人、アンブロ4人、アンダーアーマー4人という割合になった。

 お正月の風物詩、今季の箱根駅伝では出走したランナー全210人のうち201人、約96%の選手がナイキのシューズを着用し”ナイキ一強”の結果が話題となったが、高校サッカー選手権でもスパイク占有率ではナイキが1位に。しかし、全体的な割合でみるとナイキは約28%の占有率で、それに次いでミズノが約25%、アディダスが約14%、プーマが約13%、アシックスが約10%という結果だった。

 この上位5メーカーの占有率は前回大会と順位に変動がなかった一方で、ニューバランスは前回大会では13人の着用者数だったのが今大会では21人に微増し6番手にランクアップ。優勝候補の一角と目されていた昌平高のスタメンのうち9人がニューバランスのスパイクを履いていたことも注目された。

 今大会のスパイクランキングの結果を総括すると、『モレリアネオ3』が計44人着用で1位に輝いたが、2位との差はたった8人であり、2位以下もそれぞれ数名程度の差しかない。そして今大会で履かれたスパイクのモデルの総数は全部で82モデルにも及ぶ。

 今大会に出場した計528人の選手たちがそれぞれこだわりをもってスパイクを選び、”全国高校サッカー選手権”という檜舞台に臨んでいた。人の足の形は千差万別。「このスパイクならどんな人にも合う!」というものはない。この記事をご覧頂いている方も各々が自分の足型やプレースタイルに合うスパイクをしっかりと見極めた上でサッカーを楽しんでほしいと思う。

■高校サッカー選手権最多着用スパイクランキング
1位:44名
ミズノ『モレリアネオ3』
主な着用選手は帝京長岡高DF桑原航太(1年)、堀越高DF井上太聖(3年)。

2位:36名
アシックス『DSライトX-FLY4』
藤枝明誠高のMF中山碧(3年)、広島皆実高のMF二井田樹(3年)などが着用。

ナイキ『マーキュリアルヴェイパー13』
京都橘高のFW西野太陽(3年)、山梨学院高のFW久保壮輝(3年)などが着用。

ミズノ『モレリア2』
青森山田高MF安斎颯馬(3年)やFW名須川真光(2年)などが着用。

5位:30名
ミズノ『モレリアネオ2』
矢板中央高のFW多田圭佑(3年)、関東一高のMF類家暁(3年)などが着用。

6位:27名
ナイキ『ティエンポレジェンド8』
市立船橋高のDF石田侑資(3年)、丸岡高のFW河上英瑞(3年)などが着用。

7位:21名
プーマ『キングプラチナム』
高川学園高のMF林晴己(2年)、富山一高のFW吉倉昇空(3年)などが着用。

8位:18名
ナイキ『ファントムGT』
青森山田高MF松木玖生(2年)、東福岡高MF青木俊輔(3年)などが着用。

プーマ『ウルトラ1.1』
神村学園高FW福田師王(1年)、履正社高MF井谷洸一郎(3年)などが着用。

10位:15名
ナイキ『ファントムヴェノム』
堀越高FW尾崎岳人(3年)、松本国際高FW早川宗之(3年)などが着用。

(取材・文 スパイクマイスターKohei)
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