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[関東大会予選]主軸不在、ラストプレーでの失点。逆境乗り越えた武南がPK戦制し、関東大会へ:埼玉

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武南高がPK戦を制して関東切符獲得

[4.27 関東高校大会埼玉県予選準決勝 浦和西高 1-1(PK4-5)武南高]

 武南が関東大会出場権獲得! 27日、2021年度関東高校サッカー大会への出場権を懸けた埼玉県予選の準決勝が行われ、武南高が1-1で突入したPK戦の末、5-4で浦和西高に勝った。関東大会への出場を決めた武南は、2019年度大会に続く優勝を懸け、決勝(29日)で西武台高と戦う。

 武南が逆境を乗り越えて関東切符を勝ち取った。この日は怪我のGK五十嵐蒼太(3年)と出場停止の左SB小曽戸堅心(3年)が不在。また、この日は浦和西のロングボールを警戒して長身MF村松輝人(3年)を先発起用したことでメンバーは普段と異なった。だが、「代わって入った子が気持ちも入っていた」(内野慎一郎監督)。試合前から選手たちが自発的に言葉を掛け合ってロングボール対策を練るなど、主軸の不在を全員でカバーした。

 試合は序盤から浦和西がシンプルなロングボールとセットプレーで武南DFにプレッシャーをかける。武南は奪ったボールを相手に引っ掛けるシーンも増えていたが、それでも狭い局面でも余裕のあるボールコントロールを見せていたMF水野将人(3年)や、MF江川諒汰(3年)らがマークを外して前進。特にCB中村優斗主将(3年)はインターセプトを連発した上に攻撃面でも相手のプレッシャーを幾度も簡単に剥がし、そこから正確なパスをつけるなど違いを生み出していた。

 個々が先を読みながらボールを動かしていた武南がペースを掴んだが、浦和西も空中戦で1ランク上のプレーを見せていたDF珍田知輝(3年)やDF小池耀晟(3年)が制空権を握り、最後の局面でDF倉元英杜(3年)がカバー。また攻撃面でもFW柳澤優斗(2年)の鋭い仕掛けや右サイドで非常にエネルギッシュな動きを見せていたMF磯部裕貴(3年)が相手を苦しめて見せる。

 だが、落ち着いて攻撃を作り続けた武南が先手を取る。前半アディショナルタイム、右中間でボールを持ったFW櫻井敬太(2年)がループパス。強引にDFの前に出た右SB重信有佑(2年)の折り返しをゴール前でフリーの江川が押し込み、リードを奪った。

 後半、浦和西は押し込んでからの崩しという強みも見せながら反撃。武南は流れの悪い時間帯が続いたが、GK牧之瀬拓人(2年)や中村、CB鈴木翔汰(2年)が相手の抜け出しやシュートを止めて得点を許さない。逆にドリブルを効果的に活用した攻撃で押し返していた。

 交代カードを切りながら試合を締めに行った武南だが、浦和西が底力を示す。後半アディショナルタイム6分、MF市耒嵜藍介(3年)の左ロングスローから珍田の放ったヘディングシュートがクロスバーをヒット。こぼれ球を約5か月間の離脱から復帰してきたFW山本海翔主将(3年)が押し込んで延長戦に持ち込んだ。

 武南は延長戦でチャンスを作るも決めきれず、浦和西も後半終盤から前線へ上がった珍田のミドルシュートがクロスバーを叩くなど勝ち越し点を奪うことができない。互いに延長後半終了間際に“PK戦要員”のGKを投入。迎えたPK戦ではともに1人目から4人連続で成功する。そして5人目、先攻・浦和西のシュートを武南GK小佐野耕喜(3年)が右へ跳んでストップ。武南は直後にCB鈴木が右足シュートを決めて決着をつけた。

 武南は後半ラストプレーで追いつかれながらも、そこで折れること無く戦い、PK戦では5人全員が練習通りのキックを決めて勝利。内野監督は「あんな失点の仕方をして落ちると思うんですけれども、その中で耐えてやってくれた。みんなの力だな、メンタル面でちょっと成長が見れたかな、と思いました」と選手たちを讃えた。

 2年前の前回大会に続く関東切符獲得。中村は「本当に誰が良かったとかではなくて、チーム全体が頑張ってくれたので、関東出場は自分たちの目標にしていましたし、一昨年先輩たちが優勝しているので連覇したい」。逆境を全員で乗り越えた名門・武南。西武台との決勝も勝利して埼玉1位として関東大会に臨む。

(取材・文 吉田太郎)

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