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[MOM3459]大宮U18MF阿部来誠(2年)_才気あふれる右足の魔術師。セットプレーで圧巻の1G1A

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大宮アルディージャU18の司令塔、MF阿部来誠

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.16 プレミアリーグEAST第6節 市立船橋 1-4 大宮U18 グラスポ]

 14番がひとたび右足を振るうと、何かが起きそうな空気感がピッチに広がる。「守備よりは攻撃の方が得意で、キックの精度とか、自分でボールを運んだりとか、そういう所が特徴なので、攻撃面で自分を出して目立ちたい想いはあります」。大宮アルディージャU18の司令塔。MF阿部来誠(2年=大宮アルディージャU15出身)のサッカーセンスは、プレミアの舞台でも異彩を放っている。

 今年はプレシーズンから自分でも手応えを掴んでいたものの、開幕を控えたタイミングで負傷。「開幕の前にはスタメンで出させてもらっていたので、大事な所でケガしてしまって悔しい想いもあったんですけど、その時にやれることがたくさんあって、それが少しは成長にも繋がったのかなと個人的には捉えています」。自らを見つめ直す助走期間を経て、第3節の柏レイソルU-18戦で途中出場を果たすと、以降はスタメンに定着。ボランチの位置でチームを牽引している。

 この日もキャプテンのMF高橋愛翔(3年)と組むドイスボランチで先発し、数本のセットプレーを担当すると、前半23分に見せ場が到来。ピッチ右サイド寄り、ゴールまで25メートル近い位置で獲得したFK。レフティの左SB市原未藍(3年)と阿部がスポットに立つ。

 短い助走から阿部が右足で蹴り込んだボールは、6枚の壁をものともせず、右スミのゴールネットへ吸い込まれる。「昨日の練習でも蹴っていたんですけど、1本しか入らなくて。でも、その1本が良い感じで入って、今日も同じ形だったので決められて良かったです。でも、昨日決めたのは左スミだったんですけど(笑)」。その才能が一蹴りで煌めいた。

 さらに、後半17分にも正確な右CKを中央へ打ち込み、DF小澤晴樹(2年)が決めたチーム4点目をアシスト。「阿部は凄くキックの精度が高い選手なので、彼が入ったことによって得点パターンも増えてきますし、セットプレーの所は強さが出るのかなと思います」という丹野友輔監督の期待に応える、セットプレーからの1ゴール1アシストで、チームの勝利にきっちり貢献してみせた。

 もともと攻撃面には定評があったが、U18昇格後はやや守備の部分で苦しんだという。「ジュニアユースの時は自由にやらせてもらっていたので、やりやすかったですけど、ユースに上がってからは守備のレベルの低さとか、球際の弱さとかもはっきりわかりました」。

 だが、意識的にその部分へ目を向けたことで、少しずつ課題も改善傾向に。「まだまだですけど、少しずつ良くなってきているので、攻撃でも守備でもチームに貢献したいと思います」と手応えも口に。攻守に戦える選手を目指して、トレーニングから向上心を絶やさない。

 アルディージャに入ったのは、小学校3年生の頃。「最初にセレクションを受けた時は、アルディージャのことを知らなくて(笑)、お父さんが『受けてみない?』と言ってくれて、『自分の立ち位置を知れればな』という感じで受けたんですけど、ここに入ってからはアルディージャの選手ということを意識しています」とのこと。ゆえにここから先の目標も、身近な先輩が切り拓いている道を見据えている。

「シバくん(柴山昌也)も1年目からトップで試合に出ていて、尊敬しているというか、『凄いな』と思っているので、自分もこれから年代別の代表とかに選ばれて、トップチームに昇格することが目標ですし、1年目から試合に関われるような選手になりたいです。そうなるためには今が勝負だと思うので、少しでもチームの力になって、今年からでもどんどんトップの所にも関わっていきたいです」。

 寡黙な雰囲気が、一層その才気を際立たせる。絶対的なキックの力を持つ男。大宮U18の試合では、阿部の右足に注目しておく必要が常にある。

(取材・文 土屋雅史)
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