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[MOM3623]佐賀東MF森田悠斗(3年)_プロの舞台で中野伸哉と再会を――。ライバルの背中を追う主将がチームを救う決勝弾!

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値千金の決勝弾を挙げた佐賀東高MF森田悠斗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権佐賀県予選準決勝 佐賀東高 1-0 龍谷高 鹿島市陸上競技場]

 思うようにボールが出てこない。ビルドアップが上手くいかず、守備ブロックの外でボールを回すだけで、攻撃のスイッチを入れる縦パスは数える程。序盤から相手の組織的な守備に苦しんだ中で、佐賀東高を救ったのは主将のMF森田悠斗(3年=サガン鳥栖U-15出身)だった。

 後半32分、人数を掛けて攻撃を仕掛けると、ゴール前にボールがこぼれる。右サイドハーフの位置から中に入ってきた森田はトップスピードで突っ込むと、見事なファーストタッチで相手の背後にボールを送る。「ボールをもらった瞬間にイメージが湧いた」と振り返ったトラップで相手を置き去りにすると、龍谷のGK小野櫂音(2年)が前に出たタイミングで浮き球のシュートを放つ。完璧なボールコントロールと冷静な判断でネットを揺らし、チームに勝利をもたらした。

「あの場面で決めるのは自分の仕事。キャプテンとしてもあそこは決めないといけない」。森田は値千金の決勝弾に胸を撫でおろしながらも、自身のゴールを素直に喜んだ。

 サガン鳥栖U-15出身でU-18への昇格を勝ち取れなかった中学時代を経て、現在は佐賀東のキャプテンとして輝きを放つ森田。佐賀東を選んだ理由は、2つ上の兄がいたからだった。

「兄が佐賀東でプレーしていたし、蒲原監督のサッカーを見ていて面白そうだったんです。ここであれば、クリエイティブなサッカーができる。もともとはドリブルで勝負したいタイプで、佐賀東であれば特徴を生かせる想いがあった。なので、佐賀東以外は考えていなかったし、U-18に上がれなかった悔しさもあまりなかったんです。上がれないだろうとは何となく勘付いていた。自分たちの代はタイトルも取っていないので、多くの人数はU-18に昇格できないと思っていたんです」

 高校入学直後は出場機会をあまり得られなかったが、小気味良いドリブルと高校入学後に身に付けた得点感覚で2年時からレギュラーに定着。昨冬の高校サッカー選手権でも市立船橋高(千葉)との初戦でスタートからピッチに立った。迎えた今季はキャプテンに就任。プレー面だけではなく、リーダーとしてもチームに欠かせない存在へと成長を遂げた。

 そんな森田にはライバルがいる。鳥栖のトップチームでプレーするDF中野伸哉だ。小学校時代から仲が良く、中学時代は同じチームでプレー。高校2年次にJ1デビューを果たし、高校3年生となった今夏にプロ契約を結んだ盟友の存在は自身の刺激になっている。「小学校時代から知っていて、隣町で仲が良かった。ずっとライバルみたいな感じです。伸哉が鳥栖でやっているのは刺激になるし、お手本にもなる存在。最近は試合でたまに会うぐらいしかないけど、いつか同じステージで戦いたい」

 自身は高卒でのプロ入りを果たせなかったが、大学経由でのプロ入りを目標としている。そのためには選手権で活躍し、より良い形で大学生活をスタートさせたいところ。「最近は連絡を取っていないけど、今日はあっちから連絡来るかな」。笑顔を見せた佐賀東のチームリーダーはライバルとプロの舞台で再会を果たすことを誓い、最後の冬を駆け抜ける。

(取材・文 松尾祐希)

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