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狙うは県内全タイトル…比叡山を延長戦の末に下した草津東、自信と勢いを手に決勝へ

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途中出場で決勝点を奪った草津東高FW権田英史朗(3年、9番)が喜びを爆発させる

[6.2 インターハイ滋賀県予選準決勝 草津東高 1-0 比叡山高 会場未公表]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技の滋賀県予選準決勝が2日に行われた。延長戦までもつれた草津東高比叡山高の一戦は、FW権田英史郎(3年)が途中出場でゴールを奪い、草津東が1-0で勝利した。4日の決勝では近江高と対戦する。

 他校の監督が、「草津東が抜けている」と声を揃えるように戦力の充実度は県内で目を惹く。普段は謙虚な姿勢を崩さない牛場哲郎監督も、それだけの選手がいる自覚がある。「今年はタイトルを逃さないようにと拘りを持ってやっている。やはり選手権だけでなく、インターハイもしっかり全国の場に行けるようにと考えていた」。

 ただ、そうした戦力差がピッチで反映されないのがサッカーの難しさで、一発勝負であるトーナメントの難しさもある。「草津東とは明らかに戦力差があるので、粘り強く泥臭く1点をもぎ取って勝つプランを持っていた」。比叡山の林孝紀監督が明かした通り、相手も打倒・草津東を目指して対策を練ってくる。この日の試合もそうした難しさを痛感する展開となった。

 前半13分に、自陣からのフィードを受けたDF西脇凜癒(3年)が左サイド高い位置をとり、ゴール前にクロス。中のFW森優斗(3年)が受けたが、コントールが上手く行かずGK松本優輝(2年)に阻まれた。以降も、MF河合勇徳(3年)の配球から、森の飛び出し、FW河野晟也(3年)のドリブルから見せ場を作ったが、1点が生まれない。反対に「自分たちは初戦から立ち上がりの雰囲気が悪かったので、今日は立ち上がりから全員で行くと声を掛けていた」(MF東田篤樹、3年)比叡山のカウンターを受け、同14分にはFW松田京斗(3年)がゴール前でフリーとなる場面もあったが、GK福田駿介(3年)がストップした。

 後半もペースは草津東。同2分にはコンビネーションでの前進から、河野がシュート。ゴール前にこぼれた所を森が詰めたが、シュートは枠を捉えられない。同18分にもMF伊藤翔汰(3年)が上げた右クロスのこぼれをDF渡邉良(3年)が狙ったが、枠の上に逸れた。「チャンスはいっぱいあったけど、なかなか決められなくて、流れを何回も相手に持って行かれた」と河合が振り返った通り、後半の終盤はロングスローとCKを繰り返した比叡山に押し込まれた。しかし、DF篠原優太(3年)とDF西村海希(3年)のCBが落ち着いて対処。福田も思い切ったパンチングでピンチを凌ぎ、0-0で延長戦となった。

 延長戦でも試合が動かず、両チームにはPK戦が頭によぎっていたが、延長後半6分に試合が動いた。草津東が左CKを獲得すると、渡邉がファーに展開。西村がヘッドで折り返したボールを途中出場の権田が押し込んだ。これが決勝点となり、草津東が決勝へと駒を進めた。

 チャンスを作りながら活かせず、延長戦までもつれるなど課題もあったが、県内のタイトル全てを狙う草津東にとっては勝てた事に大きな意味がある。「内容を見れば、決め切れる所もあったと思う。相手の攻撃に苦しんだ時間もあったけど、大崩れせず、慌てる事もなく対応してくれた。決めきれたのも選手たちの自信になった。延長を戦ってしんどいですけど、勢いが付いたのかなと思います」(牛場監督)。決勝では準決勝の苦戦を自らの力に変え、まずは1つ目のタイトルを掴み取るつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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