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千葉が"J2仕様"の戦い方で初勝利

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[3.14 J2第2節 千葉2-0鳥栖 フクアリ]

 今季初先発のMF米倉恒貴が2得点でジェフユナイテッド千葉にJ2初勝利をもたらした。嫌な予感もかき消した。前半21分には右足ミドルがクロスバーを直撃。カップ戦ではゴールがあるもののリーグ戦では過去27試合で無得点に終わっていた21歳は「あれが入らなくて、今日も入らないかなと思った」と言う。前半終盤から後半立ち上がりは鳥栖にペースも握られていた。それでも、自らの右足で流れを一変させた。

 後半6分、カウンターからMF工藤浩平のパスを右サイドで受けると、狙い澄ましてニアサイドを破った。「ボールをもらって余裕があったので」。J2とはいえ、うれしいリーグ戦初ゴール。これで完全に乗った。「練習試合でも点を取るとリズムをつかめる。自分のリズムをつかむまでが一番難しい」。2分後の後半8分、今度は前に出ていたGKをあざ笑うような鮮やかなループシュート。「1点目の余裕があったので、思い切ったことをした」という技ありゴールで突き放した。

 2得点はいずれもボールを取ってから素早く攻守を切り替え、速攻で奪った。正確なフィードで何度も決定機を演出したMF佐藤勇人は「つなぐところはつなぐけど、鳥栖はボールにプレッシャーに来る傾向があった。前を向いて一気にワイドの選手の前のスペースに出せれば、そのままゴールに向かっていける。いいイメージはできていた」と胸を張る。

 狭いゾーンに人数をかけてショートパスをつないで崩すスタイルの千葉だが、それに固執するあまり、ボール保持者が相手に狙われ、逆サイドのスペースをうまく使えないという課題もあった。だが、今日は細かいパス回しと大きな展開を臨機応変に使い分け、前に早く、かつ迫力のある攻撃を繰り出すことができた。

 前半は膠着状態に陥っていたが、ベースにある攻守の切り替えの早さと運動量で、相手の足が止まった後半に一気呵成に出る試合展開も狙い通りだった。佐藤は「このリーグで前半から後半みたいなサッカーをするのは難しい。(開幕戦の)熊本戦で勉強した。前に前に蹴ってプレスをかけてくるチームが多いし、前半は落ち着かないゲームになる。でもそこを最低でも0-0でしのげば、後半は運動量、個々の仕掛けでまさることができる。この先も前半はストレスのたまる試合になると感じているけど、我慢する力も必要だと思う」と冷静に分析していた。

 J2にはJ2の戦い方がある。もともと選手層や個々の能力ではJ2の中で群を抜いている。理想を追い求めつつも、ある意味では“J2仕様”の現実的な戦い方ができれば、千葉の1年でのJ1復帰をさえぎるものはないはずだ。

(取材・文 西山紘平)

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