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仙台が震災後初の対外試合。マルキ退団の中、FW3選手がアピール弾

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 千葉・市原市内でキャンプ中のベガルタ仙台は10日、市原臨海競技場で震災後初となる対外試合を2試合行い、1試合目は東洋大に1-0、2試合目は流通経済大に4-1と勝利した。前日9日にエースFWマルキーニョスの退団が発表され、得点力の面が心配される中、この日は怪我で離脱しているFW中原貴之、FW柳沢敦を除くFW全4選手が出場し、うち3人が得点を記録。“ポスト・マルキーニョスはオレだ”とばかりに奮闘した。
 千葉・市原市での開催だったが、約300人のファン・サポーターが駆け付け、会場には仙台コールが沸き起こった。「こんなに多くのサポーターが来てくれるのは、イメージしていなかった。自分も選手も感動していた。勇気を与えたいと思った」と手倉森誠監督。そんな雰囲気に包まれた中、1試合目は東洋大と対戦した。
 4-5ー1システムが採用され、1トップにはFW中島裕希が入り、右MFにはFWの大久保剛志が入った。大久保が前に行き時折2トップ気味になるなど流動的に攻撃した中、前半33分、大久保が“復興への第一号ゴール”を決めた。右SB田村直也の右クロスを、ファーサイドに構えていた大久保が華麗にジャンピングボレー。豪快にゴールネットに突き刺した。
 大久保は「タムさんからいいボールが来た。イメージ通りに蹴ることができました。マルキの分まで頑張ろうと思った」などとアピールを狙っていたことを明かした。手倉森誠監督は今季開幕の4-4-2から4-5ー1システムへの変更を模索しており、右MFおよび右FWともいえる位置で大久保がアピールした形だ。大久保はユース出身で、武者修行先のソニー仙台FCから今季、復帰したばかり。相手が大学生だったとはいえ、エースが抜けて一から戦術を作り直すチームに“希望のゴール”を放った。
 1試合目はそのまま大久保の1点のみで終え、中島にはゴールがなかったが、2試合目は2トップがそろい踏みでゴールを決めた。相手は大学屈指の強豪で、CBにはU-22日本代表の山村和也を擁する流通経済大。仙台は4-4-2の布陣で、エース候補最右翼のFW赤嶺真吾と流通経済大出のルーキーFW武藤雄樹が2トップを組んだ。
 前半21分にMF太田吉彰が先制点を決め、その後の同40分だった。太田の右からのクロスに、赤嶺が右足ボレー。豪快にゴールネットに突き刺した。そして後半24分には、武藤が縦パスに抜け出し、PA右から左足でミドルシュート。3-0と突き放すゴールを決めた。こちらも相手は大学生だが、コンディションが万全ではない中、決定力をそろって発揮した。
 ベンチ入り、そして先発取りに向けてアピールした武藤は「マルキーニョスは凄い選手なので、もっと見て勉強したかったけど、僕自身も試合に出たい。きょうはアピールしたい、頑張りたいという気持ちがありました」とチャンスをつかもうと必死だったことを明かした。
 開幕・広島戦(広島ビ、1-1△)では、マルキーニョスとの2トップで先発し、23日のJ再開後はエースとして期待される赤嶺も気持ちは同じだった。「マルキは仙台だけでなく、Jリーグ全体で見ても凄い選手。そういう選手が抜けて凄くびっくりした。マルキの分もというわけではないけど、みんなで頑張っていきたい」とゴールゲッターとして闘志を燃やす。今季は自ら二桁得点をノルマに掲げているが、2トップでも1トップでもチームに貢献する覚悟だ。
「FWはみんな今がチャンスと思ってやっている。みんな同じ気持ちでやっていると思う。その中で、負けずにやりたい。チャンスは平等にある。練習試合はあと2試合あるので、結果を出せるようにやりたい」と武藤はFW陣の思いを代弁した。23日のJリーグ再開の川崎F(等々力)まで現在、13日の湘南戦と16日の大宮戦と2試合が予定されている。マルキーニョスの離脱を穴埋めため、FW陣は今まで以上に高い意識で調整する。
以下、試合記録
▽1試合目
仙台1-0(前半1-0)東洋大
<得点経過>
33分:大久保剛志
<出場メンバー>
GK:林卓人(46分→桜井繁)
DF:田村直也、チョ・ビョングク、渡辺広大(46分→DF島川俊郎)、朴柱成
MF:斉藤大介、高橋義希、大久保剛志(46分→DF角田誠)、梁勇基(62分→FW大久保剛志)、関口訓充
FW:中島裕希
■先発布陣
4-5-1
  中島
関口   大久保
   梁
 高橋 斉藤
朴 渡辺 チョ 田村
   林
▽2試合目
仙台4-1(前半2-0)流通経済大
<得点経過>
21分:太田吉彰
40分:赤嶺真吾
69分:武藤雄樹
81分:流通経済大
82分:太田吉彰
<出場メンバー>
GK:川俣慎一郎(46分→石川慧)
DF:細川淳矢、島川俊郎(36分→菅井直樹)、鎌田次郎、原田圭輔
MF:富田晋伍、マックス、太田吉彰、松下年宏
FW:武藤雄樹、赤嶺真吾
■先発布陣
4-4-2
  赤嶺 武藤
松下    太田
  マックス 富田
原田 鎌田 島川 細川
   川俣
[写真]震災後初の試合。千葉・市原ながら多数のサポーターが訪れ、会場には仙台コールが巻き起こった
(取材・文 近藤安弘)

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