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Fリーグ・浜松が中断期間に新監督を招へい。浦安戦が前田監督ラストマッチに

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 Fリーグのアグレミーナ浜松が、17節の浦安戦後の中断期間に新監督を招へいすることが明らかになった。町田市立総合体育館で行われた府中戦(2-6)後、前田健一監督は「次がラストです。相手は浦安ですからね。そういうチームだからこそ倒して、良いチームになったなということで、ひとつ終わらせたい」と、明かした。

 前身の田原FC時代から選手としてチームに所属し、今季から新規参入したチームの初代監督となった。しかし、15節の町田戦で初勝利を挙げたものの、チームは16節を終えて1勝1分14敗と最下位に沈んでいる。「ここまで結果が出ないとは」と悩んだ時期もあったが、チームが前進していることは肌で感じ取っている。

 シーズン前からブラジル人監督の招へいを目指していたため、どこかのタイミングでバトンを渡すこととなっていた。そのタイミングまでに「チームの応用力を付けたかった」と、前田監督は言う。「相手があることですからね。誰が出てきても、どういう風に修正するか、どういう風に攻めるかを理解できるようになってほしいと思っていました。仲間の特徴を把握して、選手たち自身で全部できるように。応用力を持ったチームになってほしいと思っていました。瞬時のプレーの中で『こうしなさい』と言っあっても、相手が全然違うことをやってくることがあるわけです。そこで『どうすればいいのですか?』となっても困りますからね」。

 新監督がどんな戦術を採用するにしても、選手個々の判断はベースとして必要となる。前田監督は自身が長期的に監督を務めることがないと分かっていたからこそ、選手たちがFリーグの舞台に慣れ、個々の判断力を高めることを重要視してきた。「府中戦では、前半の立ち上がり早い時間帯にポン、ポンと失点してしまいましたが、その対応は後半良くなってきました」と、チームの成長を口にする一方で、技術的な向上も必要だと続けた。

「技術的な問題が出てくる場面もあります。たとえば蓮池(慎吾)選手は2得点を挙げましたが、それ以上にボールが足に付かない場面もあった。そういうところが良くならないといけない。チームに勢いが出たときにミスをしてしまうと、リズムも崩れてしまう。そこを互いにカバーしながら、さらに高めていってほしい」と、さらなる成長に期待をかけた。

 あえて厳しい言葉を選んだ指揮官の意図を、蓮池も感じ取っている。「2点を取りましたが、他の部分でミスがありました。ミスは絶対に減らしていきたいし、自分が出ているときは点を取れるようにしたい」と言い、前田体制での最終戦の勝利を誓った。「最後の花道じゃないですけど、気持ち良く送り出したい。この先、数年後に振り返って『あの時、勝って終わることができて良かったな』と話せるように、泥臭い試合でも勝ちたい」と話す。

 難しいことは、重々承知している。第4節で浦安と対戦した際に、浜松はシュート39本を浴び、0-9で大敗した。「僕はスタンドで見ていたのですが、本当に無残な形でした。16試合やってきて一番、酷い試合だった。僕が出ていても同じような結果になったと思いますが、僕らもホームゲームなので見返したいです」と、蓮池は意気込んだ。指揮官の花道を飾るため、そして自分たちの成長を示すためにも、浜松は一丸となって浦安に挑む。

(取材・文 河合拓)

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