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8年越しのリベンジを誓うフットサル・ブラジル代表FPネト「日本に負けたら、事件だ」

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 フットサル・ブラジル代表は23日に国立代々木第一体育館で、親善試合の日本代表戦に向けた前日練習を行なった。この練習後に行われた公式会見で、ブラジル代表のマルコス監督は、FPファルカンの欠場を明言している。残念に思う人も多いだろうが、個人的に、注目してもらいたい選手がいる。31歳のFPネトだ。

 ネトにとって、今回のW杯は8年越しのリベンジになる。フットサル・ブラジル代表は、00年フットサル世界選手権(現W杯)の決勝でスペインに敗れて、初めて王座から転落した。復権を目指して、04年大会に臨んだが、彼らは準決勝のスペイン戦でPK戦の末に敗れてしまい、過去最低の3位で大会を終えた。スペイン戦で、最後のPKを蹴ったのが当時23歳で、将来を嘱望されていたネトだった。彼が蹴ったボールがクロスバーを叩いた瞬間、王国の望みは絶たれた。

 2008年、自国開催となったフットサルW杯で、ブラジル代表は3大会ぶりに王座を奪還した。しかし、歓喜の輪の中に、ネトの姿はなかった。04年世界選手権後もブラジル代表に招集され続けていたネトだが、大会直前に右ヒザの靭帯を断裂してしまい、大会に出場が叶わなかった。

「自国開催だったのにね。あの大会に出られなかったことは、今でも本当に悔しい。04年大会も自分が最後にPKを外してしまい、大会が終わってしまった。だからこそ、今回のW杯に向けて、すごく集中しているよ。ブラジルを自分の足でチャンピオンにしたいと思っているし、個人的にもW杯以外のタイトルは、すべて獲りつくしているからね。今大会が自分にとって、最後のW杯になるはずだ。優勝以外、考えていないよ」

 日本ではブラジル、ポルトガル、リビアのそろったグループCは、『死のグループ』と言われている。他のグループに比べると、強豪が入っていることは間違いない。W杯連覇を目指すブラジルにとって、大切なのは初戦の日本戦だとネトは強調した。「このグループでは、ブラジルとポルトガルの力が抜けていると思う。日本のミゲル監督は、おそらく3位狙いで勝ち点3を取れなくても、勝ち点1、もしくは大敗しなければいいと思っているかもしれない。でも、僕たちにとっては、日本から勝ち点3を取れなければ事件になる。次のステージに進むことを考えて戦わないといけないから、絶対に勝たなければいけない」。

 前回大会でも、ブラジルは開幕戦で日本と対戦し、12-1と大勝した。だが、今回は、それほど簡単ではないだろうと話す。「同じようにはならないだろうね。みんなブラジルの戦い方を知っているだろうし、日本は守備を固めてくるだろうから、簡単な試合にはならないと思うよ」。

 本大会の、しかも初戦で戦う相手と直前に親善試合を行うことについて、ネトは「両チームにとってメリットがあると考えるべき」と言う。「この親善試合で僕たちは、日本を分析したいと思う。日本のどこが強いのか、逆にどうすれば日本にミスが起きるのか。そこをしっかり分析したいね。当然、日本も手の内を隠してくるでしょ? でも、それは僕らも同じことさ。まずは試合をこなすことで、技術的なレベルを上げていくことを意識している。そして、本大会の決勝まで勝ち進みたい」。

 ブラジルだけでなく、スペインでもプロとして第一線で戦ってきたネトは「これまでプレーしたことのあるアリーナの中で、ここが最高だよ。明日は、ここが満員になるんでしょ? 最高だね」と、8年越しの悲願に向かう男は、実に穏やかな笑顔を見せた。

(取材・文 河合拓)

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