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[選手権予選]西の日本一候補が全国へ!東福岡が4-3逆転V!!:福岡

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[11.23 全国高校選手権福岡県予選決勝 東福岡4-3九州国際大付 レベスタ]

 西の日本一候補が逆転で全国へ――。第92回全国高校サッカー選手権福岡県予選は23日、レベルファイブスタジアムで決勝を行い、東福岡と九州国際大付が激突。東福岡が4-3で逆転勝ちし、4年ぶり15回目の全国大会出場を決めた。全国大会組み合わせはすでに決まっており、東福岡は12月31日の1回戦で米沢中央(山形)と対戦。あす24日に岐阜県代表が決まり、全国大会に出場する全48代表校が出揃う。

 まさに、壮絶な闘いだった。高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯プレミアリーグWESTで暫定首位に立っている“赤い彗星”こと東福岡と、今夏の全国高校総体16強の九州国際大付との一戦。今年、県新人戦決勝、九州新人戦決勝、県総体決勝リーグ最終戦、九州総体決勝と常に頂点を懸けて戦ってきた両校の対決は、引き分けた県総体決勝リーグを除いて全て勝利している東福岡が先にスコアを動かす。

 試合開始わずか30秒、東福岡は中央のMF阿部敬太主将(3年)が右サイドのMF藤本拓臣(3年)へはたくと、藤本が絶妙な動き出しを見せたFW中島賢星(2年)へスルーパスを通す。右中間を縦に仕掛けた中島の突破はGKに阻まれたものの、サポートしていたU-18日本代表候補FW木戸皓貴(3年)が右足ダイレクトで逆サイドのゴールネットへ突き刺して東福岡が先制した。

 電光石火の一撃でリードを奪った東福岡は森重潤也監督が「走っているヤツ、走っているヤツへよくボールが動いていた」と語ったように、正確に、なおかつテンポよくボールを動かして得意のサイド攻撃を展開。試合の主導権を握ったまま迎えた21分には、左中間からのドリブルでDF3人を振り切ったU-18日本代表MF松田天馬(3年)の右足ミドルのこぼれ球を木戸が右足で流し込んで2-0とした。
 
 ただ新人戦、総体で九州決勝まで駒を進めている九国大付の実力もホンモノ。味方がボールを奪うと迷わずにスプリントしてくるFW末廣直紀とFW吉開尚也(ともに3年)の2トップの前方へ素早くボールを入れ、セカンドボールやクリアボールからチャンスをつくり出そうとする。立ち上がりはDFがしっかりと跳ね返し、セカンドボールも支配していた東福岡だったが、前半半ばを過ぎると、相手の迫力に押さえれてか自陣でファウルを犯すシーンが目立ち始める。

 すると、高さと抜け目なさを併せ持つ九国大付は、獲得したセットプレーを活かして連続ゴール。まずは28分、左SB岩崎尚将(3年)の右FKをファーサイドのMF山下敬大主将(3年)が打点の高いヘディングシュートでゴールへねじ込む。負傷を抱えたままプレーする注目MF山下の追撃弾で勢いに乗った九国大付は、その後もセットプレーから東福岡ゴールへ迫り続ける。そして33分、再び岩崎が右サイド後方から上げたFKにフリーで飛び込んだ189cmCB星加浩平(3年)が頭で左隅へ流し込んで同点に追いついた。

 こうなると、試合の流れは完全に九国大付。強引なドリブル突破が目立ち始めた東福岡からボールを奪い、カウンターを繰り返すと37分だ。中央のMF三浦秀弥(3年)が右サイドのスペースへボールを落とすと、オーバーラップした右SB田村勇斗(2年)がダイレクトでクロス。DF間へ飛び込んだ末廣の放った強烈な一撃がGK頭上を破り、勝ち越しゴールとなった。

 東福岡は悪い流れを止められないまま、まさかの3連続失点。それでもU-18日本代表候補CB熊本雄太(3年)が「1点差で負けていても走り勝てると思っていた」と語り、阿部も「(どの試合でも)前半は相手が凄く集中してくるので、そこを我慢して後半運動量で上回って、自分たちのやりたいことをやるという、後半勝負の体力と前半耐える気持ちがみんなについたのが、この結果につながっていると思う」と振り返ったように、東福岡は後半、自慢の走力と底力を見せつける。後半2分、松田との連係で左サイドを突いた中島賢が中央へ折り返す。中央のMF草野昂希(3年)の手前で九国大付DFがクリアするが、これが運悪く木戸の足元へ渡り、背番号9は右足でハットトリック達成。同点に追いついた。

 九国大付は6分に吉開の落としから末廣が決定的な形で右足を振りぬくが、GK正面を突いてしまう。追いつかれた後、セカンドボールを上手く拾って攻撃につなげていた九国大付は27分にも左クロスのこぼれ球に反応した山下が左足を振りぬいたが、強烈な一撃はゴールを捉えず。逆に東福岡は松田が左サイドで抜群のボールコントロールを見せ、準決勝のヒーローである草野が鋭い動きでPAへ飛び込むなど再び流れを引き寄せる。

 そして34分、東福岡は草野の右クロスをファーサイドのMF赤木翼(2年)が頭で折り返すと、これを受けた松田が右足一閃。弾丸ライナーが狭いニアサイドを破ってゴール左上へ突き刺さった。両手を突き上げたままベンチ方向へ走り出した10番・松田をピッチへなだれ込んだサブ組の選手たちが祝福する。再びリードを奪われた九国大付は星加を前線へ上げてパワープレー。だが、熊本が「後半はみんなでゼロで行こうと言っていたし、自分も高さがあるのでやらせないつもりでした」と語ったように東福岡守備陣も意地を見せて同点ゴールを許さず、東福岡が劇的なゲームを逆転勝利で飾り、頂点に立った。

 新人戦、総体で九州制覇し、プレミアリーグでも優勝争いを演じている東福岡は全国大会でも「西のV候補」と言える存在だ。地元開催で優勝を狙った全国総体はまさかの初戦敗退に終わり、この日も2点差をひっくり返されるなど、まだまだ隙や課題が見られるが、全国総体の悪夢を糧に精神的にも逞しくなってきたチームは逆転されても再逆転する強さを示した。阿部は「今、自分たちができることを最大限出し続けて、あとは気持ちをひとつにして最後まで集中してやりきることができれば、(体力には自信があるため)身体はついてくると思う。自信はあるので、気持ちを緩めないで、自分たちのやるべきことをやるだけだと思います」と前を向き、木戸は「自分たちは日本一を目指してやるだけ」と言い切った。全国まであと1か月強。技術でも精神面でも相手に勝ち続けるチームを築き上げて「ヒガシ」が「国立最終章」の頂点へ挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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