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旭川実が全国一番乗り!積み上げてきた集団が選手権で全国ベスト4に再挑戦

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北海道3連覇を達成した旭川実高イレブン

[10.21 選手権北海道予選決勝 北海道大谷室蘭高 1-2 旭川実高 札幌厚別競技場]

 旭川実が全国一番乗り! 21日、第97回全国高校サッカー選手権北海道予選決勝が札幌厚別公園競技場で行われ、4年ぶりの優勝を狙う北海道大谷室蘭高と3連覇を目指す旭川実高が激突。旭川実が2-1で逆転勝ちし、3年連続7回目の全国大会出場を決めた。

 全国準Vの歴史を持つ大谷室蘭と、昨夏のインターハイで北海道勢23年ぶりとなる8強入りを果たしている旭川実との頂上決戦は、DF小野雄大(3年)を中心とした5バックで守備を徹底する大谷室蘭を個々の技術で勝る旭川実が攻め立てる展開となった。

 ボールを保持した旭川実は、徐々にパススピードを上げ、SBも高い位置取りから仕掛ける分厚い攻撃。サイド深くまで切れ込んでからのクロスや、MF河合悠人(3年)のループパス、DFラインからのアーリークロスで相手の背後を狙うなど揺さぶりをかけていく。

 だが、大谷室蘭はリスクを負わずにクリアすることを最優先しながら、サイドに追い込んでボールを刈り取った際にはすかさず速攻を繰り出した。そして、この日左サイドを務めたエースFW村上悠緋(3年)にボールが入ると、彼がDFを振り切って前進。旭川実ゴールを脅かすようなシーンも作り出す。

 前半25分には、右MF越後圭介(2年)の1タッチパスからMF田村都雲(2年)が逆サイドへ展開。このパスを受けた村上がミドルシュートを放ち、右CKを獲得する。そして、MF引間大聖主将(3年)の右CK後のこぼれ球をMF窪之内新太(3年)が右足で決めて大谷室蘭が先制した。

 旭川実は35分にドリブラーのMF遠藤正志(3年)を投入してサイド攻撃を活性化。すると38分、MF山内陸(3年)の右CKをファーサイドのCB江嶋直樹(3年)が右足ダイレクトで同点ゴールを突き刺した。後半もボールを握り続ける旭川実は、遠藤の縦突破やパス交換でゴール前に侵入しようとする河合の動きなどをアクセントに連続攻撃。ボールを奪われた後の守備の鋭さもあった旭川実は、相手にほとんどカウンターの機会を与えることなく攻め続けた。

 だが、大谷室蘭は17分に相手の3連続シュートをDFが全てストップするなど執念の守りで勝ち越し点を許さない。それでも、旭川実は選手権予選で得点力が増してきたというセットプレーから勝ち越し点を奪う。18分、FW谷口明典(3年)が右サイドからロングスロー。中央で10番FW西村歩夢(3年)とGKが競ったボールがクロスバーに当たってこぼれる。これを山内が得意の左足でねじ込んだ。

 大谷室蘭は攻めに出るが、旭川実のプレッシャーが速く、なかなか押し返すことができない。後半は村上のミドルシュート1本のみ。後半は隙を見せることなく、強さを示して3連覇を達成した旭川実の富居徹雄監督は、ベスト8、ベスト4を目標に掲げて「北国だから、とか無しにして本気で勝負したい」と宣言し、CB西川知広主将(3年)も「全国ベスト4を目指して頑張ります」と誓った。

 指揮官はチームのアベレージが「4、5年で上がってきた印象」と認める。12年に初挑戦したプレミアリーグEASTでは1分17敗で「落ち込みましたよ」と苦笑するが、15年インターハイは大阪桐蔭高を破ってベスト16、昨年は静岡学園高を破って8強入りした。今年はインターハイ予選こそ準決勝で敗れたものの、北海道コンサドーレ札幌との優勝争いを制してプリンスリーグ北海道制覇。Aチームはプレミアリーグ参入戦、Bチームもプリンスリーグ北海道参入戦に進出しており、他地域の強豪校同様のシステムの中で勝ちながら強化することができている。

 同じく全国4強入りを狙った昨年度の選手権は2回戦で日本文理高(新潟)のハイプレスに慌てて自滅する形となったが、「今年は高さも速さもないので(慌てずに)下から繋いで勝負していきたい」(山内)、「文理戦の後に(今年は相手が)出てきた時にフリックとか1タッチを交えていこうと話していた」(河合)というように、先発として敗戦を経験した5人の現3年生を中心に昨年からの積み上げもある。富居監督は「もうひとつ何かが足りないと感じている。そこを引き上げたい」。全国大会まで2か月強の準備期間。その間に、またレベルアップを果たして本気で目標達成に挑む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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