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王国ブラジルから先制点を挙げたFP逸見「勝つことしか、頭になかった」

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[10.24 フットサル国際親善試合 日本代表 3-3 ブラジル代表 代々木第一体育館]

 鮮烈な一撃だった。フットサル日本代表は24日に、世界王者のブラジル代表と対戦した。その試合の前半3分、左サイドを切り裂いたFP逸見勝利ラファエル(名古屋オーシャンズ)が決めた先制点のことだ。この場面で日本はFP木暮賢一郎(名古屋オーシャンズ)、FP小宮山友祐(バルドラール浦安)、FP星翔太(バルドラール浦安)が意図的に右サイドに集まり、密集をつくる。そうして逆の左サイドで逸見とFPシソの1対1の局面をつくりだした。日本代表最年少20歳の逸見は、物怖じすることなく縦に仕掛けて、ブラジル代表の名手を抜き去ると、FPアリが寄せてくる前に右足を一閃した。

「イメージ通りでした。左サイドでの1対1は得意ですし、カバーもいなかったので、仕掛けようと思いました。ドリブルもうまくいったし、良いコースにシュートが決まったから、良かったです」と、笑顔で振り返った。

 5月に行われたAFCフットサル選手権で最優秀選手に輝いた逸見には、ミゲル・ロドリゴ監督も絶大な信頼を寄せる。「彼は本物の、生粋のフットサル選手です。子供の頃からずっとフットサルをやってきました。もっともフットサルらしいプレーができる、優秀な選手だと思います」。

 2010年にブラジルから帰化した逸見は、ブラジル代表との試合を心待ちにしていた。この試合では最終的に3-3で引き分けたが、ブラジルとは過去12戦全敗だった。引き分けられると思っていたか、と聞くと、逸見は「思っていないです」と、語った。だが、それは記者が抱いていたネガティブな思いとは、全く違った。

「(引き分けられるとは)思っていないです。勝つことしか頭になかったので。相手がどこかは関係ない。ブラジル代表は世界一。難しい試合になるのは分かっていますが、そういう気持ちで臨まないと勝てない」

 ブラジル代表も、W杯に出場する正真正銘のベストメンバーでこの試合に臨んでいた。逸見が求めていた勝利には、あと少し届かなかったが、1週間後のW杯初戦での戦いにはプラスになると語った。「ブラジルは強いし、最初は緊張もしましたが、ゴールを決めたときくらいから落ち着いたというか、できるなと思いましたね。2点目も入って、みんなも自信を持てましたし。W杯でもう一度ブラジルと戦えるのは、楽しみです。今日、初めてブラジルと対戦しましたが、今回の経験があるから、次はもっとリラックスして試合に臨めると思います。W杯ということで、気持ちは変わるかもしれませんが、自信を持って臨めると思います」。

 この日は2点のリードを守り切ることができず、ブラジルからの初勝利を挙げることはできなかった。「次は勝たないとね。グループステージを突破できないから」と、言ってのける頼もしき20歳は、本番を前に、確かな手ごたえをつかむことができたようだ。

(取材・文 河合拓)

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