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日本、ブラジル両国国歌に感慨にふけるカズ「両方聞けて幸せな時間でした」

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[10.24 フットサル国際親善試合 日本代表 3-3 ブラジル代表 代々木第一体育館]

 ジャパンブルーの背番号11に袖を通した“キングカズ”が帰ってきた。しっかり前を向き、胸に手をあてて国歌を歌うキングカズ。15歳で海を渡り単身ブラジルに渡った三浦知良(横浜FC)には、やはり“ブラジル戦”というのは特別な思いがあった。

「(君が代は)ジーンときましたよ。やっぱり。ブラジルのを聞いたときもジーンときました。両方とも(笑)。ブラジルと両方聞けて幸せな時間でした」。

 出番もすぐに回ってきた。前半4分、FP木暮賢一郎に代わってピッチに立つと大歓声がカズを迎えた。「雰囲気がすごく良かった。会場もすごく盛り上がって。声援もたくさん聞こえました」。超満員に膨れ上がったスタンドは、カズの一挙手一投足に歓声を上げた。

 カズが最後にサッカー日本代表として公式戦に出場したのは2000年6月6日のハッサン国王杯のジャマイカ戦(4-0)までさかのぼる。久々の代表ユニフォーム。「不思議と冷静でしたね。落ち着いてました」と語った顔にはフットサル選手としての自覚も芽生えていた。

「フットサルの難しいところで、いつ入るかわからない。アップの仕方とかすごく難しい。ファーストプレーでワンツーで抜け出せるところがあったんです。上がってたらいい感じでいくんでしょうけど。加速のところでアップしていないと大変でしたね」。フットサルの難しさも痛感した試合だった。

 この試合でも出場時間が限られたように、今後もベンチから戦況を見守ることが多くなることが予想される。「もちろん常にもっとやりたいなという思いはある」と話すが、「でも(きょうは)うまい使い方をしてくれたかなと思います。ベンチから見るのも経験。それも世界王者のブラジルを見れる時間も貴重だと思う」と冷静に現状をとらえている。

 ブラジルは日本がこれまで12戦して全敗という相手だった。来月1日に開幕するフットサルW杯本番でもグループリーグで対戦する相手でもある。親善試合とはいえ、苦手意識を払拭して本番に挑みたい大事な一戦だった。この引き分けという結果は大きいものに違いはない。

「(引き分けという結果は)みんなの自信になると思います。木暮とも話していたのですが、勝ちたかったけど、ブラジルには引き分けたこともなかったので、この引き分けを自信にするために、次のウクライナとの親善試合(27日)もいい形でやりたいですね」

 “フットサル選手”三浦知良の第一歩が記されたこの日。だがもう感慨に浸っている暇はない。世界ナンバーワンから挙げた成果を次につなげるだけだ。

(取材・文 児玉幸洋)

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