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ザッケローニ監督が大量失点の原因を説明…DF陣への信頼を改めて強調

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 日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督が、日本サッカー協会(JFA)公式サイトで連載している手記を更新。最近続いている大量失点について言及している。

 コンフェデレーションズ杯で大量失点を喫して以降、日本代表は守備不安が指摘されている。強豪との戦いが続いたことも影響しているが、新たなメンバーを試した東アジア杯でも3試合で6失点と光明を見いだすことは出来なかった。

 大量失点が続いたことについて、ザッケローニ監督はまず「コンディションの問題」を指摘。「体が思うように動かないと、どうしても守備の連動にムラが生じます。トータルフットボールはチーム全員が連動して守ることが大前提で、文字通りチーム一丸となって相手が使えるスペースを制限してコンパクトに戦わないと稼働しません。そういう意味でコンフェデ杯やウルグアイ戦は統一感のある戦いをするには条件的に難がありました」と説明した。

 続いて「バランス」を指摘。「現代のサッカーでは失点は最終ラインの責任だけではありません。いくら強固なディフェンス陣でも、ほかのパートとコラボレーションできないとイタリアやブラジル、スペインでも失点してしまう。守備のバランスとコンディションは密接に絡んでいて、どちらが欠けてもほころびをつくります。2つ欠けるともっとひどいことになります」。改善については、「それを防ぐには、しっかりと準備期間を取ってコンディションを整え、チームとしての擦り合わせの時間を持つことです。それができれば、必ず守備は良くなると思っていますし、高めていく自信が私にはあります」と自信を見せている。

 さらにザッケローニ監督は8月29日の代表メンバー発表の際にも語った現状のDF陣への信頼を改めて強調した。

「『世界中から好きなディフェンダーを誰でも選んでいいよ』といわれても、今のメンバーをチョイスするでしょう。それほど彼らに対する信頼は揺るぎないものがあります。確かに、私が選ぶディフェンダーには守備より攻撃に特長がある選手がいます。しかしセンターバックについては攻撃も守備もできる選手を選んでいるつもりです。彼らには欧州のクラブに連れていってもしっかり働けるクオリティーがあります」

「監督という仕事は現象面にとらわれては務まりません。数字だけに目をやって悲観的になることもありません。『ブラジルに3点も取られた』『このメンバーではダメだ』『最終ラインを全員入れ替えよう』という思考回路は持ち合わせていないのです。そういう心配の仕方をしていたら、ブラジルに4失点したイタリアは日本よりもっと心配しなければならなくなります。そういう一喜一憂をしないために試合後の分析も『勝った』『負けた』から入るのではなく『何が起きたのか』『何ができたのか』『何ができなかったのか』から入るようにしています。局面や細部の分析を下から積み重ねて『だからこういう結果になったのか』とたどりつくよう心がけています。勝敗という結果から入ってしまうと、勝った時はいいことしか、負けた時は悪いことばかりに目が行ってしまうものです」

 さらにチーム作りについても、映画を例えに出して分かりやすく説明している。

「映画を見に行く時にキャスティングは非常に重要な要素でしょう。メーンキャストにスターが3人、4人といれば、それだけで映画館に足を運びたくなる。しかし映画を見終わった後に食事でもしたら、話題に上るのは、やはり作品自体の良し悪しではないでしょうか。いくら自分の好きなスターが出ていてもストーリー自体が陳腐であれば『つまらなかった』ということになると思うのです。これと同じことがサッカーにもいえます。ストーリーが映画の肝なら、サッカーはスタイルが命なのです。いいストーリーの中に置いて初めてスターが輝くように、チームのスタイルがきちっと定まっていてこそ選手も精彩を放てるのです。個々のクオリティーと全員で攻めて全員で守るというスタイルがバランスよく融合してこそ、チームという作品は高みへとたどりつけるのです」

 また、今後のチーム強化についても、「ホーム、アウェーを問わず、いろんな場所で、いろんなタイプのチームと来年夏の本番まで試合を重ねて弱点を改善していくつもりです」とコメントしている。

 最後にW杯優勝の任務は与えられていないと発言したことが取り上げられたことについても言及。「私は大言壮語するタイプの人間ではありません。セリエAの監督時代も一度も開幕前にメディアやファン前で優勝を宣言したり約束したりしませんでした。不確定要素がこれほどたくさんあるスポーツで軽々に結果を約束するのは監督として逆に無責任に思えてなりません。それを自信の無さと解釈されるのは心外です。私は長い監督のキャリアの中で何度か優勝を経験していますが、それは選手が地道に努力を重ね、成長した結果であって、シーズン前の言動が影響していたわけではないと思います」と弁明している。

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