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アルゼンチン戦で先発の座掴んだGK藤田和輝、5-2勝利から見えたU-22日本代表“生き残り”への収穫と課題

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GK藤田和輝(栃木)

[11.18 国際親善試合 U-22日本 5-2 U-22アルゼンチン アイスタ]

 収穫と課題を手にした試合となった。U-22日本代表は18日に初の国内試合を行い、U-22アルゼンチン代表を撃破。フル出場したGK藤田和輝(栃木)は2失点に悔しさをにじませながら、ひとつの手応えを感じたようだ。

 大岩剛監督体制のチームに招集されたのは、今年4月の国内候補合宿だった。その後、9月のアジア競技大会の正規メンバーとして選出されると、6試合中5試合でゴールを守る。準優勝に終わったが、それでも国際大会での経験値を積むことができた。そして、11月の国内遠征で2度目の選出。アジア大会は初招集組が中心だったが、今回の遠征では常連組が大半を占めており、定着を目指すための大きな一歩となった。

 アルゼンチンとの試合では2失点を喫した。先制点は日本が前半18分に奪ったものの、同22分にはパスミスからカウンターを食らう。藤田の飛び出しもFWパブロ・ソラリの冷静なシュートを防ぎきれず、同点に追いつかれた。1-1で前半を折り返すと、後半5分にはFWティアゴ・アルマダに直接FKを沈められ、1-2と逆転を許した。

 その後、日本の猛反撃による4得点で5-2と勝利。それでも、藤田は勢いを失った2失点を嘆く。「ああいう時間帯のところで防げるか、というところがいままでの課題。そこの課題はより明確になった」と振り返った。

 特に、FKのシーンは強豪アルゼンチンの力を思い知らされた。今月5日のJ2リーグ第41節・東京ヴェルディ戦でもMF中原輝にFKを決められていたこともあり、悔しさは増す。「そこの改善をしきれていなかったというところはよくなかった。直近で2発やられているところは改善が明確に必要になった」。先発の座を掴んで勝利はすれど、慢心はなかった。

 守備陣とのビルドアップは収穫だったようだ。4バックの面々とボールを保持しながら、アルゼンチンのプレスをかいくぐった。「みんな個人個人で自信を持ってポジショニングも取ってくれる。チーム全体でそういう意識がある中で、立ち位置も取ってくれるし、パッと集まって、すごくいい形で下からつなぐ部分はやれていた」と強調。U-22日本代表にとってビルドアップは重要課題のひとつであり、藤田にとってアピールの好材料となった。

 今シーズンは栃木で守護神としてJ2リーグで32試合に出場した。その数字が大きな自信となった。「J2というカテゴリですけど、リーグ戦で出ていく中でそこを評価してもらえた」。招集されるという目標は達成し、今度は代表定着を懸けた戦いに臨む。

「こうやって試合に出られたことはよかったけど、もっともっと試合でのパフォーマンスは意識していかないと勝ち残っていけない。失点をゼロにすることが一番の目標。また振り返って、練習もあるのですぐ改善して、次の試合に向けてやっていければ」。一歩ずつ視線は上がり、パリ五輪への道のりは少しずつ明らかになってきたようだ。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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