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「必ず戻る」 入学時から持ち続けた思い…明治大MF矢田が名古屋“復帰”を実現

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「本多君の例は励みになりましたね」。名古屋グランパスにとっては昨年、阪南大から加入したDF本多勇喜に続いて2例目。明治大MF矢田旭(4年=名古屋U18)は愛着あるクラブへの“出戻り”を喜んだ。

 ユース時代もチームの中核を担っていた矢田は、当時もトップチームへの昇格が噂されていた。事実、矢田も「春先にはほぼ上がると言われていました」と明かす。だがトップチームは優勝争いを繰り広げるようになり、さらに外国人選手らを補強したことで状況が一変。チームとしても07年に日本代表DF吉田麻也らが昇格するなど、連続していたトップチーム昇格もストップした。だが名古屋への思いは持ち続け、「必ず戻る」という強い思いを持って大学生活をスタートさせた。

 大学入学後も1年次から試合出場を続けた。当時エースだったMF山田大記(現磐田)がリーグ戦終盤を怪我で欠場した時には代役をこなし、関東リーグ戦1部優勝に大きく貢献した。

 しかし順調に階段を上っているかに思えた大学生活にもアクシデントはあった。大学3年の時、それまで大きな怪我をしたことがなかったという矢田にとって初めての大怪我となる両肩を脱臼。手術を余儀なくされ、1年間を棒に振ってしまった。ただ「今思えば大事な時期になりました」とポジティブに捕えたると、「サッカーなしでは生きていけないと改めて思ったし、プロでやりたいという思いがより一層強くなりました」。今では笑顔で振り返る余裕も見せる。現在も左足半月板を痛めているが、インカレまでには間に合わせるつもりだ。

 加入する名古屋は今季も中位に沈んでしまった。世代交代も叫ばれる中で、矢田らの台頭は必須条件となる。だがプラス材料も多く、ストイコビッチ監督の退任に伴い、来季から名古屋は新監督のもとでチーム作りをスタートさせることになる。「ベテランも含めフラットな状態からスタートすると思う。僕の中ではすごくチャンスだと思っています」と矢田も力を込める。「イソ君(MF磯村亮太)とかのポジションも脅かせるようにしたいですし、年下の選手には負けてられない。大学で4年やって、高卒の選手よりは人間的には成長出来ていると思っているので、人間力も含め後輩には負けられないですね」。ライバルとなるU-18代表MF望月嶺臣やユースの先輩である磯村らとの競争でチームを刺激し、再び名古屋を栄光へと導く。

(取材・文 児玉幸洋)

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