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ピトゥカの周りに歓喜の輪…支え合う姿勢目立つ鹿島DF三竿健斗「家族なのでそれは当然」

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DFキム・ミンテに声をかけるDF三竿健斗

[5.14 J1第13節 鹿島 4-1 札幌 カシマ]

 前節の広島戦では0-3の大敗を喫していた鹿島アントラーズだったが、この日は前半から鬱憤を晴らすかのようなゴールラッシュを披露。北海道コンサドーレ札幌を4-1で破った。

 試合後、MF三竿健斗は「負けた後の振る舞いが非常に大事。負けを引きずるのか、自分がもっとやらないといけないと奮起するのかでだいぶ変わってくる。今週はみんなが『俺がやらないといけない』という強い気持ちを練習から出していた。負けた後の姿勢が大事」とチームが見せたリバウンドメンタリティーを誇り、「次は勝った後の姿勢でより上に行けるようにしたい」と力を込めた。

 完封負けに終わった広島戦から1週間、積み上げてきたものは前半6分に早くも結実した。中盤を起点としたショートカウンターからMFディエゴ・ピトゥカがスルーパスを送ると、これに抜け出したFW上田綺世が右足でゴール。「前への意識がすごく薄れていたので、1週間準備する中でもう一度そこを大事にしようと話していた。入りからみんながすごく前向きに、前を選択するプレーを多くできた」(三竿)。前節の反省を活かしたゴールだった。

 ゴールが決まった直後には、アシストしたピトゥカの周りに自然と歓喜の輪ができあがった。ピトゥカは4月上旬、交代時に蹴り上げたボトルがスタンドの観客に向かったことで、6試合の出場停止処分を受け、約1か月間の戦線離脱を経験。この日、ようやく先発復帰を果たしたMFのアシストに、チームメートから大きな祝福が贈られた形となった。

 ピトゥカが加入した昨季は主将を務め、今季は多くの試合でゲームキャプテンを担うFW鈴木優磨や新主将のMF土居聖真をサポートする形でチームを統率しているDF三竿健斗はブラジルからやってきたMFへの思いを明かす。

「彼はすごく情熱的で熱い男。あの行動は良くはないと思うけど、彼自身もわざとやったわけではない。みんなも彼の人間性はわかっている。1か月以上の出場停止はあったけど、練習からまたずっと一所懸命取り組んでいたので、スタメンに戻ってアシストしたというところで僕もすごくうれしかった」。

 そうしたチームメートの支えの甲斐あってか、さらにノリに乗ったピトゥカは前半25分、またしても絶妙なスルーパスをMFアルトゥール・カイキに通し、FW鈴木優磨の追加点につながるPK獲得をお膳立て。自身の離脱とともに導入された4-3-1-2システムのトップ下としても、大きな存在感を発揮できることを証明した。

 今季の鹿島ではこのように、目に見える形で互いが熱く称え、支え合う場面がたびたび見られる。シーズン序盤にプロ監督未経験ながら代理指揮官を務めた岩政大樹コーチとのゴールセレブレーションや、失点につながるミスをしたDF関川郁万へのフォロー、出場機会を得られずもがくMF荒木遼太郎へのサポート、得点を渇望するFW染野唯月への叱咤激励、新たなスタイルへの適応に奮闘するDFキム・ミンテへの声かけなど、鈴木や三竿を中心にその態様や手法はさまざまだ。

 今季は開幕から全試合フルタイム出場が続くDF安西幸輝も、昨季の不調時にそうした支えを受けてきたのだという。「これまでうまくいかないことが続くことがサッカー人生でもあまりなかったので、悩んだし、苦しい気持ちもあった。でも優磨だったり健斗だったり、昔から一緒にやってきたやつらが鹿島を強くしようと支えてくれている」。この日の試合後、今季のパフォーマンスの要因を問われた背番号2はそう感謝を語った。

 こうした関係性について、三竿は「家族」という言葉を使いつつ次のように語った。

「やっぱり毎日一緒にいるので、良い時も悪い時も一緒に過ごしているし、何を思っているのかとか、その時の感情というのも、毎日一緒にいるからこそ一番わかる。苦しんでいる人がいたら助けるのは当然だし、家族なのでそれは当然かなと思う」。ここまで13試合で3敗を喫しながらも、粘り強く勝ち星を積み重ねることで首位に立つ今季の鹿島。レネ・ヴァイラー新監督のもと、激しく厳しく闘うスタイルの土台を支えているのは家族のような一体感だ。

(取材・文 竹内達也)
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