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佐藤勇が真骨頂の今季初ゴール、「自分のプレースタイルは失いたくない」

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[6.29 J2第2節 千葉2-0湘南 フクアリ]

 主将のひと振りが試合を決定付けた。ジェフユナイテッド千葉は1-0の後半12分、左サイドからFW深井正樹、MF米倉恒貴とつなぎ、FW久保裕一がスルー。背後から全速力で駆け上がってきたMF佐藤勇人が右足を振り抜いた。

「久保に『スルー』と声をかけて、自分の好きなタイミングで飛び出せた。ミートするだけで、コースは甘かったけど、タイミングがよかったのでGKも難しかったと思う」

 強烈なシュートはGK西部洋平のほぼ正面に飛んだが、西部の体を弾き、脇の下を抜けてゴールマウスに吸い込まれた。2-0。湘南を意気消沈させる一撃に「(3連敗中で)うまくいってない湘南に負けて、湘南の勢いを取り戻させたら昇格のライバルになる。しっかり叩く必要があった」と胸を張った。

 ボランチでありながら積極的な攻撃参加からの得点力も魅力な佐藤勇だが、今季はこれが13試合目の出場にして待望の初ゴールだった。「もっと早く決めたかったし、早く結果がほしい気持ちは強かった。家でも家族と『自分が取らないといけない』と話していたし、ホッとした部分もある」。3列目から飛び出し、FWまでも追い越し、ゴールに迫る佐藤勇の真骨頂とも言える会心の一発だった。

「このチームではオーガナイズされた守備というのが大事だけど、自分のプレースタイルを失いたくはない」。中盤のスペースを埋め、攻守をつなぐ役目にとどまらないのが佐藤勇の持ち味だ。この日も2列目の右サイドに入ったMF伊藤大介と流動的にポジションを入れ替え、攻撃に絡んだ。相手を翻弄する佐藤勇の神出鬼没な動きは、かつての“千葉らしさ”がしっかり残っていることも感じさせた。

 今季の千葉は204cmのFWオーロイをターゲットにしたサッカーばかりが注目されるが、この日は後半開始からオーロイに代わって久保が入ったこともあり、2つの“顔”を見せた。米倉は「(1トップが)久保の場合はあまり近くにいすぎず、久保が引いたら自分がその裏に抜ける動きが大事だし、トーレ(オーロイ)なら近くにいてセカンドボールを拾うことが大事。その使い分けができてきたし、オプションになってきた」と力を込める。千葉はオーロイだけじゃない。オーロイがベンチに下がった後半に見せた流動的で人数をかけた攻撃は、今後に向けても大きな収穫となりそうだ。

[写真]今季初ゴールを決めた佐藤

(取材・文 西山紘平)

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