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昨年選手権連続出場ストップの星稜が石川王座奪還!勝負強さと堅守、パススタイル発揮し、“らしさ”ある優勝!

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昨秋の悔しさをぶつけて石川王座奪還を果たした星稜高イレブン

[6.5全国高校総体石川県予選決勝 金沢高 0-3 星稜高 金沢市民サッカー場]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(7月開幕、宮城)への出場権を懸けた石川県予選決勝が5日に行われ、星稜高金沢高に3-0で快勝して6連覇達成。26回目となる全国総体出場を決めた。
 
 星稜の河崎護監督は試合後、少しホッとした表情を見せながら記者陣の質問に答えていた。「インターハイの全国大会に出るというモチベーションを持ってトレーニングできるのは大きいです」。星稜は昨年度の選手権予選決勝で、鵬学園高に敗れて全国大会への連続出場が17でストップ。それだけに奪還を果たしたこと、選手たちの成長を加速させる機会を得られたことを喜んだ。

 選手たちもプレッシャーを感じていたようだ。MF高岸憲伸(3年)は「みんな、口には出さないですけれども、プレッシャーは結構あったと思います」と説明する。だが、「去年のこともあるし、150人近く部員がいますし、その分の思いを背負わないといけないというのもある」というチームは“星稜らしい”強さも発揮して見事に勝利した。

 20年ぶりに決勝進出したという金沢も、地元・石川県内の有力選手たちが集まっている好チーム。10番MF塚田凌やアンカーのMF青山悟士(ともに3年)らが星稜の選手にも引けを取らないようなプレーをしていたが、「際の部分の差」が勝敗を分けたように映った。

 特に印象的だったのは星稜が1-0とリードして迎えた後半開始直後のプレーだ。金沢は敵陣でインターセプトしたMF金野舜平(3年)が一気にドリブルで持ち込んで決定的な右足シュート。だが、これは惜しくも枠を外れ、星稜はその直後の攻撃でMF岩岸宗志(2年)が右足シュートをねじ込んで2-0とした。

 星稜はゴール前の攻防や大事な場面での1本の精度など、細かい部分の勝負で差をつけた。前半18分にFW森井啓太(3年)の右クロスのクリアが小さくなったところを逃さなかった高岸が右足で先制ゴール。その後、森井やCB敷田唯主将(3年)が決定的なシュートを決めきれなかった部分もあったが、ミスからショートカウンターを幾度か受けながらもGK新保大夢(3年)や敷田、CB高木凛太郎(3年)の好守などによって得点を許さず。ピンチはあったものの、ゴール前の意識高いディフェンスで決定打を枠に打たせなかった。

 また、河崎監督が「昨日(準決勝の遊学館高戦で)蹴りすぎていたのでしっかりつなごうと。今日は良い距離感でやっていた」と語ったように、ショートパスを正確に繋いでゲームをコントロール。金沢は後半にもショートカウンターからMF宮崎樹やMF虎本泰知(ともに3年)がシュートまで持ち込んでいたが、枠を捉えず。逆に星稜は33分に森井が切り返しから左足シュートを決めて勝利を決定づけた。

 12年度から4年連続で選手権全国4強以上を勝ち取った“星稜らしい”勝負強さ、そして無失点Vの堅守、今年のチームがこだわっている繋ぎのサッカーを示しての戴冠。加えて、昨秋の選手権予選敗退の悔しさが間違いなく彼らのエネルギーになっていた。

 昨秋の敗退の瞬間をピッチで味わっている敷田は「去年の3年生の分もありますし、全国大会へ行けなかったのもありますし、(今回の優勝は)あの負けがあったからこそだったと思います。3年生が涙している光景も忘れることができない」と明かす。

 そして、高岸は敗戦から学んだことを口にした。「“当たり前”がないなと。17年間、当たり前のように勝ってきた試合を去年ポロって落として、みんな当たり前に勝てるゲームって無いんだなと強く感じたと思いますし、どんな試合でも負けてしまう部分があるので、入り方をこだわって、勝ちにこだわるためのサッカーをしなければいけない」。全国的なニュースとなった敗戦は尾を引いたというが、彼らは努力を重ねて居るべき場所へと戻ってきた。

 石川奪還を果たした星稜の次の目標は全国で一つでも多くの試合を経験すること。河崎監督は「チグハグなところはあるけれど、だいぶ良くなってきた。(全国総体へ向けては)攻撃力をつけることが課題」。今回、絶対に優勝するという強い意志を持って戦い、石川県予選を制した星稜。全国出場の喜びを噛み締めながら、トレーニングに励み、全国でまた白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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