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ゲキサカ読者が選ぶ夏のMVPは青森山田MF松木玖生!「このチームなら絶対にやり遂げられると思った」

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 ゲキサカ読者が選ぶ2021インターハイMVP「GEKISAKA AWARD 2021 SUMMER 高校生部門」に青森山田高(青森)MF松木玖生(3年)が選ばれた。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、松木にはゲキサカオリジナルトロフィーが授与された。

 松木は今年度の高校年代最強チームの呼び声も高い青森山田のキャプテンとして、インターハイでも攻守両面でチームを牽引。大会得点王となる5ゴールを挙げるなど、勝負強さも際立った。また、日本一を達成した決勝の試合後には、人目もはばからず号泣する姿も話題を呼んだ。

 今回は松木にMVPの感想や優勝したインターハイの振り返り、さらに周囲を驚かせたFC東京加入の理由などについて聞いている。

―MVPの感想を教えて下さい。
「サッカーは他の人から評価されて、いろいろな大きなクラブに行けるところもあると思うので、率直にこのように評価されて、トロフィーも戴いて、凄く嬉しいです」

―MVPは今まで獲ったことがありますか?
「あります。中学3年の東北大会で『カメイカップ』という大会があったんですけど、そこで獲った以来ですかね」

―改めてインターハイを振り返って。
「凄くタフではありました。本当に天候にも恵まれて、自分たちらしいサッカーができて、いろいろな場面で手助けされた部分がありますけど、そこは自分たちの実力で勝ち切ったゲームだと思います」

―30得点は大会記録でした。
「自分たちの売りとしては、中央を突破しながらというところもあったので、あそこまで点数を獲れるとは思っていなかったですけど、攻撃の得点に対するバリエーションが増えた大会だったのかなとは思います」

―2試合続けて8-0はインパクトがありました。
「本当に前の試合が終わったら、すぐ次の試合に向けて、相手の分析をしてということだったので、余韻に浸るというのはなかったです」

―個人としては得点王に。
「一番チームに貢献できるのは自分の得点力だったり、守備力だったので、率直に福田師王(神村学園高)と並びましたけど、嬉しかったです。アイツも後輩として代表でも一緒にやっていて、華のあるプレイヤーなので、勝ちたかったですけど(笑)、一緒に並べて良かったと思います」

―単独得点王になるチャンスも。準々決勝の東山高戦(京都)でPK失敗がありました。
「はい。少し気負いましたね。でも、チームに貢献することが一番なので、そこは切り替えてやりました」

―外した瞬間は「ああっ!」て感じは正直ありましたよね。
「ありましたね。『外した!』って(笑)」

―準決勝の静岡学園高(静岡)戦について。
「評価で言うと、一番良かった試合かなと思います。シュートも打たれなかったですし、みんな自分も含めてですけど気持ちが入っていて、『絶対に負けたくない』という気持ちがあって、あのようなゲームができたので、イメージとしては凄く良い試合でした」

―松木選手の先制点が凄く大きかったですね。
「春までの自分だったら、あそこは走らないで、そのまま後ろに残っていたと思うんですけど、正木(昌宣)コーチや(黒田剛)監督に得点のところを要求されて、自分も『ゴール前に飛び込まなきゃな』という気持ちがあって、あのような先制点が生まれました。自分だけじゃないので、そのほかにも潰れてくれた選手もいますし、それはチームで奪ったゴールかなと思います。あそこの距離を普通のボランチは走らないと思うんですよね。そこを走るのが自分の良さだとは思っているので、そこは走ってゴール前まで詰めたのが良かったと思います」

―試合後に黒田監督が「100点満点のゲーム」と。
「『こんな褒めるのか』と思いましたけどね(笑)。決勝も残っていたので、そこはチームメイトも凄く分かっていたところで、ここで気が緩んだら絶対に優勝はないということで、もう1回締め直しました。でも、自分たちも100点満点の試合という実感はあったと思うので、そこは素直に受け止めていいかなと思いました」

―準決勝の試合後の取材で、米子北高への警戒を口にしていました。
「本当に怖さがあるというか、自分も決勝に何度か出場して、苦い想いをしてきたので、『ここで気が緩んだら例年と同じだな』と思いました」

―決勝を振り返って。
「(米子北が)想像以上に蹴ってきたので、自分たちも対処しきれない部分はありましたけど、山田の強みであるセットプレーというところで点数が獲れたのは、凄く大きかったと思います。焦りは本当になかったんですよね。焦りはなくて、PKを与えてしまっても、本当にチームのみんなは冷静でしたし、自分も凄く冷静だったので、『これは勝てるな』という自信はありました。このチームを始めて最初は『全然ダメだ』と監督にも言われて、チームミーティングも徐々に増やしていって、プレミアリーグを迎えてという感じだったので、この半年を通して、チーム自身で良くなっていったということはありました」

―決勝ゴールのシーンは覚えていますか?
「覚えていないですね、あまり」

―あの時はどういう感情が?
「まずあそこを分析したら、コーナーが来る前に(三輪)椋平が『絶対に決める』と言っていて、それで『これは絶対決まるな』って。(決めるのは)椋平だと思っていたんですよ。結局、(丸山)大和がいい形で入って、藤森(颯太)の素晴らしいボールで決めることになりましたけど、あそこで決めた時は何も感情が出てこなくて、(試合終了のホイッスルが)鳴った瞬間に、これまでに関わってきてくれた人たちとか、凄く感謝していたところもあるので、そこはもう一気にバーッとこみ上げてきて、泣くことになりましたけど(笑)」

―改めて涙の意味を。
「まずは中学時代を通して、(先輩たちの代で)優勝はしてきたんですけど、自分たちの代は凄く良いチームだとは言われてきたのに、結果が残せないというところで凄く戸惑いはありました。自分もキャプテンをやっていて、結果を残していない代だったので、そこはもちろん心配はありましたけど、このチームなら絶対にやり遂げられると思ったので、まずはチームメイトに本当に感謝したいなと思いました」

―3年連続全国準優勝という経験をした中での、ようやく届いた日本一でした。
「そういうふうに言われてきて、少なからず自分の耳のも届いていましたし、そこは気にしないで割り切って決勝を迎えたので、『やったぞ』という想いが素直に生まれました」

―写真を見て「ああ、オレ、こんなに泣いてたんだ」って思いましたか?
「結構泣いていましたね(笑)。あんなに泣くことはないと思いますけど、アレはちょっと泣き過ぎかもしれないですね(笑)」

―ずっと追い求めてきた日本一はどういう味でしたか?
「やっぱり優勝して終わるのと、準優勝して終わるのはだいぶ差があると思うので、そこを経験してきたからこそ言えることだと思いますし、優勝してみて、仲間の大切さだったり、青森でも残ってずっと応援してくれたコーチの方々だったり、チームメイトもいるので、その人たちにもしっかり感謝したいなと。チームで、山田の全員で勝ち切った勝利かなと思います」

―FC東京への入団内定が発表されました。
「まずはサッカーを見て、ボランチがアグレッシブで、しかも攻撃的なサッカーなので、そこは凄く自分にフィットするなという部分が一番の印象です」

―もともとFC東京を意識する部分は?
「ありましたね。そういう声が掛かっていることも自分自身言われていたので、そこは意識していました」

―海外のクラブにも練習参加されていました。
「結局、海外に行っても、日本に残っても、やるのは自分自身なので、まずは本当に自分の決めた道を信じてやっていくことが大切なのではないかなと思います」

―海外でプレーしてみて、実際に掴んだ自信や手応えは?
「技術的な部分は凄く評価されましたし、左足のところだったり、ゴール前での関わりは凄く評価された部分でもあるので、そこは今後も続けていかなければいけないと思います」

―一番差を感じた部分は?
「身体的な部分になるんですけど、スプリントのところが凄く自分の課題だなと思いました」

―海外でまったく知らない人たちとコミュニケーションを取った経験が、今に生きている部分は?
「ずっと日本で、年下との時から先輩に物事を言ってきて、それも海外でもちろん通用するところもありますし、やっぱりサッカーに対して言葉をしゃべって要求しないと、海外だとボールも出されないので、そこはもう割り切って、勉強もして臨みました」

―海外を経験したことで想いが新たになったところは?
「自分の同年代で、海外でも凄く活躍している選手はいますし、そういうところではまだまだだなと思います。率直に海外での経験を通して、『本当に負けていられないな』という気持ちと、ボールを持った時でも、オフ・ザ・ボールの時でも、1個1個の質が本当に大事な所なので、そこはこだわっていきたいなと思いました」

―FC東京で自分が成し遂げたいことは?
「まずは自分が加入してからはJリーグ優勝という目標に向かいたいです。FC東京もその目標を掲げているので、少しでも力になれたらいいかなと思います」

―一緒にプレーしてみたい選手は?
「長友(佑都)選手で、海外も経験していますし、ベテランなので、いろいろなものを吸収していきたいと思います。海外の話は聞きたいですよね。でも、まずはメンタル的な部分です。自分もメンタルの部分は結構強い方ですけど、それよりも遥か上のメンタルだと思うので、良いものを吸収していきたいと思います」

―今年はU-18から3人がトップチームへ昇格します。
「代表でもやらせてもらっていたので、そこは嬉しい気持ちがあります」

―同じボランチの選手が2人(安田虎士朗、梶浦勇輝)います。
「Jリーガーでも、どこの世界に行ってもそうですけど、同じポジションには絶対にそういう人たちはいますし、そこに勝っていかないとという部分があるので、本当に自分が試合に出るというつもりでやっていきたいと思います」

―会見で初めて青赤のユニフォームに袖を通しました。
「いやあ、周りから見ているイメージとは違うなという感じではありますね。周囲の視線からして」

―しっくり来ました?
「凄くカッコいいなと思います。赤は好きです。青も練習着が多いので。ポジティブな印象です」

― “三冠”を獲るということについて。
「本当にそう簡単に三冠は獲れないので、まずはインターハイで優勝したからこそ、気持ちの緩みというのは少なからずあると思います。そこは本当に自分を中心にチームを締め直していかないといけないなと。この三冠という目標に向かって、自分1人だけでは到底成し遂げることができないので、まずは本当にチームで成し遂げられるように、1個1個の試合を山田らしいサッカーをして取り組んで、勝っていきたいなと思います」

―青森山田で過ごした6年間の集大成という意味で、今回の選手権への想いは?
「中学1年生の時から凄く憧れていた場でもありますし、それもしっかり経験した集大成として、恩返しということで、今まで関わってきてくれた人たちに対して、自分のプレーを出して、優勝という形で終われたらなと思います」

―6年間を過ごした青森という土地に対する愛着は?
「ここらへんだったら、もう場所は分かるというか、美味しいラーメン屋だったり、そういうのもわかるので、今は地元と同じくらいの感じですね(笑)」

―改めて今回の選手権で成し遂げたいことを教えてください。
「まずは100回大会ということで、いろいろな注目もあると思うんですけど、そこは自分たちの良さでもある、聞く耳を持ってやることが大事だと思うので、そういったところに流されず、自分たちらしいサッカーをすれば、絶対に優勝は見えてくると覆います」

―過去2年の決勝で負けた悔しさをぶつけたい想いは?
「そうですね。ピッチは変わりますけど、埼玉スタジアム2002で2度負けているので、次は国立競技場で(自分にとっての)初優勝を飾りたいなと思います」

―カップを掲げるイメージは?
「自分が1年生の時にプレミアリーグで見た景色を、みんなにも見させてあげたいと思っているので、そこはありますね」

―改めて「松木玖生でいる」というプレッシャーは?
「多少はありますけど、そこは本当にあえて聞く耳を持たないというか、そこはそこ、ピッチ上はピッチ上でしっかり分けて、本当にサッカーをしている時は周りの声は関係ないので、そこは区別してやれば、『このような選手が松木玖生だぞ』と思えるようになると思います」

―サッカー選手として到達したいところを教えてください。
「自分自身は本当に海外を目標としていて、まずはFC東京というチームで結果を残さないと、そのような機会は与えてもらえませんし、これからは競争だと思うので、その競争にどんどん競り勝って、良いものを吸収してやっていきたいと思います」


(取材・文 土屋雅史)
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