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札幌光星が27大会ぶりに全国切符!! 粘り腰で帯広北に逆転勝ち

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27大会ぶり11回目の総体出場を決めた札幌光星高

[6.17 インターハイ北海道予選準決勝 帯広北高 1-2 札幌光星高]

 失点しても慌てない、信じる力で勝利をもぎ取った。全国高校総体(インターハイ)の北海道大会は17日に準決勝、決勝を行い、札幌光星高は準優勝で全国大会の出場権を勝ち取った(北海道は2枠)。

 札幌光星は、全国切符をかけた準決勝で帯広北高と対戦。前半から優勢ではあったが、5バックの相手を崩しきれずにいると、先に点を取られる苦しい展開を強いられた。帯広北は前半27分、MF平田佑月(3年)が蹴った左CKをニアサイドで相手にカットされたが、DF前北直哉(3年)がボールを奪い返してバックパス。DF東雲夢輝(2年)が左足で放ったミドルシュートを相手GKが弾くと、DF高見紘史(3年)がゴールへプッシュ。先制に成功した。

 帯広北はFW佐賀勇斗(3年)が前線で攻守によく走り、左に開いたFW室山晟明(3年)を起点に守備からカウンターを仕掛け、セットプレーではDF東雲のロングスローで襲い掛かるなど、狙いがしっかりと見える試合運びで1点をリードして前半を終えた。

 しかし、1、2回戦を延長戦で勝利し、さらに準々決勝の札幌大谷戦でも延長戦を経験してPK戦の末に勝ち上がるなど今大会で粘り腰を見せている札幌光星は、気持ちを落とさずに後半へ臨んだ。試合再開直後は帯広北に攻め込まれたが、少しずつ落ち着いてパスをつなぎながら反撃。そして後半17分、左CKにDF熊谷灯真(3年)が競りに行った場面でオウンゴールを誘発して同点に追いついた。さらに同27分、左MF池田峻大(3年)がサイドを突破して中央へラストパスを送ると、FW川合流央(3年)が右足のワンタッチシュートを決めて逆転に成功した。終盤はDF横山太輝(2年)を投入して守りを固めてシャットアウト。2-1で勝ち切り、27大会ぶり11回目となるインターハイ全国大会の出場を決めた。

 主将を務めるMF土井駿輔(3年)は「信じられないですね。全国出場を目標に全員でやっていたけど、それが現実になる……。なんか夢みたいです」と感慨に浸った。快進撃の背景には、これまでの積み重ねがある。今季10年ぶりにプリンスリーグ北海道を戦ったことで、力のある相手に苦しみながらも応戦する耐性がついた。特に、長年にわたって道内で圧倒的な強さを誇り続けているコンサドーレ札幌U-18戦に勝利したことで、自分たちの可能性を信じられるようになった。その成果が、今大会の粘り腰につながっている。

 また、苦境に立ち向かうことで、チームの良さが光った部分もある。同学年18人と少ない3年生の中には、インターハイで部活動を引退すると決めている選手もいる。選手の誕生日はチーム全員で祝うという仲の良い集団が、苦しい場面をともに戦うことで一丸になった。ディフェンスリーダーの熊谷は「主力のMF藤代大河(3年)が疲労骨折でベンチにも入れていないけど、全国大会の頃には復帰できると聞いていて、アイツのためにもという思いがあったし、インターハイでの引退を決めている3年生のためにも勝ちたいと思っていた」と試合にかけていた思いを明かした。自身は中学卒業でサッカーを辞めようと思っていたが、練習参加をした際に、上下関係がなくすべての選手が全力を出し合える雰囲気を感じ取って、思いを変えたという。土のグラウンドで練習に励み「仲の良さ」をチーム力に昇華させてきた札幌光星が、久々に全国の扉をこじ開けた。

 全国大会の目標を聞かれた主将の土井は「まず……。いやもう、なんすかね。優勝っすかね。優勝ですよ。全部、なんでも勝ちます」と殊勝な回答を辞めて、頂上への挑戦を宣言した。最初は信じきれなかった自分たちの可能性が見えた全道大会を経験し、自信を得た。全国でも、チームワークを武器に飽くなき挑戦を続ける。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2022

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