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ベスト4時の雰囲気は「もっと」。高川学園は2試合連続4発勝利も、私生活からよりこだわって3回戦へ

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前半21分、高川学園高FW山本吟侍が先制ゴール

[7.30 インハイ2回戦 高川学園高 4-0 札幌創成高 忠和公園多目的広場B]

 高川学園が18年大会以来の3回戦進出。30日、夏の高校サッカー日本一を争う令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技2回戦が行われ、高川学園高(山口)と札幌創成高(北海道2)が激突。高川学園が4-0で勝ち、3回戦進出を果たした。

 25回目のインターハイを戦う高川学園が、初出場校・札幌創成に快勝した。高川学園は、主将のCB藤井蒼斗(3年)が「昨日の入りが良かった分、今日の入りはガクッとならないように、昨日の流れを維持して試合に入ろうという話をしていました」と振り返ったように、序盤からU-17日本代表候補のFW山本吟侍(3年)と俊足FW山中大樹(3年)を中心としたハイプレスと力強い攻撃。GKからビルドアップにチャレンジする札幌創成に触れるほどまで距離を詰め、その攻撃を乱していた。

 また、ボールを奪うと山本へのロングボールやサイドへの展開。2トップや右SH中津海蓮恩(2年)、左SH佐藤大斗(3年)の両翼がドリブルで仕掛けてシュート、クロスへ持ち込もうとする。相手に圧力をかけ続け、山本が3度4度とシュート。だが、札幌創成DF陣もCB米田來禅(2年)やCB森恭亮(2年)が最後まで食らいつき、シュートブロックを続ける。

 加えて、札幌創成は、MF上田倖輔(2年)らが人数をかけて相手の起点を潰すなど健闘。だが、アタックし続けた高川学園が先制点を奪う。前半21分、高川学園は佐藤が左サイドのエンドライン際まで切れ込んでクロス。これをゴール前でコントロールした山本が身体を投げ出しながら右足でゴールへ蹴り込んだ。

 高川学園はさらに23分、中津海が縦突破からクロス。ファーの佐藤のヘッドはクロスバーを叩いたが、幸運な形でのゴールで相手を突き放す。前半28分、右CKから山本が叩きつける形でのヘディングシュート。これはGK渡辺嵩来(3年)の好守に阻まれたが、続く流れから佐藤が左足でロングクロスを入れる。これがGKの頭上を越えてそのままゴールイン。江本孝監督が「(春先は怪我で苦しんだが、佐藤は)努力家。頑張っている子にそういうものが巡ってくるのかなって思いました」と評したゴールによって2-0で前半を折り返した。

 後半立ち上がりは高川学園が勢いを緩めたこともあり、札幌創成ペースに。ボールを保持し、MF佐藤蓮(3年)とMF佐野元紀(2年)が推進力を持って前に出るなど高川学園を押し込む時間帯があった。そして、エースMF村本柊生主将(3年)の左足シュートなどでゴールを目指すが、最後の一歩が出る高川学園は決定打を打たさない。

 逆に13分、高川学園はMF宮城太郎(1年)のスルーパスで山中が右中間を抜け出す。GKをかわした山中は慌てずにラストパス。これを宮城が右足でゴールへ押し込んだ。高川学園はさらに17分、左クロスをファーサイドの山本が折り返し、最後は山中が右足でゴール。札幌創成は諦めずに1点を目指し続けたが、高川学園の堅守は崩れず、無得点で試合を終えた。

 高川学園の3回戦の対戦相手は、前回大会8強の矢板中央高(栃木)。江本監督は「まだできるだろうと思う部分がいっぱいある。明日も試合ができるので次の矢板さんにしっかりと食らいついていきたい」。より厳しい戦いとなる中で、私生活を含めた部分で白星を引き寄せることができるか。

 1年時に選手権全国3位を経験している藤井は、「ベスト4の時は初戦の時がもっと雰囲気が良くて、失点しても『大丈夫と』いう自信を感じていたので、(自分たちは)足りないと思います」と説明する。2試合連続で4得点を挙げて快勝しているが、よりできることを求めて3回戦へ。「明日はもっと厳しい試合になると思うので、今日と昨日以上の入りというか全員で声を掛け合って、雰囲気が良くない時間帯でもそれを跳ね返していけるような試合をしたいです。次の試合が一番ヤマ場になってくると思うので、今日宿舎に帰ったところからしっかり明日の試合に向けていかないと。明日の試合はもっと厳しい試合になると思うので引き締めて行きたい」(藤井)。今年の3年生の真面目さは江本監督も評価するほど。相手以上の準備をして3回戦に臨み、白星を掴み取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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