[4.30 練習試合 U-17日本代表候補3-3関東大学選抜 夢フィールド]

　2得点と気を吐いた。45分×3本マッチの2本目途中から出場したFW山本吟侍(高川学園高)は3本目の2分に当たり損ねのボレーがゴールネットを揺らすラッキーな形で得点を奪うと、同28分にはFW木吹翔太(広島ユース)の横パスからエリア内を縦に突破。年上の大学生相手にも臆することなくプレーし、持ち味を十分に出した。

　昨年7月に行ったU-16日本代表候補合宿以来となった招集に燃えていた。今合宿は代表常連のFW徳田誉(鹿島ユース)とFW道脇豊(熊本ユース)が不在。長身FWに逸材が揃うFW争いで生き残るためにも、何としても結果が欲しかった。そこで奪った2得点。山本も「FW争いの中で勝ち残らないといけないと思っていたので、2点を決められて良かったです」と充実の汗を拭った。

　元日本代表FWとの練習で、これまでにない感覚を伝授されていた。今回のU-17日本代表候補合宿には、元日本代表FWの大黒将志氏(G大阪アカデミーストライカーコーチ)が帯同。前日29日の練習では、プルアウェイ(相手DFに近づいてからスペースに動いてボールを受ける動き)の動きを実技指導してもらったという。「大黒さんにやってもらったけど速くて(笑)」と感動があったことを明かす。

「プルアウェイの体の反転の仕方を学びました。絶対に持ち帰ろうと思いました。他にも相手に隠れながらオフサイドポジションにいて、オンになったら相手の前に入ってボールをキープするところだったり、いろいろと学べたのでよかったです」

　今季注目の高校生のひとりで、もちろんプロもその才能を放っておくことはないだろう。「水戸ホーリーホックとレノファ山口FCの練習に行きましたが、一番感じたのはプロ意識の高さ。体のケアのところで高校生とは違った。水戸でそれを学ばせてもらって、レノファでは強度を出していいアピールができたと思います」。

　しかし本人は「高卒プロも浮かんでいるけど、大学で即戦力になって進みたいという思いもあります」と冷静な判断していくつもりでいる。今はまだ未来へ向けた実力と自信を積み上げる時期。6月末にAFC U17アジアカップを控えるU-17日本代表のFW争いに、泥臭さを売りにする“丸坊主のストライカー”がアクセントをつける。

(取材・文　児玉幸洋)