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全日本大学選抜21人中6人が160cm台も攻撃に厚み、"黒子役"下田がアクセントに

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 全日本大学選抜は24日、関東選抜Aと練習試合を行い、4-4で引き分けた。前日の関東選抜Bとの試合(1-1)に続いてのドロー。最少得点で終わった昨日から一転、4得点を決めての引き分けだった。試合後、吉村雅文監督(順天堂大)は「(きのうの試合を受けて)自己満足の試合じゃダメと選手たちには言いました。このチームは1、2年生しかいなくても、日本にひとつしかいない代表のチーム。学生の代表として勝たなくてはいけない。何をするか選手たちに投げかけた」と明かした。その甲斐あってか選手たちは序盤から果敢にゴールをめざし、積極的にシュートを放っていった。

 なかでも中盤から前線へかけてのMF茶島雄介(東京学芸大2年=広島ユース)、MF上村岬(筑波大2年=磐田ユース)、MF長澤和輝(専修大2年=八千代高)、FW仲川輝人(専修大1年=川崎F U-18)は平均身長167cmながら、そのサイズを感じさせない厚みのある攻撃を展開。指揮官も「茶島、岬、和輝、仲川は流動的な発想で攻撃をしていた」と高評価を下していた。次から次へバイタルエリアへ仕掛けては、果敢にシュートを放っていく。相手守備陣は抑えどころが一か所ではないため、手を焼いていた。

 そんななか、中盤で一人違うアクセントをもたらしていたのが、ボランチのMF下田北斗(専修大2年=大清水高)だった。所属先の専修大でも黒子に徹することの多い下田だが、ショートパスをつなぎがちな攻撃陣のなかで、広い視野を武器に逆サイドを見ては大きく展開。中盤から前へボールをつなぐだけでなく、チャンスとみれば、自らドリブルで駆け上がり、シュートも狙った。前半41分にはゴール前へ走り込むと長澤のパスを受け、冷静にGKの位置を見極めてシュートを決めた。守っては、味方がボールを奪われるやいなや、一早く自陣内に走り込んでは守備でも体を張ってみせた。

 吉村監督は「あそこはワガママを言わせてもらった」と下田の全日本選抜入りについて明かす。それでも「それに見合った仕事をしてくれているし、間違いなく(このレベルで)やれる」とキッパリ。「自分で出ていく力もあるし、ラストパスもある」と下田の多才ぶりに賛辞を送った。

 今回の全日本大学選抜は21選手のうち、6選手が160cm台とサイズは決して大きくない。それでも各選手たちが各々の武器を発揮し、役割を全うすることで攻撃に厚みが生まれ、次々といろいろな選手がゴール前へ顔を出す魅力あるサッカーをつくりあげている。守備面に関しては「まだまだこれから」(吉村監督)という全日本大学選抜だが、自由な発想をもった小柄な選手たちがこれからも躍動をみせてくれるはずだ。

(取材・文 片岡涼)

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