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ファンは不在…ウクライナ・プレミアリーグが新シーズンをスタート

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 ウクライナのサッカーリーグは23日に新シーズンをスタートさせた。英『ESPN』がロイターの情報とともに現状を伝えている。

 開幕戦はキーウの6万5500人収容のオリンピック・スタジアムで開催。地元から何百マイルも離れたガラガラのスタジアムで、ロシアとの戦争で戦った人々に敬意を表したセレモニーの後、新シーズンが始まった。戦争で荒廃した東部の2チーム、シャフタール・ドネツクとメタリスト・ハルキウが対戦し、0-0で引き分けた。

 2月のロシア侵攻後、初となるトップレベルの試合。リーグ再開決定は「ウクライナ人が普通の生活を取り戻す準備はできた」という反骨精神の表れとして歓迎されているようだ。しかし、この試合は普通の試合とはほど遠いものになった。

 ウクライナは依然として戒厳令下。独立記念日の祝日である水曜日を前に、ロシアの砲撃の恐れがあり、首都では大規模な市民集会が禁止されていた。雑草が生い茂ったスタジアム入り口前には警察が警備についたが、アリーナに姿を見せるファンはいなかった。

 両チームの選手たちは青と黄色のウクライナの国旗を肩に掛けてフィールドに入り、戦争で亡くなったウクライナの都市名が大型スクリーンに映し出される中、1分間の黙祷を捧げた。

 シャフタールのイゴール・ヨビチェビッチ監督は開幕戦の前に「これは仕事だ……ウクライナの生活が、止まることなく続いていることを世界に示すためにね」と語る。

「サッカーは国全体の感情を動かすことができるものであり、私たち全員のために戦っている人々のためのものだ。だからサッカーは私たち個人、チーム、シャフタールだけでなく、ウクライナ・プレミアリーグ全体にとって必要不可欠なものなんだ。生き続けるために役立つし、サッカーが続いていることを世界に示すことができる」

 MFミハイロ・ムドリクは指揮官の考えに同意を示す。

「彼ら(の見ている世界)は、ウクライナでどんな出来事が起きているのか覚えておくべきだ。多くの時間が過ぎ、おそらく世界は忘れてしまっているのだから」

「僕たちの目標は、この試合を通じて、何も終わっていないこと、そしてここウクライナで起こっている残虐行為を全世界に思い出させることにある」

 昨シーズンが中断された時点で、シャフタールは首位に立っていたため、今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)グループリーグ出場権を獲得。木曜日の抽選を待ち、ポーランドでホームゲームを行う予定となっている。

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