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プレミア審判界のトップがマンチェスターダービーの“物議シーン”に結論「今後はオフサイド」

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オフサイドではないと主張するFWブルーノ・フェルナンデス

 イングランドのプロ審判協会(PGMOL)会長を務めるハワード・ウェブ氏が現地放送局『スカイ・スポーツ』に出演し、プレミアリーグにおける審判事情を話した。

 注目されたのは、1月14日のマンチェスター・ダービーにおけるマンチェスター・ユナイテッドFWブルーノ・フェルナンデスのゴールについて。オフサイドポジションに位置していたFWマーカス・ラッシュフォードの動きがマンチェスター・シティの守備陣に影響を与えていないとされたことにより、得点が認められたシーンだ。この判定にはオフサイドではないかとして物議を醸していた。

 ウェブ氏はこの得点について「今季最も話題になった事象だと思う」と述べ、判定の経緯を説明した。「オフサイドポジションの選手がボールに触れない場合、相手選手に影響を与えたかが問題だ。罰せられるのは4つの具体的な事項のうち1つに当てはまる必要がある」

 ここで述べられたのは競技規則にあるオフサイド基準の4点だ。いずれかを満たした場合、オフサイドが成立する。

①明らかに相手競技者の視線をさえぎることによって、相手競技者がボールをプレーする、もしくは、プレーする可能性を妨げる。
②ボールに向かう相手競技者にチャレンジする。
③自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える。
④相手競技者がボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をとる。

 この試合の審判団はすべてに相当しないと判断したため、得点が認められた。この判定に対してウェブ氏は「ラッシュフォードがそれらの行為を確実に行ったわけではない。ただし行なったと主張することもできるだろう。解釈を必要とし、主観的な要素もある」とし、「当時の審判団は競技規則で示された“影響”には相当しないと感じた。それは支持できるものだ」と誤審ではないとする見解を示した。

 ただし同様の事象が再び発生した場合、得点は認められないようだ。ウェブ氏は当該審判団の判定は支持できると強調しつつ、多くのファンや有識者が判定に異論を唱えたことを受けて「この状況はオフサイドと判断されることが期待されている。我々はそのような声に耳を傾けるべきだ」とコメント。「もし同じ状況が再び起きた場合、異なる判定を見ることになるだろう」と明かした。ラッシュフォードがボールに非常に近く、一般論として「影響を与える」と言える状況だったことを理由としている。

 プレミアリーグでは過去に「判定は支持できるが、以降の試合は異なる判定で統一する」という指針が示された例がある。2020-21シーズンのアストン・ビラ戦で相手DFがトラップした直後のボールをオフサイドポジションのマンチェスター・CのMFロドリが奪い、得点につなげるという事象が発生。DFがプレーした後にロドリがボールを奪ったことから、オフサイドではないと判定された。これに批判が集まり、PGMOLは正しい判定としつつその後の試合からオフサイドと判断することを発表している。

 ウェブ氏は今後もクラブ等各団体から意見を募り、議論を重ねてレフェリング基準を修正するとしている。

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