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清水桜が丘が富士市立に1-0で今季初白星。地力ある“ハニカミ軍団”は自信つける試合に

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清水桜が丘高が1-0で勝利。今季リーグ戦初白星を挙げた。

[4.16 高円宮杯プリンスリーグ東海第3節 富士市立高 0-1 清水桜が丘高 富士市立高G]

 清水桜が丘が今季リーグ戦初勝利! 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 東海は16日、第3節を行い、ともに公立校の富士市立高(静岡)と清水桜が丘高(静岡)が対戦。清水桜が丘が1-0で勝ち、今季初白星を飾った。

 富士市立は昨季、終盤の巻き返しで逆転残留に成功。昇格4年目の今季は前節に初白星をマークし、2連勝を狙う。そのチームは、3-4-3システムでスタート。GKは父・杉山秀幸監督の下で戦う杉山弘太郎(3年)で、3バックは右から植松雄基(3年)、キャプテンマークを巻いた大石康太(3年)、森田稟(3年)。右WB庵原智晴(2年)、左WB土屋颯太郎(3年)、ダブルボランチが森寧樹(3年)と渡邉奈那斗(2年)、そして3トップに内木璃斗(2年)、安田将英(3年)、U-16静岡県選抜で10番を背負った注目FW山藤大夢(3年)が並んだ。

 一方、選手権優勝3回の名門・清水商高の伝統を受け継ぐ清水桜が丘は、4-4-2システム。GKは1年生の注目株・高田翔、4バックは右SB佐藤奨真(2年)、主将のCB鈴木貴仁(3年)、CB町田翔、左SBが静岡県高校選抜の石川瑠紀(3年)。片山拓翔(3年)と村松拓磨(3年)のダブルボランチで右SH西山隼矢(3年)、左SH中澤音和(2年)、2トップに杉山達(3年)と松井胡太郎(3年)が並んだ。

 富士市立はこの日、昨年から先発のDF高橋伊吹(2年)やMF森翔大(3年)、DF名波快(3年)、MF井上陽太(3年)を欠く陣容だったが、チャンスを得た選手たちが奮闘。狭い局面ではロンドのようなパス回しで揺さぶりを掛け、初出場の内木が果敢なドリブルで仕掛けるシーンもあった。

 だが前半、より“らしさ”を表現していたのは清水桜が丘の方。相手のくさびのパスを、パワーを持って潰し、セカンドボールを拾って左の中澤と石川、右の西山の両翼へ素早く展開する。そして、彼らの縦への仕掛けやアーリークロスからゴール前のシーンを作り出した。17分には村松の展開から西山のラストパスに杉山が飛び込み、20分には中澤の左足CKのこぼれを松井が左足で狙う。また、最前線の松井が泥臭いボールキープで相手を押し下げていた。

 対する富士市立は前半、チームの特長でもある“遊び”を効果的に出せず、中央から攻撃する回数も増やすことができない。注目の山藤も組み立てに注力する展開に。それでも28分、前半から存在感ある動きを見せていた渡邉が左へはたき、山藤がバランスを崩しながらも強引に左足を振り抜く。

 富士市立は前半36分、安田に代えてFW松田絢斗(3年)を投入。39分、清水桜が丘は左でキープした松井を村松が追い越してクロスを上げ、ファーの西山が狙う。だが、富士市立の土屋が決定機を阻止する。

 清水桜が丘は直後に右CKのクリアを西山がPA外側から右足で突き刺し、喜びを爆発させるが、ゴール前の攻防でオフサイドがあってノーゴールの判定に。だが、チームは引きずらずに切り替え、片瀬晴城監督も「取り消されたあとが良かった」と認める内容で前半を終える。

 富士市立は後半、山藤と松田の2トップへ移行。清水桜が丘・石川のアーリークロスでピンチを作られるシーンなどがあったものの、攻守が噛み合う形で連動した仕掛けと奪い返しを続ける。12分には内木のスルーパスで山藤が右中間を抜け出し、右足シュート。直後には右CKから松田がヘディングシュートを放った。

 富士市立の攻勢が続いていたが、清水桜が丘はヘディングの強さを見せ続けた町田と的確な跳ね返しを見せる鈴木を中心に、球際の強度と切り替えの速さを継続して凌ぐ。そして、松井を起点とした攻撃で押し返すと20分、右クロスのこぼれを村松が正確なファーストタッチ。そして、相手GKの位置をよく見てから右足を振り抜くと、ボールはGK頭上を越えてゴールへ吸い込まれた。

 この後は清水桜が丘の運動量が落ちたこともあって、再び富士市立のペース。22分には松田の素晴らしいポストプレーから渡邉が右足を振り抜く。31分には富士市立がFW内藤星汰(3年)、清水桜が丘がMF田中大智(3年)を同じタイミングでピッチへ送り出す。その直後、富士市立にビッグチャンス。山藤のラストパスで内藤が抜け出すが、清水桜が丘GK高田が距離を詰めてシュートをストップする。

 富士市立は森や渡邉の“遊び”と周囲の動きが連動し、左サイドを個で攻略する山藤がクロス、ラストパスへ持ち込む。清水桜が丘はボールの失い方が悪く、連続攻撃を受けていたものの、GK高田が安定したキャッチングを継続。終盤の押し込まれた時間帯でも片瀬監督が「素直だから。こうやって(実直に)やってくれれば良い」と評した鈴木が1本1本着実にクリアしていく。そして、終盤に投入されたMF小笹凜(3年)、MF岸裟久馬(2年)も含めて大きな隙を見せなかった。

 富士市立は杉山監督が「もっと嫌らしくというか、自分たちのペースに相手を引き込むような緩急つけれるように。どうしてもスピード上がってしまったりしている」と指摘したように、力んでミスが出てしまうなど、“普段通り”を欠いた部分もあって無得点。勝ち点3を獲得することはできなかった。

 一方、今季リーグ戦初白星の清水桜が丘・片瀬監督は「今日勝てたということは、“ハニカミ軍団”としては初勝利だから良いことだよ」と微笑み、村松は「(片瀬)監督からは『とりあえず頑張ることをやろう』と言われていて、みんな頑張れたので良かった」と頷く。昨年からのレギュラーは石川だけ。チーム全体の地力はある印象だが、経験、自信がないためか、コーチ陣から「できるよ!」と言われても選手たちははにかむばかりで、自分たちの力を信じられず、試合で慣れるまでに時間が掛かったり、消極的な試合をしてしまったり、流れを引き戻せない部分があるようだ。

 練習の姿勢もまだまだこれからだ。それでも、この日は経験豊富な石川が声を発し続けてチームを前向きにさせるなど、変化も。石川は「去年出ている人が少なくて経験も積めていない。1試合1試合(経験を)積んで行って良い舞台で結果残したい。インターハイは全国行けるように、またこれから。日々、全国行くための練習をしているので、しっかり一つ一つ大事にやっていきたい」と力を込めた。

 オフでは明るい集団というだけに、石川は「もっとオンで出していきたい」。今年の目標はリーグ戦で上位へ食い込み、インターハイ・選手権で全国大会に出場すること。個やチームの特長も出して勝ち取ったこの日の白星を自信に、また変化して次の練習、試合へ向かう。
 
(取材・文 吉田太郎)
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