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プリンス関西1部首位・東海大大阪仰星が逆転も、成長示した京都橘が45+7分に追いつきドロー

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後半45+7分、京都橘高のU-17日本高校選抜FW宮地陸翔が同点ゴール

[8.26 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第10節 京都橘高 2-2 東海大大阪仰星高 KYOTO TACHIBANA STADIUM]

 26日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関西1部第10節で首位の東海大大阪仰星高(大阪)と6位・京都橘高(京都)が対戦し、2-2で引き分けた。

 ともにインターハイ出場こそ逃しているものの、有力校同士の戦い。互いに特長も出し合った末、勝点1を分け合った。前半、京都橘はFW西川桂太主将(3年)が高い位置で収まりどころとなり、MF高橋優(2年)、MF久保翔大(3年)の両SHを活用。ロングスローも交えてゴール前のシーンを作り出す。

 今季開幕戦で対戦した際のスコアは3-3。京都橘の米澤一成監督は「前期の時は(引き分けたものの、)だいぶ差があった。イーブンにやらせてもらえるようになったかなと。夏の経験はちょっとは活きたかな、その成長は見えたかなと思います」と説明する。東海大仰星の鋭い攻守に主導権を握られた5か月前からの成長。今夏から2トップを組む西川、U-17日本高校選抜FW宮地陸翔(2年)をはじめ前線からの守備を継続し、相手のプレッシャーの中でも西川やMF松本海音(3年)が落ち着いてボールを繋ぐ時間を増やしていた。

 東海大仰星もDF背後を突き、サイド攻撃やセットプレーからゴール前のシーンを作り出す。だが、相手に飲み込まれずに攻める京都橘は40分、西川が右サイドからゴール前へ潜り込み、宮地へ預ける。そして、宮地がタイミング良くヒールパス。リターンを受けた西川が左足でニアのゴールを破った。

 だが、東海大仰星は後半10分、同点に追いつく。左サイドでポイントになり続けていたMF下舘拓海(3年)が相手のわずかな隙を突いて右足ミドル。GKが弾いたこぼれ球をFW水永直太朗主将(3年)がスライディングシュートでゴールへ押し込んだ。

 東海大仰星はCB松村瞭(3年)が空中戦での強さを発揮し続け、CB平井大地(3年)がスペースへのボールを一つ一つ確実に処理。左SB加賀美諒(3年)が相手の決定打をブロックするなど、好守護神のGK森本真幸(3年)を中心に隙を見せない。

 一方の京都橘は後半、前線の運動量が低下し、単調な攻撃になってしまっていた。相手のカウンター攻撃を受ける回数が増加。CB池戸柊宇(3年)やU-17日本高校選抜候補GK中浦悠大(3年)を軸に相手の攻撃を跳ね返していたものの、東海大仰星に逆転を許してしまう。

 40分、東海大仰星は10番MF中山蓮(3年)が左サイドからグラウンダーのパスを差し込む。これを受けた水永がPKを獲得。キッカーを務めた中山の左足シュートはGK中浦に止められたが、こぼれ球を交代出場の右SB櫛田泰洋(2年)が押し込み、2-1とした。

 相手にボールを保持されながらも、相手が攻め切る前にボールを奪い、カウンター攻撃に結びつけていた東海大仰星が勝ち越し。リーグ首位の力を示したが、中務雅之監督は「理解度が上がってきているかなと思いますけれども、同じことを繰り返しているかなという感じですね。色々なところを突き詰めるとまだ足りない」と厳しい。勝点3に近づいたものの、ここで試合を締めることができず、同点ゴールを奪われてしまった。

 45+5分、京都橘は池戸が決定的なヘッド。これは相手GK森本に阻まれたが、45+7分、連続CKのこぼれ球を宮地が左足でゴールへ蹴り込んだ。京都橘の米澤監督は「(メンタル面が)強くなっていますよ。(今年のチームは)だいぶ痛い経験をしてきた。最後のところまで頑張れなかったり。それが今日は見せれたので成長のところかなと思います」と頷いていた。

 京都橘は延長後半終了間際の失点で宿敵・東山高に惜敗したインターハイ予選準決勝をはじめ、プリンスリーグ関西1部でも終了間際の失点で勝点を落とす試合が続いていた。今夏はラスト15分に課題意識を持って取り組み、この日は「最後は気持ちって感じです」(西川)という1点でドロー。それでも西川は、「やりきれへんとか練習でもまだまだ甘さがあるから、日常の甘さが最後に出てしまうというのが僕らの課題なので、そこは練習から求め合って突き詰めて毎日やっていかんといけない」と引き締めていた。U-17日本高校選抜MF福永裕也(3年)らを怪我で欠く中、勝点1をもぎ取ったが、勝ち切れなかったことも確か。選手権での飛躍、プレミアリーグプレーオフ進出など秋冬に結果を残すためにも、課題に向き合って突き詰めていく。
 
(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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