beacon

[新人戦]神村学園がプレミア勢対決を制し、12年ぶりの九州制覇。FW名和田我空「3冠に向けて、まずはプレミアまでにレベルアップしたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

神村学園高が12年ぶりの九州高校新人大会優勝

[2.20九州高校新人大会決勝 神村学園高 1-0 大津高 白波スタ]

 神村学園が12年ぶりの九州新人制覇! KYFA男子第45回九州高等学校(U-17)サッカー大会決勝が20日、鹿児島県鹿児島市の白波スタジアムで行われた。ともにプレミアリーグWESTに所属する神村学園高(鹿児島2)と大津高(熊本1)が激突。神村学園がU-17日本高校選抜候補MF大成健人(2年)の決勝点によって1-0で勝ち、12年ぶり3回目の優勝を飾った。

 前半は大津が優勢に試合を進めた。前からの連動した守りで神村学園のビルドアップを網にかける。なかなか突破できない神村学園に対し、大津は10分、中盤を追い越して攻め上がった左SB大神優斗(2年)が鋭いクロス。14分には右SH舛井悠悟(2年)の仕掛けからFW山下景司(2年)が右足シュートを撃ち込んだ。

 また、中盤でタメを作るU-17日本高校選抜候補の10番MF嶋本悠大(2年)やMF畑拓海(2年)が効果的な配球。MF兼松将(2年)が空中戦で強さを発揮していたほか、U-17日本高校選抜候補CB五嶋夏生主将(2年)が球際で強さを見せる。加えて、今大会の活躍が光ったCB村上慶(1年)の守備範囲の広さや強度の高い守りも印象的だった。

 一方の神村学園はGK江田優大(1年)が積極的に前へ飛び出してクロスを弾き返していたほか、出力の高い動きに加えて声を発し続けるCB中野陽斗(1年)、今大会で台頭した182cmCB黒木涼我(2年)を中心とした4バックが粘り強く相手の攻撃を封じる。

 攻撃回数は少なかったものの、U-17日本代表のゲーム主将FW名和田我空(2年)がボールを収め、CB漆島幹大(2年)がワンツーから一気に前進するシーンも。そして、前半31分に1チャンスをゴールに結びつけた。

 右ハイサイドへのボールを追ったU-17日本高校選抜候補FW日高元(1年)が、DFと入れ替わって一気にゴールライン際まで切れ込む。マイナスのパスを受けた名和田はシュートモーションから判断を変えてマイナスのクロス。これを大成が下がりながらのヘッドでゴールへ突き刺した。

 名和田は日本高校選抜合宿後の19日から大会に参加。前日の2ゴールに続き、見事な判断、技術力で先制ゴールをアシストした。「ボールが来る前に周り見た時に、(味方が)後ろからも入ってきてたので。それは感覚的に見えてたので、周りを見てアシストできたなって思います」と微笑んだ。神村学園は柔らかい動きでボールキープするMF松下永遠(2年)や縦へボールを運ぶ左SB井村知也(2年)も攻撃のポイントに追加点を狙う。

 神村学園は後半8分にU-17日本高校選抜候補DF鈴木悠仁主将(2年)をボランチに投入。怪我の影響でベンチスタートとなった主将が中盤に強度と高さを加える。15分には鈴木のインターセプトから名和田が繫いで日高がシュート。対する大津は嶋本の突破やパス、またサイドからの崩しによってゴール前のシーンを作り出し、山下や畑がシュートを放つ。

 大津がボールを保持しながら押し込む時間を増加。だが、神村学園はMF吉田唯竜(2年)が豊富な運動量で貢献する。また、最終ラインでは右SB友利楓樹(2年)や中野が身体を投げ出し、ゴール前に入ってくるボールを封じていた。

 大津の山城朋大監督は「1つの立ち位置のズレとかで外せるとは思ってたんですけど、思いのほか、(神村学園の守りが)しつこいし、一人ひとりが強い。チャンスは作れていたけれど、そこの決め切る力が相手にあって、こっちにはなかった」。神村学園は前がかりに攻めてくる相手の背後を狙って攻め返し、CKから中野がヘッド。35分には日高の左足シュートがクロスバーを叩く。追加点を奪えなかったものの、無失点のまま試合終了。いずれもU-17日本高校選抜候補のDF新垣陽盛(2年)とMF福島和毅(1年)が欠場したものの、強敵に勝利した。

 神村学園の有村圭一郎監督は「後ろがちょっとずつ良くなってきてて、失点しないような状況は頑張って作ってたんで、そういうのはちょっと収穫だったと思います」と評価。一方で、大津に比べ、突破したり、クロスを連発したり、ラストの局面で質を発揮するような、個で勝負する力が不足していることを指摘していた。

 選手権などで活躍し、周囲から評価されている選手が多いが、「何か覚醒したような選手がいるわけじゃない」。そして、「(これから)もうちょっとやれていいんじゃないっていうやつらが覚醒して、ちょっと止めにくいよね、っていうようなチームになるようなコンセプトを持って、やりたいなっていう風に思っています」と語った。

 選手たちもよりレベルアップすることを誓う。名和田は「(優勝は)本当、みんな自信になってると思います。今年は出てた選手もいたんですけど、技術がまだまだ足りないってことはみんな分かっているので、そういう面では真剣に向き合って、誰も満足してる選手はいないので、自分たちの大きな目標の3冠に向けて、まずはプレミアまでにレベルアップしたいなって思います」と力を込めた。

 また、主将の鈴木も「レベルの高いところで優勝できたのは、自分たちにとってプラスなんですけど、ここで満足していたら全国のレベルはもっともっと高いと思うので、やっぱり全国で日本一を取らないと今年はほんとに意味がないって思ってるので、ここに満足することなく、課題がこの大会で出たと思ってるので、そこを詰めていきたいなと思います」と引き締めた。ポテンシャルの高さを見せた神村学園は貪欲に課題改善や個のレベルアップに取り組み、目標に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP