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[デンチャレ]青森山田の10番はさすがのメンタリティ。MF芝田玲が中断後のPKを真ん中に蹴り込み、日本高校選抜に初得点もたらす

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前半43分、日本高校選抜はMF芝田玲(青森山田高3年→明治大、8番)がPKを中央へ蹴り込んで先制点

[2.29 デンチャレ プレーオフ選抜 3-1 日本高校選抜]

 日本高校選抜にとって待望の1点。PKキッカーのMF芝田玲(青森山田高3年→明治大)が選択したシュートコースは真ん中だった。

 前半36分、日本高校選抜はGK平塚仁(岡山学芸館高3年→明治大)が前線へロングキック。FW網代陽勇(尚志高3年→早稲田大)が相手守備陣のわずかな対応の遅れを逃さずにPAのボールに飛び込む。相手GKと交錯してPKを獲得。網代の負傷、また主審のプレーオフ選抜への説明が長引いたため、芝田がペナルティーマークに立ったのは網代のプレーから5分以上経ってからだった。

 相手選手、ベンチのPK判定への抗議の声など喧騒の中、芝田は自分が蹴ること、そして中央へ蹴り込むことを決めていたのだという。青森山田は幾度も窮地を乗り越えてプレミアリーグ、選手権で優勝。そのチームの10番を背負ったMFは右足PKを中央へ蹴り込み、関係者たちにそのメンタリティの強さを驚かれていた。

「(網代の治療中、)網代が蹴りたいって言えば蹴らせようと思いましたけど、網代が蹴らないなら自分が蹴るって自分たちで話したんで、そこは自分が行く心構えっていうのをして、どこに蹴ろうかあんまり迷わなくて、結構最初から真ん中に蹴ってやろうっていう気持ちになっていました。時間が長かった分、ちょっと迷った瞬間もありましたけど、そこはもう自分を信じて真ん中へ蹴ろうかなって思いました」。

 日本高校選抜にとって、これが今大会(3試合目)初得点だった。芝田は攻撃の中心選手として、自分が1点を決めたことを評価。だが、「攻撃的なところで点が取れてなかったっていうのは、やっぱり自分にも責任があったと思います」。流れの中や得意とするプレースキックで得点をもたらせなかったことを反省する。

 この日、チームは連動した崩しなどから2点目のチャンスも。だが、決められずにいると、その後は相手の強度に苦しむなど劣勢の展開が続き、流れを変えられないまま3点を奪われた。

「劣勢の時に1つボールを運ぶところだったりとか、落ち着かせるだけじゃなくて、攻撃により勢いをつけられるようなプレーができたら良かったかなっていうところはあるんで、やっぱり反省が多いかなと思います」と芝田。苦しい展開の中で幾度かボールを収め、質の高いパスも配給していたが、その回数をより増やし、決定的な仕事をしなければならない。

 今回のデンソーカップチャレンジは自分と大学選抜との距離を測る物差しになっている。「できるところもありますけれども、大学生はやっぱり全体的に推進力が高いなっていうのは感じています。そこのフィジカル的な部分であったり、よりスピード感のある中で技術を発揮するっていうのは、 慣れな部分もあると思いますけど、大学生はできてるなっていう風に感じています」と分析。大学サッカーのステージで活躍するためには、その中で自分も同等以上のプレーができなければならない。

「自分も技術的なところはそんな負けてないと思いますけど、より速いスピードの中で、より正確に、より怖さのある技術っていうところを出せれば、もっともっと上に行けるかなと思います」。また、ボランチ、トップ下とピッチ中央でプレーする自分は五分のボールを自分のモノにしたり、前を向いて攻撃を勢いづけるような力が必要。「より成長させたいところだなと思います」。今回学んだ基準を今後の飛躍に結びつける。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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