いつだって効いている「レイソルのマスチェラーノ」。柏U-18DF福島大雅が示し続ける100パーセントで闘うことの価値
[5.5 プレミアリーグEAST第5節 柏U-18 0-2 川崎F U-18 日立柏総合グランド(人工芝)]
いつだって、効いている。どのポジションを任されたとしても、この男が叩き出すアベレージは、常に求められる水準を必ず満たしている。その上で仲間を鼓舞し続けるリーダーシップも有しているのだから、とにかく『頼もしい』の一言だ。
「自分は身長が高くないですけど、気持ちで負けたらセンターバックはやっていけないので、そこは身長なんて関係なく気持ちでやっていますし、去年から試合に出てきたので、自分がもっとこのチームを引っ張っていかないといけないのかなと思います」。
柏レイソルU-18(千葉)を最終ラインで支える、闘将系センターバック。DF福島大雅(3年=柏レイソルU-15出身)がピッチで発し続ける強力なエネルギーが、チームメイトへポジティブな影響を与えていることに疑いの余地はない。
「最初から自分たち後ろの選手も引いてしまって、前半から相手のペースになってしまって、ハーフタイムに藤田さんから喝を入れられました」。福島は最初の45分間をそう振り返る。川崎フロンターレU-18(神奈川)をホームに迎えた、プレミアリーグEAST第5節。前節の前橋育英高(群馬)戦で今季初黒星を喫した次のゲームだけあって、連敗を回避したい一戦だったが、前半は1本のシュートも打てないまま、先制点まで献上してしまう。
「『自分たちがビビっているだけだ』と。『もっと自分たちからアクションを起こしていかないと成長にも繋がらない』と喝を入れられました」(福島)。藤田優人監督に気合を注入された後半は、少しずつチーム全体も活力を取り戻し、前へのパワーを打ち出していく。
その中で驚異的な守備力を披露したのが、172センチのセンターバックだ。川崎F U-18がディフェンスラインの背後を狙ってきたボールは、ほとんど100パーセントに近い確率で福島がモノにする。それは競り合いの部分でも、カバーリングの部分でも。
「去年コーチをされていた染谷さん(染谷悠太トップチームコーチ)から教わったことで、自分は身長がない分、相手より早く準備をするようなところで上回っていかないと、普通に競っただけでは勝てないので、それに加えて競り方を工夫したりとか、あえて相手に競らせて、その次にボールを取りに行くとか、そういうことは意識していますね」。
加えて目を惹くのは、出し続けられる“声”の質と量だ。「後ろからのコーチングがないと前からのプレッシャーも定まらないですし、そこには一番力を入れています。当たり前のことができないとチームの戦い方も定まらないので、そこができていなかったら一発喝を入れてやったり、あとは失点した時にチームの雰囲気が落ちがちなので、そこでキャプテンの(栗栖)汰志と一緒に喝を入れたりとか、そこは意識しています」。
前半こそ失点に絡むシーンもあったものの、後半のプレーぶりは圧巻の一言。それはスコアボード担当だったメンバー外の“後輩”も、思わず「大雅、凄いな……」と呟くほどのハイパフォーマンス。終盤に2点目を献上して試合には敗れたが、福島の鬼気迫る45分間には、サッカー選手としての矜持が詰め込まれていた。
もともとはボランチを務めることが多かったが、2年生だった昨シーズンはチーム事情もあって、センターバックへとコンバートされたことをきっかけに、プレミアリーグでもスタメン起用される機会が増加。貴重な経験を積み重ねた。
「周りは3年生が多かったですけど、ピッチに入ったらそんなことは関係なくて、自分の武器をどれだけ出せるかは意識していました。ただ、3年生のありがたみも実感しましたね。隣にいた(池端)翔夢くんとか、(大木)海世とか(関富)貫太とか、3年生が自分たちを引っ張ってくれていたんだなって。今年は一緒にセンターバックをやっている(吉川)晴翔が1年生なので、自信を持ってプレーできるように自分からもっとサポートしたいですね」。先輩たちから学んだものを、今度は後輩へと還元する意欲も十分に持ち合わせている。
それでもこの日の試合には、不甲斐なさばかりが残ったという。「後半は自分たちのペースになったんですけど、人に動かされているようではまだまだですし、自分たちはアクションということをテーマにやっているので、前半から自分たちで喝を入れないといけないですよね」。目標とするのは、世界的な闘将としても知られる元アルゼンチン代表のハビエル・マスチェラーノ。彼のプレーぶりを見れば、その人選にもすぐに納得が行った。
2024年はアカデミーで過ごしてきた6年間の集大成。ここから為すべき自身の役割も明確だ。「チームの目標が『日本一になる』ということなので、ここまでずっと育ててくれた藤田さんや、ずっと一緒にやってきたチームメイトのためにも、自分がチームを勝たせたいですし、そのためにはやっぱり練習が大事だと思うので、練習から自分が思うことはどんどん言って、周りにも声を求めて、みんなで助け合いながら日本一を獲りたいですね」。
チームを圧倒的なパワーで牽引するべく、常に100パーセントで闘う漢。目指すは「レイソルのマスチェラーノ」。いつでも、どこでも、どんな状況に置かれても、福島大雅は全力で今の自分と向き合っていく。
(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2024特集
いつだって、効いている。どのポジションを任されたとしても、この男が叩き出すアベレージは、常に求められる水準を必ず満たしている。その上で仲間を鼓舞し続けるリーダーシップも有しているのだから、とにかく『頼もしい』の一言だ。
「自分は身長が高くないですけど、気持ちで負けたらセンターバックはやっていけないので、そこは身長なんて関係なく気持ちでやっていますし、去年から試合に出てきたので、自分がもっとこのチームを引っ張っていかないといけないのかなと思います」。
柏レイソルU-18(千葉)を最終ラインで支える、闘将系センターバック。DF福島大雅(3年=柏レイソルU-15出身)がピッチで発し続ける強力なエネルギーが、チームメイトへポジティブな影響を与えていることに疑いの余地はない。
「最初から自分たち後ろの選手も引いてしまって、前半から相手のペースになってしまって、ハーフタイムに藤田さんから喝を入れられました」。福島は最初の45分間をそう振り返る。川崎フロンターレU-18(神奈川)をホームに迎えた、プレミアリーグEAST第5節。前節の前橋育英高(群馬)戦で今季初黒星を喫した次のゲームだけあって、連敗を回避したい一戦だったが、前半は1本のシュートも打てないまま、先制点まで献上してしまう。
「『自分たちがビビっているだけだ』と。『もっと自分たちからアクションを起こしていかないと成長にも繋がらない』と喝を入れられました」(福島)。藤田優人監督に気合を注入された後半は、少しずつチーム全体も活力を取り戻し、前へのパワーを打ち出していく。
その中で驚異的な守備力を披露したのが、172センチのセンターバックだ。川崎F U-18がディフェンスラインの背後を狙ってきたボールは、ほとんど100パーセントに近い確率で福島がモノにする。それは競り合いの部分でも、カバーリングの部分でも。
「去年コーチをされていた染谷さん(染谷悠太トップチームコーチ)から教わったことで、自分は身長がない分、相手より早く準備をするようなところで上回っていかないと、普通に競っただけでは勝てないので、それに加えて競り方を工夫したりとか、あえて相手に競らせて、その次にボールを取りに行くとか、そういうことは意識していますね」。
加えて目を惹くのは、出し続けられる“声”の質と量だ。「後ろからのコーチングがないと前からのプレッシャーも定まらないですし、そこには一番力を入れています。当たり前のことができないとチームの戦い方も定まらないので、そこができていなかったら一発喝を入れてやったり、あとは失点した時にチームの雰囲気が落ちがちなので、そこでキャプテンの(栗栖)汰志と一緒に喝を入れたりとか、そこは意識しています」。
前半こそ失点に絡むシーンもあったものの、後半のプレーぶりは圧巻の一言。それはスコアボード担当だったメンバー外の“後輩”も、思わず「大雅、凄いな……」と呟くほどのハイパフォーマンス。終盤に2点目を献上して試合には敗れたが、福島の鬼気迫る45分間には、サッカー選手としての矜持が詰め込まれていた。
もともとはボランチを務めることが多かったが、2年生だった昨シーズンはチーム事情もあって、センターバックへとコンバートされたことをきっかけに、プレミアリーグでもスタメン起用される機会が増加。貴重な経験を積み重ねた。
「周りは3年生が多かったですけど、ピッチに入ったらそんなことは関係なくて、自分の武器をどれだけ出せるかは意識していました。ただ、3年生のありがたみも実感しましたね。隣にいた(池端)翔夢くんとか、(大木)海世とか(関富)貫太とか、3年生が自分たちを引っ張ってくれていたんだなって。今年は一緒にセンターバックをやっている(吉川)晴翔が1年生なので、自信を持ってプレーできるように自分からもっとサポートしたいですね」。先輩たちから学んだものを、今度は後輩へと還元する意欲も十分に持ち合わせている。
それでもこの日の試合には、不甲斐なさばかりが残ったという。「後半は自分たちのペースになったんですけど、人に動かされているようではまだまだですし、自分たちはアクションということをテーマにやっているので、前半から自分たちで喝を入れないといけないですよね」。目標とするのは、世界的な闘将としても知られる元アルゼンチン代表のハビエル・マスチェラーノ。彼のプレーぶりを見れば、その人選にもすぐに納得が行った。
2024年はアカデミーで過ごしてきた6年間の集大成。ここから為すべき自身の役割も明確だ。「チームの目標が『日本一になる』ということなので、ここまでずっと育ててくれた藤田さんや、ずっと一緒にやってきたチームメイトのためにも、自分がチームを勝たせたいですし、そのためにはやっぱり練習が大事だと思うので、練習から自分が思うことはどんどん言って、周りにも声を求めて、みんなで助け合いながら日本一を獲りたいですね」。
チームを圧倒的なパワーで牽引するべく、常に100パーセントで闘う漢。目指すは「レイソルのマスチェラーノ」。いつでも、どこでも、どんな状況に置かれても、福島大雅は全力で今の自分と向き合っていく。
(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2024特集
LINEでゲキサカを友だち追加
