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[球蹴男児U-16]劇的な形で1-0勝利。184cmDF二之形悠真「鹿児島城西の名前を全国に轟かせるような代になりたい」

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鹿児島城西高の184cmDF二之形悠真(左)が相手の突破を阻止

[5.4 球蹴男児U-16リーグD1第1節 鹿児島城西高 1-0 東海大福岡高 大津町運動公園多目的A]

 九州地域のU-16年代において、長期のリーグ戦を通じて選手の育成及び指導者のレベルアップを図る「2024 球蹴男児U-16リーグ」のD1リーグが4日に開幕した。第1節の鹿児島城西高(鹿児島)と東海大福岡高(福岡)の一戦は、試合終了間際に鹿児島城西MF藏元隼斗が決勝点を決め、鹿児島城西が1-0で勝利した。

「ユニークな選手が揃った代」。チームの指揮を執る古市息吹コーチが評する通り、今年、鹿児島城西に入学した選手は明確な特徴を持った選手が各ポジションに揃っている。チームの船出となる一戦ではそれぞれの個性を出しながら、鹿児島城西らしく泥臭く戦う姿勢も示し、白星を引き寄せた。

 前半4分に前線で競り合ったこぼれ球を拾ったMF冨迫奏介の落としから、MF東蒼介がゴールを狙うなど試合は序盤から鹿児島城西のペースで進む。すらりとした身長でボランチからリズムを作るMF小林昴やトップ下に入ったMF出原昊茂のテクニックを中心に相手陣内へと攻め込んだが、思い通りに決定機は作れない。

鹿児島城西MF出原昊茂がドリブルで鋭く前へ

 対する東海大福岡は、従来のパスサッカーではなく、強風を考慮し、縦に速いサッカーを選択。ボールを奪ったら素早く鹿児島城西DFの背後にロングボールを入れると、スペースに流れたFW高橋怜央を起点にチャンスを伺う。17分には右サイドを上がったDF安部太郎がクロスを上げると、相手の跳ね返しを拾ったMF能武麟太朗がシュート。鹿児島城西DFに当たったこぼれ球をMF片山晴が狙ったが、ボールは枠の左外に逸れた。

 以降も長いボールで一発を狙った東海大福岡の前に立ちはだかったのは鹿児島城西のCBコンビだ。「個人としては相手にボールを触らせないことをモットーに頑張っている。敵にボールが入ってから奪うのではなく、敵にボールが入る前にパスカットしたり、弾き返すことを一番に考えてプレーしています」。そう話す184cmDF二之形悠真が積極的に競り合いでチャレンジ。こぼれ球もDF長渕禅が拾って、シュートの隙を与えない。

180cmFW新田真紗哉は前線で迫力のある動き

 スコアレスのまま迎えた後半も一進一退の攻防が続く。見せ場を作りながら1点が遠く焦れてもおかしくない展開だったが、鹿児島城西の選手は前向きに戦い、勝利を諦めない。
二之形はこう振り返る。「惜しいシュートがあって、(決められない)悔しさもあったのですが、文句ではなくチームとして雰囲気を作っていかないといけないので、“ナイス!”など前向きな声掛けを心掛けていました」。

 後半42分には交代で入ったMF渡口未大が左サイドを抜け出し、中央にパス。ゴール前でのこぼれ球を繋いでMF境勇翔がミドルシュートを放つなど、鹿児島城西が最後まで勝利を目指して攻め続ける。すると、試合終了間際の45分には藏元が高い位置で相手ボールをカット。そのままGKとの1対1に持ち込むと冷静にかわして、ゴールの隅に流し込んだ。このゴールが決勝点となり、鹿児島城西が1-0で勝利。二之形は「チームとして絶対に勝点3を取るというモチベーションで試合に挑んだので、雰囲気はしっかり作れていた」と収穫を口にした。

MF藏元隼斗は試合終了間際に決勝点

 この試合、鹿児島城西の主将を務めた二之形は鹿児島の飛松FC出身。「試合を見に行った際に強くて速くてかっこよかった」と昨年のチームでCBを務めた内田輝空に憧れ、入学を決めたという。「技術うんぬんではなく、気持ちで色んな人に“かっこいいな”とか“元気が出るな”と思ってもらえる選手に高校生のうちからなりたい」。そう続けるように気持ちを前面に押し出し戦う鹿児島城西向きの選手。彼だけでなく、入部した35人全員が戦う覚悟を決めてチームの門を叩いている。

 見据えるのは目の前の勝利だけでなく、全国での活躍だ。「自分たちの代で勝ち上がって、鹿児島城西の名前を全国に轟かせるような代になりたい」。そう意気込む二之形を中心にまずは12月に行なわれるU-16年代の全国大会「ミズノチャンピオンシップU-16リーキーリーグ」の出場権を掴み取る。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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