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【特集】09年J1ニューフェイスの決意(第12回、山形・古橋達弥)

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 初のJ1挑戦となるモンテディオ山形が、京都に移籍したFW豊田陽平(23)に代わるエースとして白羽の矢を立てたのがFW古橋達弥(28)だ。JFLのHonda FCから04年途中にC大阪に加入し、J2降格にもチームに残留したゲームキャプテンがついに移籍を決意した。「自分は攻撃的な選手なので、アシストやゴールを決めてチームの勝利に貢献できるように頑張っていきます」。23日の新加入選手会見では心機一転、そう抱負を語った。

 C大阪時代の恩師でもある小林伸二監督(48)のラブコールに応えた。小林監督は04年の第2ステージから古橋の加入と同時期にC大阪の監督に就任。第1ステージ最下位だったチームを立て直し、見事にJ1残留を果たした。翌05年には優勝争いを演じたが、首位で迎えた最終節でロスタイムに追いつかれ、土壇場で優勝を逃す悲劇を味わった。主力選手として活躍した古橋はベストイレブンにも選出された。しかし、翌06年にチームはJ2に降格。小林監督もシーズン途中に解任された。酸いも甘いも経験した師弟関係が3年ぶりに復活し、初のJ1を戦い抜くことになった。

 信頼関係は厚い。古橋が「セレッソ時代から小林監督が目指すサッカーは分かっている。シンプルで分かりやすいサッカーなので、飛び出しや前線での運動量が期待されていると思うので、そういうところをもっともっと追求していきたい」と意気込めば、小林監督も「FWと中盤すべてのところができる選手。2年間、セレッソで一緒にやったが、ベストイレブンに選ばれるほど得点力もある。右足のFKも精度が高いので、左の精度の高い選手はいたけど、右のFKで点を取れる選手ということで得点力アップにもなる」と期待を寄せた。

 磐田東高(静岡)から99年にHonda FCに入団した古橋は00年から03年まで4年連続でJFLのベストイレブンに選ばれた。03年には29試合で31得点を記録し、得点王も獲得。03年から04年にかけて記録した14試合連続ゴールは、いまだ誰にも破られていない。豊富な運動量や2列目からの飛び出しで前線を精力的にかき回すプレースタイルだが、ゴール前での決定力も高い。C大阪時代に2年半プレーしたJ1では04年が14試合5得点、05年が28試合8得点、06年が32試合7得点。「J1でプレーしたときに10得点以上取ったことがないので、10得点以上を目指したい」と明確なノルマを自らに課した。

 昨季23試合の出場で11得点を決めた北京五輪代表の豊田がクラブを去り、J1を戦うだけの戦力、得点力に不安を残す中、古橋に懸かる期待は大きい。昨シーズンはC大阪の選手として小林監督率いる山形と対戦(結果は1勝1分1敗)。古橋自身は2試合に出場し、1得点を挙げている。「去年山形と対戦した感想としては、本当にシンプルなサッカーをするチームなので、自分たちはやりにくかった。自分がやりたいサッカーを相手がやっていたので、そういうサッカーをやりたいと思っていた」。山形のサッカーに順応するのに、そう長い時間はかからないだろう。求められるのは、開幕からフル回転の活躍。小林監督との“二人三脚”の挑戦が、今度はみちのくを舞台に始まる。


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